天女×天姫×天使…天華統一

ハタケシロ

第18話 装着!!!

「…………」

「…………」

「…………」

「ふふん」

沈黙の中、アマはこれでもかと得意気な顔で横ピースを決めていた。


殴りたい!
あー超殴りてぇ!!
これが戦闘中じゃ無ければ今すぐにでもアマのところに飛んでって一発かましてやりたいところだ。

だが、今は戦闘中。
そんなことは出来ない。
呆然として何も喋れずに無口になった俺とパールとは違い、ジークスはいたって真剣に俺を睨んでいるために無口になっただけだ。

…………隙を見せるわけにはいかない。

「アマ。それは本当だな?」

アマに確認を取る。
戦闘中だからふざけて言ったわけではないだろうが、万が一ということもある。アマだし。

「本当です!」

横目に見るアマもまた、いたって真剣な表情をしていた。そう、表情だけは。その横ピース。早く辞めろ。

だか、まぁ事実だということは分かった。

「さぁ!声を大にして叫んでください!装着☆っと!」

「ちっ、言うしかねーか」

攻撃に専念したいため、防具は必要だ。
そう、必要。必要なんだ。

「……そ、そうちゃ…く」

「声が小さいです!」

お前は春の応援団員か何かか!?
あの、春の新一年生に応援歌を覚えさせる時だけ輝く応援団!

まぁ、ツッコミたい気持ちは抑えよう。

アマの言うことも正しいみたいだしな。
俺の声が小さいのが原因かは分からないが、俺の周りに浮かんでいる大小さまざまな光の欠片や玉たちはうんともすんとも反応していない。

ちっ、小せぇプライドなんて捨てちまえ。
土下座が出来るんだ。こんな人前で大声を出すことくらい簡単なことだ。

「はぁーー」

息を大きく吐く。
そして、大きく吸い込んで、アークに突撃しろと念じる。

アークが動くか動かないかと同時に俺は叫んだ。

「装着っ!!!!!」

叫んだと同時に俺の周りにあった光たちは俺を囲い始め、纏わる。そして、肩や、腹と言った体の至る箇所から若干の締め付けと重みを感じる。顔にも光が纏わりついたせいか、一瞬、視界がゼロになる。俺はそれをいや、体全部に纏わる光を振り払うように刀を振るう!

光を振り斬った瞬間、さっきまで、遠くに見えていたジークスの姿がはっきりと見えた。アークが突撃していたからだ。

刀を瞬時に持ち直し、今度はジークスに対して刀を振るう!アークに命令してからこれまでほんの一瞬の出来こどだ。

「なっ!!」

俺の突撃に驚いたのか。はたまた、俺が防具を付けたことに驚いたのか。ジークスは驚きの声を漏らす。

ガギンっ!!!

そして、今日一番の金属音が響きわたる!

俺の渾身の一撃をジークスは大剣を両手で支えて防いだ。

だが俺も防がれたくらいで、引くわけには、負けるわけにはいかない。

「ハア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

鍔迫り合いを起こしている刀に力を込める!

「んぎぎぎぎ……っ!」

だが、ジークスも俺の攻撃に耐える。
しかし、耐えたのも一瞬。俺がフルパワーで押し込んだら、アークに乗ってる俺とは違い、自らの足で浮いていたジークスは俺の攻撃に耐えかね、地面へと急降下していった。ほんの一瞬、防御に力を全て回してしまったんだろう。足に力が回らなかったみたいだ。

ジークスが地面に衝突する音が響きわたる。

「ふぅ……」

1つ深呼吸をする。
さすがに今の鍔迫り合いは力を使う。

「フフ。さすが大和であるな。普通ならばそこで肩を上下させながら息継ぎをするものを深呼吸1つですませるとは」

背後からそんなパールの声が飛ぶ。
まぁ、ほかの奴らはどうなのかは知らないが、チー俺にとっては普通だ。これくらい。

『ピーピーピー』

突如として、城全体に鳴り響く音。
警告音とは違う音が、城全体を包んでいた。

「これは何の音だ?」

この城に一番詳しいパールに聞く。

「これは……注意音だ!」

「注意音?」

確か、警告音の前に鳴るとかっていう……。

「敵がこの国目指して来てるということだ!」

「まじかよ……」

ジークスをやっと地面に叩いたって言うときに、敵の襲来注意だと?

正直、まずいぞ。この国の戦力はかなりあるんだろう。だが、今俺が使える戦力は俺にパールにア…俺とパールの二人しかいない。敵の戦力が分からないとはいえ、俺たちが不利なのは分かりきっている。

それに……

「ててて……ちっ俺としたことが、地面に叩きつけられるなんて、なんてザマだよ」

ジークスの相手もしてやらないといけない。

「あれほどの衝撃で生きてるんですか!?」

ジークスがなに食わぬ顔で土埃が舞う中から姿を表したのが、そんなに以外だったのか、アマは窓から身を乗り出してジークスを見る。

「あれくらいで死ぬようなやつじゃないだろ」

あんなので死ぬなんてのは一切考えてなかった俺は動揺などはしてなかった。むしろ、予想していた。予想通りとでも言えばいいかもしれない。

「ちっ、あいつなかなかの攻撃力を持ってやがる。パールヴァティーがやられたのも納得だ。つか、その上で装備が「龍竜装たつりゅうそう」って最強じゃねーか」

俺を下から睨みつけながら、ジークスはなにやらボソボソと言っていた。竜田揚げ?とかなんとか。

「パール。頼みがある」    

俺も上からジークスを睨みつつ、パールに言う。

「今接近している敵の相手をしてもらいたい。足止めだけでいい。できるか?」

ジークスを俺が相手する以上、今接近している敵はパールに頼むしかない。アマの言葉を信じれば、今接近している敵ごときにパールは負けないはずだ。だが、それは予想だ。何があるか分からない。できれば足止めだけでもとお願いする。俺が向かうまで。

失礼な要素がある俺の命令をパールは意を唱えることもなく、受け入れ、準備をする。

「相分かった」

「頼む。移動手段はあるか?」

「心配ないぞ。我は跳べるからな。飛べるではないぞ?跳べるだ」

「それならよかった」

今の発言でパールの身体能力の高さが多少分かった。アマなんかよりよっぽどすごい。

「じゃ、悪いが頼んだ。俺もこいつを倒してからすぐ向かう」

「相分かった。足止め程度にしか、活躍できないだろうが。どれ、第3位の力見せつけるとしよう」

「期待してるぜ」

「う、うむ」

そう言ってパールは城を飛び出した。

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