天女×天姫×天使…天華統一
第17話 装着☆
「なっ……!?」
振り向くと同時に、腰に差してあった刀を抜く。
カキンッ!
金属同士のぶつかりあう音が響く。
「ほー。すごい反射速度だ。俺が囁いたと同時に、回転、抜刀、攻撃を順次にするなんてな!」
「これくらい、大したことじゃねーからな。今の俺は」
この世界のチー俺、(チートな俺の略)にとってこれくらいは序ノ口、楽勝だ。体が俺の判断より前に動いてくれる。幾多の戦闘経験がある体が。
「つか、お前は誰だ?俺が用があるのはパールヴァティーなんだけど?」
「誰かも分からねぇくせに攻撃してくるんだな。お前はっ!」
競ってた状態を強引に解き、距離を開ける。
距離を開けるとはいえ、ここは室内。
そんなに距離は空いてない。
「ん?つか、その紋章…お前がこの国のテッペンなのか!?」
「は?紋章?」
「大和さま!その胸にあるものです!」
アマに言われたとおり、胸をチラリと見る。
そこには、さっきまで無かったはずの紋章とでも呼んでいいものが胸の前に浮かび上がっていた。
大きさにして手の平サイズくらいだろうか。
こんなに小さくもないものが胸の前に浮かび上がっていたら気づきそうなものなんだが。
「戦なので浮かび上がったんです!紋章が!この国のトップ、大名さまが誰なのかということを知らしめるためにっ!」
俺の顔に疑問符が浮かんでいたのを察知したのか、アマが丁寧に教えてくれる。
なるほど、だからか。
「だから、あいつにも紋章があるわけだな。敵国の大名だというのを俺に教えてくれるために」
剣型包丁とでも言うべきか、大剣を片手で持ちながらこちらを睨んでいるジークスもまた、紋章が浮かび上がっていた。
「はい!その通りです!十中八九そのお方が敵の大名さまです!たまに偽装している人もいらっしゃいますが、その浮かび上がり方、輝き方を見ましても偽装とは思えません!」
「了解だ」
確認は取れた。
あとはこいつを倒すだけだ。
ちゃちゃっとトップを潰してしまおう。
「お前らで勝手に話してんじゃねぇ!俺の質問に答えやがれ!お前がこの國のトップなのかって聞いてんだよっ!」
声が荒々しい、というか、わざとビビらせるように声を荒らげているかも知れない。なんとなくこいつには小物臭を感じる。それに、さっきからいろいろと並べているセリフの数々だが、死亡フラグ感、はんぱじゃねぇぞ?
「ああ。その通りだが?」
俺はいたって冷静に答える。
別にクールぶってる訳じゃない。ただ、たんに相手の気迫に押されてるだけだ。
「嘘だろ?俺より弱いとはいえ、領地面積第3位だぞ!?パールヴァティーは!!それなのにお前がこの國のトップを貼ってるだと!?」
「大和の言う通りだジークス。大和が今、我に変わりこの国の大名を努めている」
若干パニックに陥っているジークスをなだめるかのように、パールが言葉を添える。
パールの言葉を聞いて、いや、パールを見てジークスは落ち着きを取り戻す。
「パールヴァティー……」
「久しいな。ジークス」
「さっきの言葉、ほんとなのかよ」
「ああ。嘘偽りない。一言一九本当だ」
「じゃあ、あれか?パールヴァティーお前は、そいつに負けたってことなのか?」
「ああ。それはもう完膚なきまでに」
ドンっ!
パールの言葉を聞いて、ジークスが近くにある本棚を蹴る。苛立ちを表すように。その際、本棚から紙切れやら、本が落ちた。
まずいな。ここは軍議室。戦に必要な情報がのった見聞書物がたくさんあるはずだ。今の葉蹴って落ちただけだが、斬られたり、焼かれたりと、物自体を亡き者にされるのは困る。場所を早く変えないと。ここじゃ、いろんな意味で戦いづらい。
「何負けてんだよ。お前は俺以外に負けちゃいけねーんだよ」
そういいつつ、ジークスは、剣型包丁大剣を構えながら言う。
「まぁいいか。俺以外に殺されてはねーし」
「……!」
再び部屋中に金属音が響きわたる。
「おい……じゃますんなよ。トップさんよぉ……俺はこの女を殺したいんだからさ」
「させるはずねーだろ。俺はこの国のトップなんだぜ?大事な戦力を、仲間を失うようなことはしない」
「な、なにを……!?」
ジークスの腕を掴み、窓から外に飛び出す。
部屋でこれ以上やり合うわけには行かないからな。
かといって、鳥でもない俺は空を飛べるわけじゃない。この世界にも重力はあるんだなと思いつつ、重力に逆らえない体は下降を物凄い速さで繰り返す。
ジークスは飛べるかどうか知らないが、俺が腕を、しかも大剣を持っている方の腕を掴んでる以上、暴れることは出来るが、その剣で攻撃したり、俺から離れて落下を阻止したりはできない。
地面が近くに感じた時、俺はジークスの腕を離す。
そうすれば、ジークスだけが、地面に勢いよくぶつかる事になるだろうから。
☆
アークの上から地面を見下ろしつつ、ジークスが落ちた辺りを見る。
そこには、クレーターが出来上がっていた。
そうでもない高さからの落下でクレーター?
「あぁ〜まじ、死ぬかと思ったぜ。つか、自ら落下するって頭おかしいんじゃねーか?」
そして、また、俺の後ろでささやく。
「…………」
「どうやって俺が助かったのか知りたそうな顔してるな。答えはこれだ」
瞬間、何かが俺の体を襲う。
俺はそのまま何かに押され、城壁にぶつかる。
強烈な激痛が体を駆け回る。が、その痛みは瞬時に治まる。体が頑丈なお陰かもしれない。
「今のは波動か……?」
城壁に体が埋もれながら、痛みで動かせないかもと思った口を動かす。
「当たりだ。俺は少しだが、波動が使える」
そうか。
地面にぶつかる際、波動を出して衝撃を抑えたのか。だからあんなでかいクレーターが。
「それより、お前は飛べるんだな」
アークを使っていた俺とは違い、ジークスは何も使わずにその身だけで空中に浮いていた。羽があるのかと思いきや、羽のようなものは見当たらない。
「飛べはしないさ。ただ、空中を駆けているだけだ。俺は「神速」を持っているからな。極めればこれくらい造作もない」 
どっかで聞いたことがあるな「神速」。
確かゲームでもスキルとしてあったはずだ。
でもあれは、スピードをあげるだけだった気もするが。
「俺にとって今はパールヴァティーを殺すのが最優先だ。お前がトップだろうとな」
そう言ってジークスは上昇する。
軍議室のあるところまで。
「させっ…かよ」
なんとか埋まった体を引っ張りだし、アークに乗って追いかける。
「そっから離れろよ……っ!」
刀を握り締め、追いついたジークスに振り抜く。
ジークスはそれをよけ、距離を取る。
俺の後ろには軍議室。窓からはアマとパールが覗いている。そして、前にはジークスという構図になった。
「いちいち邪魔すんじゃねーよ。相手ならしてやっから。パールヴァティーを殺ったあとにな」
ぶつぶつ文句を言いながらも、構えを解かないジークス。
「アマっ!!」
「は、はい!」
「攻撃に専念したい!防具をくれ!」
さっき見たいに、痛い思いはしたくない。
防具をつけたところで変わりないかもしれないが、多少の攻撃を防げるのなら付けたほうがマシだ。
「分かりましたっ!」
武器を要求した時と同じように、俺の周りには大小さまざまな光が出現する。あの時の違うのは一つだけじゃなく、たくさん出たことと、大小さまざな光という点か。
「今は引っ張り出してる余裕はねぇ!なんとかしてくれ!アマっ!」
今にもとっしんしてきそうな、ジークスを、前に防具を引っ張り出してる余裕なんてない。ここはアマにどうにかしてもらうしかない。
「大丈夫です!大和さま!武器とは違い、防具は引っ張りださなくても装着できるようになっています!」
「説明はいいから!どうすればいい!?」
「はい!ではこう言ってください!」
そう言うと、横目に見るアマは右手を高くかざし、そしてそのまま、左目付近に動かし、人差し指と中指を開きなら、右目にその手を止めて俗に言う横ピースを決める。
「ーー装着☆…………とっ!」
振り向くと同時に、腰に差してあった刀を抜く。
カキンッ!
金属同士のぶつかりあう音が響く。
「ほー。すごい反射速度だ。俺が囁いたと同時に、回転、抜刀、攻撃を順次にするなんてな!」
「これくらい、大したことじゃねーからな。今の俺は」
この世界のチー俺、(チートな俺の略)にとってこれくらいは序ノ口、楽勝だ。体が俺の判断より前に動いてくれる。幾多の戦闘経験がある体が。
「つか、お前は誰だ?俺が用があるのはパールヴァティーなんだけど?」
「誰かも分からねぇくせに攻撃してくるんだな。お前はっ!」
競ってた状態を強引に解き、距離を開ける。
距離を開けるとはいえ、ここは室内。
そんなに距離は空いてない。
「ん?つか、その紋章…お前がこの国のテッペンなのか!?」
「は?紋章?」
「大和さま!その胸にあるものです!」
アマに言われたとおり、胸をチラリと見る。
そこには、さっきまで無かったはずの紋章とでも呼んでいいものが胸の前に浮かび上がっていた。
大きさにして手の平サイズくらいだろうか。
こんなに小さくもないものが胸の前に浮かび上がっていたら気づきそうなものなんだが。
「戦なので浮かび上がったんです!紋章が!この国のトップ、大名さまが誰なのかということを知らしめるためにっ!」
俺の顔に疑問符が浮かんでいたのを察知したのか、アマが丁寧に教えてくれる。
なるほど、だからか。
「だから、あいつにも紋章があるわけだな。敵国の大名だというのを俺に教えてくれるために」
剣型包丁とでも言うべきか、大剣を片手で持ちながらこちらを睨んでいるジークスもまた、紋章が浮かび上がっていた。
「はい!その通りです!十中八九そのお方が敵の大名さまです!たまに偽装している人もいらっしゃいますが、その浮かび上がり方、輝き方を見ましても偽装とは思えません!」
「了解だ」
確認は取れた。
あとはこいつを倒すだけだ。
ちゃちゃっとトップを潰してしまおう。
「お前らで勝手に話してんじゃねぇ!俺の質問に答えやがれ!お前がこの國のトップなのかって聞いてんだよっ!」
声が荒々しい、というか、わざとビビらせるように声を荒らげているかも知れない。なんとなくこいつには小物臭を感じる。それに、さっきからいろいろと並べているセリフの数々だが、死亡フラグ感、はんぱじゃねぇぞ?
「ああ。その通りだが?」
俺はいたって冷静に答える。
別にクールぶってる訳じゃない。ただ、たんに相手の気迫に押されてるだけだ。
「嘘だろ?俺より弱いとはいえ、領地面積第3位だぞ!?パールヴァティーは!!それなのにお前がこの國のトップを貼ってるだと!?」
「大和の言う通りだジークス。大和が今、我に変わりこの国の大名を努めている」
若干パニックに陥っているジークスをなだめるかのように、パールが言葉を添える。
パールの言葉を聞いて、いや、パールを見てジークスは落ち着きを取り戻す。
「パールヴァティー……」
「久しいな。ジークス」
「さっきの言葉、ほんとなのかよ」
「ああ。嘘偽りない。一言一九本当だ」
「じゃあ、あれか?パールヴァティーお前は、そいつに負けたってことなのか?」
「ああ。それはもう完膚なきまでに」
ドンっ!
パールの言葉を聞いて、ジークスが近くにある本棚を蹴る。苛立ちを表すように。その際、本棚から紙切れやら、本が落ちた。
まずいな。ここは軍議室。戦に必要な情報がのった見聞書物がたくさんあるはずだ。今の葉蹴って落ちただけだが、斬られたり、焼かれたりと、物自体を亡き者にされるのは困る。場所を早く変えないと。ここじゃ、いろんな意味で戦いづらい。
「何負けてんだよ。お前は俺以外に負けちゃいけねーんだよ」
そういいつつ、ジークスは、剣型包丁大剣を構えながら言う。
「まぁいいか。俺以外に殺されてはねーし」
「……!」
再び部屋中に金属音が響きわたる。
「おい……じゃますんなよ。トップさんよぉ……俺はこの女を殺したいんだからさ」
「させるはずねーだろ。俺はこの国のトップなんだぜ?大事な戦力を、仲間を失うようなことはしない」
「な、なにを……!?」
ジークスの腕を掴み、窓から外に飛び出す。
部屋でこれ以上やり合うわけには行かないからな。
かといって、鳥でもない俺は空を飛べるわけじゃない。この世界にも重力はあるんだなと思いつつ、重力に逆らえない体は下降を物凄い速さで繰り返す。
ジークスは飛べるかどうか知らないが、俺が腕を、しかも大剣を持っている方の腕を掴んでる以上、暴れることは出来るが、その剣で攻撃したり、俺から離れて落下を阻止したりはできない。
地面が近くに感じた時、俺はジークスの腕を離す。
そうすれば、ジークスだけが、地面に勢いよくぶつかる事になるだろうから。
☆
アークの上から地面を見下ろしつつ、ジークスが落ちた辺りを見る。
そこには、クレーターが出来上がっていた。
そうでもない高さからの落下でクレーター?
「あぁ〜まじ、死ぬかと思ったぜ。つか、自ら落下するって頭おかしいんじゃねーか?」
そして、また、俺の後ろでささやく。
「…………」
「どうやって俺が助かったのか知りたそうな顔してるな。答えはこれだ」
瞬間、何かが俺の体を襲う。
俺はそのまま何かに押され、城壁にぶつかる。
強烈な激痛が体を駆け回る。が、その痛みは瞬時に治まる。体が頑丈なお陰かもしれない。
「今のは波動か……?」
城壁に体が埋もれながら、痛みで動かせないかもと思った口を動かす。
「当たりだ。俺は少しだが、波動が使える」
そうか。
地面にぶつかる際、波動を出して衝撃を抑えたのか。だからあんなでかいクレーターが。
「それより、お前は飛べるんだな」
アークを使っていた俺とは違い、ジークスは何も使わずにその身だけで空中に浮いていた。羽があるのかと思いきや、羽のようなものは見当たらない。
「飛べはしないさ。ただ、空中を駆けているだけだ。俺は「神速」を持っているからな。極めればこれくらい造作もない」 
どっかで聞いたことがあるな「神速」。
確かゲームでもスキルとしてあったはずだ。
でもあれは、スピードをあげるだけだった気もするが。
「俺にとって今はパールヴァティーを殺すのが最優先だ。お前がトップだろうとな」
そう言ってジークスは上昇する。
軍議室のあるところまで。
「させっ…かよ」
なんとか埋まった体を引っ張りだし、アークに乗って追いかける。
「そっから離れろよ……っ!」
刀を握り締め、追いついたジークスに振り抜く。
ジークスはそれをよけ、距離を取る。
俺の後ろには軍議室。窓からはアマとパールが覗いている。そして、前にはジークスという構図になった。
「いちいち邪魔すんじゃねーよ。相手ならしてやっから。パールヴァティーを殺ったあとにな」
ぶつぶつ文句を言いながらも、構えを解かないジークス。
「アマっ!!」
「は、はい!」
「攻撃に専念したい!防具をくれ!」
さっき見たいに、痛い思いはしたくない。
防具をつけたところで変わりないかもしれないが、多少の攻撃を防げるのなら付けたほうがマシだ。
「分かりましたっ!」
武器を要求した時と同じように、俺の周りには大小さまざまな光が出現する。あの時の違うのは一つだけじゃなく、たくさん出たことと、大小さまざな光という点か。
「今は引っ張り出してる余裕はねぇ!なんとかしてくれ!アマっ!」
今にもとっしんしてきそうな、ジークスを、前に防具を引っ張り出してる余裕なんてない。ここはアマにどうにかしてもらうしかない。
「大丈夫です!大和さま!武器とは違い、防具は引っ張りださなくても装着できるようになっています!」
「説明はいいから!どうすればいい!?」
「はい!ではこう言ってください!」
そう言うと、横目に見るアマは右手を高くかざし、そしてそのまま、左目付近に動かし、人差し指と中指を開きなら、右目にその手を止めて俗に言う横ピースを決める。
「ーー装着☆…………とっ!」
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