俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第5話残念系美少女
ひどい有様を見せられた俺は、しばらくの間絶句するがすぐに何をするべきか考える。そして見出した結論が、
「よし、ダメ姫、掃除用具一式とゴミ袋を持って来い」
彼女の部屋にあるありとあらゆるゴミを片付けるということ。いくらなんでもこれは酷すぎる。
「誰がダメ姫よ! それにあんたの言うことなんか聞かないわよ」
「じゃあこのままでいいのか? この部屋は」
「うぅ、それは……」
「嫌だから封鎖とか言ったんだろ?」
「ぐぬぬ」
「だったらするべき事は一つしかないだろ? 変わりたいって決めたならもっと積極的にやってかなきゃ」
「わ、分かったわよ。持って来ればいいんでしょ」
「分かればよろしい」
そう返事して掃除用具を取りに行くココネ。ここまで物分かりはいいのに、どうしてあんなに残念な性格なのだろう。見た目は結構レベル高いから、性格さえ何とかなれば俺だって進んで政略結婚したのかもしれないけど。
五分後。
「ほら持ってきたわよ」
箒やモップといった一般的な掃除用具と、大量のゴミ袋を両手に持ってきたココネが戻ってきた。
「よし、じゃあ早速始めるぞ。作戦名『どうしようもない性格のお姫様のゴミ屋敷を掃討作戦』」
「ちょっと! 何か私すごく馬鹿にされたような気がするんだけど」
「そうか? この『どうしようもないお姫様掃討作戦』になにか問題でも?」
俺はそのままの作戦名だと思っているけど、果たしてこれのどこが間違っているというのだろうか?
「さっきの名前と変わってるじゃない! これじゃあまるで私が掃討される事になるわよ」
「俺は一言もお前の事だって言ってないぞ?」
「あっ……」
「ちゃんと自覚してんだなお前」
これで性格に問題が(以下略。
このゴミ屋敷をどうにかするためには、ゴミをいくらかに分割しなければならない。ざっくりと分けるとこんな感じだ。
一・絶対に必要ないゴミ(紙くず等)
二・絶対に捨てられないもの(これからも使用用途があるものなど)
三・どちらかといえばいらないゴミ(もう使わないものなど)
こうやって分けるだけでも、だいぶ仕事が楽になるだろうし一から捨てていけば部屋の大体のゴミは消えるはずだ。なのにこの姫ときたら……。
「これもいる、あれもいる、全部いる」
一の段階から色々と問題ありなのだが。しかもいかにも食べられそうにないものまで、いるの類に入っているし。
「これはもうどう見たっていらないだろう」
「頑張れば食べれるじゃない」
「いやいや、絶対に腐っているからなこれ」
色が明らかにアウトだし、これを口にしたら確実にこの世とはおさらばしてしまうに違いない。
「じゃあこれとかは?」
「何でそんな物がここにあるんだよ! ちゃんと返してきなさい」
次に取り出したものは、決して口では言えないようなもの。一体どこからこんな物を手に入れたのだろうか?
「えー」
「えーじゃない!」
(これはこの先色々な意味で苦労すらだろうなこれじゃ……)
既に作業開始してから三時間が経とうというのに、まだ半分も片付いていない。このままだと明日もゴミ屋敷の後片付けが確定する。こんな異臭が漂う部屋に長居するのだけは勘弁なのだが、それだとこいつは一生このゴミ屋敷暮らしだろうし……。
「ああもう、さっさとやるぞ」
「い、いきなり何よ。さっきからやっているじゃない」
「そう思っているならさ、いる物といらない物の区別をしっかりしてくれ」
結局ゴミ屋敷掃討作戦は一日では終わらず、二日目に突入する事になったのであった。
(予想通りの結果だよ)
俺は積極的にやってあげていたのに、ココネのやる気が全くないのが問題なのだ。何度も言うが彼女の意志さえあれば、何だってできるのだから本当に本人次第になる。
(とりあえずはしばらく様子見だな)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
という事で二日目に突入したゴミ屋敷掃討作戦はようやく三分の二の片付けを終えたのだが、まだ三分の一は残っているという現状。それだというのに未だに見えてこない姫のやる気。お昼を過ぎてもその態度は変わらず俺の我慢は限界に達そうとしていた。
「なあ姫さんよ、何で俺が一生懸命片付けているのに、お前は全くやっていないんだ?」
「何か面倒くさくなった。こんなの二日も連続でやっていられないわ」
ついには投げ出すという始末。その態度にもう我慢の限界に達した俺は、彼女を突き放すような言い方をした。
「ふうん、じゃあ俺も面倒くさいからやめようかな」
「あんたが止めたら誰がやるのよ?」
「それはお前自身だろ? こっちは二日間休まずやっているんだから、少しくらいは休ませろ」
そう言って俺は立ち上がり、部屋を出ていこうとする。当人がやる気がないのに俺がやる必要なんてどこにもない。終いには他人任せだなんていい加減にしてほしい。
「ま、待って!」
そんな俺をあいつは引き止めた。無視しようかと思ったけど、あえて立ち止まり、更に突き放す。
「何だよ、やる気がないなら俺はもう手伝わないからな」
「わ、私が悪かったわよ。や、やる気出すから手伝って」
「その言葉は何度も聞き飽きた。お前は昨日からそれを何度も言っていて、何一つ変わっていない。少しは勉強しろよ」
「うぅ……、私だって……」
でも俺だってただ突き放すだけではない。そこにはちゃんとした理由がある。
「私だって?」
「私だって本当はもっと変わりたいと思ってるわよ! だけど……癖なんて簡単になおらなくて……」
それは本人が本当にどう思っているか、だ。それを確かめるためにもあえて突き放して、そして、
「だから教えてあげてるだろ? お前のその意思が消えないように。だけど思っていても行動に移さなきゃ変われないぞ?」
「そうなんだけど……」
「もしどうしなきゃ分からないなら、とりあえず一度自分だけでやってみろよ。また一時間後にくるからさ。やる気があるならそれを見せてくれ」
本人が自分の意志で変えるというやる気を出させる。
「分かった」
伝えることを伝えた俺は、今度こそ彼女の部屋から出る。
(あいつにその意志があるのは分かっているんだよ。あとは行動にうつすだけだから、頑張れよ)
何だかんだ結構心配している自分に、内心驚きながら俺は部屋に戻った。
そして一時間後、再び俺は彼女の部屋に戻ってみることにした。
(さて、どうなっているのやら)
ノックしても返事がないので、ドアを開けて入る。そこに広がっていたのは…。
「ぐぅ~……」
昨日とは比べ物にならない程綺麗になった部屋のベッドの上で、心地よさそうに寝息をたてて寝ているココネの姿だった。
「何だよやればできるじゃん」
一時間前の時点で結構な量のゴミが残ってたのだが、今はその影すら見当たらない。どうやらあの後真面目に頑張って片付けしたから、疲れて眠ってしまったらしい。寝息をたてて眠っているその姿は、少しだけ可愛らしかった。
「黙ってりゃあ結構可愛いじゃねえか」
ちゃんと掛かっていなかった布団をかけてやりながら、そんな事をつぶやく。まさに残念な美少女だよな……。
「ん? なんだこれ」
そんな彼女を眺めていると、彼女の隣に小さなネックレスがあるのを見つける。こんなのものこいつ付けていたっけ。誰かからもらった物とかかな。例えば親からとか。
(そういえば、こいつの両親ってどうしたんだろ)
城の中で一度も見かけたことがないし、そういう写真があったというわけでもない。でも親がいないわけじゃないだろうし……。
(もしかしたら、何か秘密があるのかな……)
でもそれに触れると確実に本人が怒りそうなので、今は見なかったことにしておこう。
「さてと、起こしちゃう前に部屋に戻るか」
気持ちよさそうに眠っている彼女を起こすと可哀想なので、俺は静かに部屋を出ていくのであった。
「よし、ダメ姫、掃除用具一式とゴミ袋を持って来い」
彼女の部屋にあるありとあらゆるゴミを片付けるということ。いくらなんでもこれは酷すぎる。
「誰がダメ姫よ! それにあんたの言うことなんか聞かないわよ」
「じゃあこのままでいいのか? この部屋は」
「うぅ、それは……」
「嫌だから封鎖とか言ったんだろ?」
「ぐぬぬ」
「だったらするべき事は一つしかないだろ? 変わりたいって決めたならもっと積極的にやってかなきゃ」
「わ、分かったわよ。持って来ればいいんでしょ」
「分かればよろしい」
そう返事して掃除用具を取りに行くココネ。ここまで物分かりはいいのに、どうしてあんなに残念な性格なのだろう。見た目は結構レベル高いから、性格さえ何とかなれば俺だって進んで政略結婚したのかもしれないけど。
五分後。
「ほら持ってきたわよ」
箒やモップといった一般的な掃除用具と、大量のゴミ袋を両手に持ってきたココネが戻ってきた。
「よし、じゃあ早速始めるぞ。作戦名『どうしようもない性格のお姫様のゴミ屋敷を掃討作戦』」
「ちょっと! 何か私すごく馬鹿にされたような気がするんだけど」
「そうか? この『どうしようもないお姫様掃討作戦』になにか問題でも?」
俺はそのままの作戦名だと思っているけど、果たしてこれのどこが間違っているというのだろうか?
「さっきの名前と変わってるじゃない! これじゃあまるで私が掃討される事になるわよ」
「俺は一言もお前の事だって言ってないぞ?」
「あっ……」
「ちゃんと自覚してんだなお前」
これで性格に問題が(以下略。
このゴミ屋敷をどうにかするためには、ゴミをいくらかに分割しなければならない。ざっくりと分けるとこんな感じだ。
一・絶対に必要ないゴミ(紙くず等)
二・絶対に捨てられないもの(これからも使用用途があるものなど)
三・どちらかといえばいらないゴミ(もう使わないものなど)
こうやって分けるだけでも、だいぶ仕事が楽になるだろうし一から捨てていけば部屋の大体のゴミは消えるはずだ。なのにこの姫ときたら……。
「これもいる、あれもいる、全部いる」
一の段階から色々と問題ありなのだが。しかもいかにも食べられそうにないものまで、いるの類に入っているし。
「これはもうどう見たっていらないだろう」
「頑張れば食べれるじゃない」
「いやいや、絶対に腐っているからなこれ」
色が明らかにアウトだし、これを口にしたら確実にこの世とはおさらばしてしまうに違いない。
「じゃあこれとかは?」
「何でそんな物がここにあるんだよ! ちゃんと返してきなさい」
次に取り出したものは、決して口では言えないようなもの。一体どこからこんな物を手に入れたのだろうか?
「えー」
「えーじゃない!」
(これはこの先色々な意味で苦労すらだろうなこれじゃ……)
既に作業開始してから三時間が経とうというのに、まだ半分も片付いていない。このままだと明日もゴミ屋敷の後片付けが確定する。こんな異臭が漂う部屋に長居するのだけは勘弁なのだが、それだとこいつは一生このゴミ屋敷暮らしだろうし……。
「ああもう、さっさとやるぞ」
「い、いきなり何よ。さっきからやっているじゃない」
「そう思っているならさ、いる物といらない物の区別をしっかりしてくれ」
結局ゴミ屋敷掃討作戦は一日では終わらず、二日目に突入する事になったのであった。
(予想通りの結果だよ)
俺は積極的にやってあげていたのに、ココネのやる気が全くないのが問題なのだ。何度も言うが彼女の意志さえあれば、何だってできるのだから本当に本人次第になる。
(とりあえずはしばらく様子見だな)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
という事で二日目に突入したゴミ屋敷掃討作戦はようやく三分の二の片付けを終えたのだが、まだ三分の一は残っているという現状。それだというのに未だに見えてこない姫のやる気。お昼を過ぎてもその態度は変わらず俺の我慢は限界に達そうとしていた。
「なあ姫さんよ、何で俺が一生懸命片付けているのに、お前は全くやっていないんだ?」
「何か面倒くさくなった。こんなの二日も連続でやっていられないわ」
ついには投げ出すという始末。その態度にもう我慢の限界に達した俺は、彼女を突き放すような言い方をした。
「ふうん、じゃあ俺も面倒くさいからやめようかな」
「あんたが止めたら誰がやるのよ?」
「それはお前自身だろ? こっちは二日間休まずやっているんだから、少しくらいは休ませろ」
そう言って俺は立ち上がり、部屋を出ていこうとする。当人がやる気がないのに俺がやる必要なんてどこにもない。終いには他人任せだなんていい加減にしてほしい。
「ま、待って!」
そんな俺をあいつは引き止めた。無視しようかと思ったけど、あえて立ち止まり、更に突き放す。
「何だよ、やる気がないなら俺はもう手伝わないからな」
「わ、私が悪かったわよ。や、やる気出すから手伝って」
「その言葉は何度も聞き飽きた。お前は昨日からそれを何度も言っていて、何一つ変わっていない。少しは勉強しろよ」
「うぅ……、私だって……」
でも俺だってただ突き放すだけではない。そこにはちゃんとした理由がある。
「私だって?」
「私だって本当はもっと変わりたいと思ってるわよ! だけど……癖なんて簡単になおらなくて……」
それは本人が本当にどう思っているか、だ。それを確かめるためにもあえて突き放して、そして、
「だから教えてあげてるだろ? お前のその意思が消えないように。だけど思っていても行動に移さなきゃ変われないぞ?」
「そうなんだけど……」
「もしどうしなきゃ分からないなら、とりあえず一度自分だけでやってみろよ。また一時間後にくるからさ。やる気があるならそれを見せてくれ」
本人が自分の意志で変えるというやる気を出させる。
「分かった」
伝えることを伝えた俺は、今度こそ彼女の部屋から出る。
(あいつにその意志があるのは分かっているんだよ。あとは行動にうつすだけだから、頑張れよ)
何だかんだ結構心配している自分に、内心驚きながら俺は部屋に戻った。
そして一時間後、再び俺は彼女の部屋に戻ってみることにした。
(さて、どうなっているのやら)
ノックしても返事がないので、ドアを開けて入る。そこに広がっていたのは…。
「ぐぅ~……」
昨日とは比べ物にならない程綺麗になった部屋のベッドの上で、心地よさそうに寝息をたてて寝ているココネの姿だった。
「何だよやればできるじゃん」
一時間前の時点で結構な量のゴミが残ってたのだが、今はその影すら見当たらない。どうやらあの後真面目に頑張って片付けしたから、疲れて眠ってしまったらしい。寝息をたてて眠っているその姿は、少しだけ可愛らしかった。
「黙ってりゃあ結構可愛いじゃねえか」
ちゃんと掛かっていなかった布団をかけてやりながら、そんな事をつぶやく。まさに残念な美少女だよな……。
「ん? なんだこれ」
そんな彼女を眺めていると、彼女の隣に小さなネックレスがあるのを見つける。こんなのものこいつ付けていたっけ。誰かからもらった物とかかな。例えば親からとか。
(そういえば、こいつの両親ってどうしたんだろ)
城の中で一度も見かけたことがないし、そういう写真があったというわけでもない。でも親がいないわけじゃないだろうし……。
(もしかしたら、何か秘密があるのかな……)
でもそれに触れると確実に本人が怒りそうなので、今は見なかったことにしておこう。
「さてと、起こしちゃう前に部屋に戻るか」
気持ちよさそうに眠っている彼女を起こすと可哀想なので、俺は静かに部屋を出ていくのであった。
コメント