俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第18話今までになかった気持ち
坂本由奈とは腐れ縁で小学校から高校まで一緒の学校に通っていた。家が近所ということもあり、よくお互いの家に遊びに行ったりしたこともある。大学に通い始めてからは、なかなか連絡を取れずにいたが、その彼女が何故か今目の前にいる。
「ななな、何でお前がここにいるんだよ由奈」
あまりに突然の出来事に、俺は愕然としていると由奈はいきなりれの頬を叩いてきた。
「痛っ! 何すんだよ」
「それはこっちのセリフよ! 半年間も連絡しないで、こっちはどれだけ心配したと思っているのよ!」
「ご、ごめん」
言われてみれば半年間って、とてつもなく長い時間だ。その間、俺はこっちの世界で復興を目指して頑張ったりしてきた。だがそれと同時に、元の世界でも同じ様に時間が流れているわけで、今頃あっちの世界では大騒ぎになっているに違いない。
「ごめんで済んだら、警察はいらないわよ。とにかく今すぐ帰るわよ」
「帰るってどこに?」
「勿論元いた場所よ。ほら、さっさと立って」
「って、いや、おい、戻ることはできないぞ」
無理やり立ち上がらされて、部屋の扉から元の世界に戻ろうとする由奈。恐らく入ってきた場所から、元の世界に戻れると思ったんだろう。だがそういうわけにはいかない。扉を開いた先に待っていたのは、俺達の世界ではなくココネだった。
「あ、あれ?」
「だから言ったじゃん。戻れないって」
「どうして!? ていうかこの子誰?」
「人の部屋に勝手に入っておいて、よくそんな事言えるわねぇ」
「ま。待てココネ。こいつは……」
「今すぐこの女を牢に閉じ込めなさーい!」
『えぇぇぇぇ!?』
■□■□■□
結局人の話を聞かなかったココネは、由奈を牢屋に投獄。あまりにも可哀想なので、しばらくは俺が側にいてやることにした。
「悪い由奈、あいつにはちゃんと説明しておくから、今だけは我慢してくれ」
「説明するより先に、早く私をここから出して。何でこんな目に合わなきゃいけないのよ」
「それは多分、お前がいきなりこの世界にやって来たからだよ。もそもどうやってこの世界に来たんだよ」
一度閉じられたらこっちから開けない限り来れないはずなのだが、何故か彼女はこの世界に来てしまっている。一体どうやって来たというのだろうか?
「うーん、それが思い出せないのよ。私がどうやってこの世界に来たのか」
「思い出せない? 俺は明確に覚えているんだけど」
「圭ちゃんはどうして覚えているの? ていうかそもそもどうやってこんな世界に来たの? そしてさっきの生意気な女の子は誰よ」
次々と説明を求めてくる由奈。俺も最初はこんな感じだったのだろうか?
「今から説明するから、とりあえず落ち着け」
俺も最初の頃そうだったなら、何でも聞きたくなる。だからこそ、落ち着かなければならない。そうでないと、正直、これから話すことが受け入れるには時間がかかりそうなことばかりな為、パニックになりかねない。
「まず話さなければいけないのは、この世界のことなんだけどさ……」
十分後。
これまでにあった事を全て説明し、とりあえず自分の現状を納得してもらった。
「政略結婚ねと国づくりね……。随分厄介な役回りになったのね」
「本当だよ。でも結構楽しいんだよこれが」
「そう? 私はそんなに楽しい内容だとは思えないけど」
「最初は俺もそう思っていたけど、いざ始めるとやりがいがあるんだよな。苦労は沢山あるけど」
「ふーん」
どこか疑いの目を俺に向ける由奈。もしかして何か勘づいているのだろうか?
「もしかして圭ちゃん、あの姫に恋しているでしょ」
「んなっ! そ、そんなわけないだろ」
思いもよらない言葉が由奈から飛び出して来て、俺は思わず動揺してしまう。それを見た由奈に、更に怪しげな目線を向けられる。
「ほら動揺している。それに好きでもなんでもなかったら、こんな所にずっといないもんね」
「それは、単に帰る方法がないだけでな……」
「嘘ばっかり。そう思っているなら、面白いなんて言わないでしょ圭ちゃんは昔から」
「そ、そんな単純な男じゃないぞ俺は」
いや、確かに最近は国づくりが楽しく感じるし、この先もまだまだ頑張っていく気が起きている。
(それは分かっているんだ。だから尚更……)
そんなやましい思いがあるはずがない。そう、あるはずがないんだ。俺があいつに恋をしているだなんて、そんな思いが……。
「その考えが単純なの圭ちゃんは。昔からそういう人だって私知っているから」
「いや、だから違うって……」
「だったらどうして、圭ちゃんはあの日来てくれなかったの? それって自分の中で答えが決まっていなかったからだよね」
「あの日ってお前、だって……」
もう数年も前になる話を突然切り出されて更に動揺してしまう。あの日のことは、確かに俺は申し訳ないことをしてしまった。まさかそれがあの結末を迎えるだなんて、その時は思ってもいなかったし、それに……。
「言い訳はいいのよ! 圭ちゃんは何でもかんでも優柔不断だし、自分の気持ちを適当に誤魔化そうとするし、それがあの結果を生み出したのに、何の反省もしてない」
「反省してない訳無いだろ! 俺だってな……本当はな……」
「もういいわよ、その話あまり私もしたくないから」
「だよな……」
思い出すだけで後悔する程の過去が俺と由奈にはある。二度と報われないその後悔は、ずっと俺を縛り続けている。
「それよりも早く私をここから出して!」
「分かったよ。今あいつに事情を話してくるから、ちょっと待ってろ」
流石にいつまでも牢屋に閉じ込めておくのは可哀想なので、俺はすぐにココネに事情を説明しに行くのであった。
■□■□■□
「え? あんたの幼馴染なの?」
「そうなんだよ。どういうわけあってかこっちの世界にやって来たらしくてさ」
ココネに由奈の事について話終えた後、彼女にしては珍しく真剣に悩み始めた。
「おかしいわね。異世界の扉はもう閉じられているはずなのに、どうして彼女はこの世界に来られたのかしら」
「俺と違ってどうやって来たかすら覚えていないらしい。大体予想はつくんだけど、それでもやっぱり不自然だよな」
「ええ」
誰かが意図的に開かなければ絶対に来られないはずなのに、何故か由奈は来れてしまった。それは扉の存在を知っている誰かが、勝手に開けて彼女を呼んだとしか考えられない。記憶を消したのは、もしかしたら自分にとって何か不都合なことがあったのかもしれない。
「とにかく、そういう事だから由奈を牢屋から出してくれないか? 別にあいつも悪気があって入ったわけじゃないんだからさ」
「分かったわ。でもその前に一つ聞いていい?」
「何だ」
「前々からあんた心残りがあるって言っていたけど、もしかして彼女のことを言っていたの?」
「えっと、それは……」
そういえば言っていたっけそんな事。
(でもそれは本当なんだよな……)
由奈と俺の二人、いや三人の事で一つだけけじめをつけようとしていたんだけど、まさかの異世界転移、そして再会と、予想外な事ばかりが続いていて、今はそれどころの話ではなくなり始めている。
でももし、一度でもチャンスがあるなら彼女はここにいるのだから、ちゃんと話をしなければならない。これは俺が今越えるべき壁だ。
「詳しい事は私知らないけど、頑張りなさいよ」
「ああ」
ココネに背中を押された俺は、先ほどの由奈の言葉を思い出していた。
(俺がココネの事を……か)
半年も同じ時間を過ごしてきて、そんな事一度も考えたことなかったな。
「ななな、何でお前がここにいるんだよ由奈」
あまりに突然の出来事に、俺は愕然としていると由奈はいきなりれの頬を叩いてきた。
「痛っ! 何すんだよ」
「それはこっちのセリフよ! 半年間も連絡しないで、こっちはどれだけ心配したと思っているのよ!」
「ご、ごめん」
言われてみれば半年間って、とてつもなく長い時間だ。その間、俺はこっちの世界で復興を目指して頑張ったりしてきた。だがそれと同時に、元の世界でも同じ様に時間が流れているわけで、今頃あっちの世界では大騒ぎになっているに違いない。
「ごめんで済んだら、警察はいらないわよ。とにかく今すぐ帰るわよ」
「帰るってどこに?」
「勿論元いた場所よ。ほら、さっさと立って」
「って、いや、おい、戻ることはできないぞ」
無理やり立ち上がらされて、部屋の扉から元の世界に戻ろうとする由奈。恐らく入ってきた場所から、元の世界に戻れると思ったんだろう。だがそういうわけにはいかない。扉を開いた先に待っていたのは、俺達の世界ではなくココネだった。
「あ、あれ?」
「だから言ったじゃん。戻れないって」
「どうして!? ていうかこの子誰?」
「人の部屋に勝手に入っておいて、よくそんな事言えるわねぇ」
「ま。待てココネ。こいつは……」
「今すぐこの女を牢に閉じ込めなさーい!」
『えぇぇぇぇ!?』
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結局人の話を聞かなかったココネは、由奈を牢屋に投獄。あまりにも可哀想なので、しばらくは俺が側にいてやることにした。
「悪い由奈、あいつにはちゃんと説明しておくから、今だけは我慢してくれ」
「説明するより先に、早く私をここから出して。何でこんな目に合わなきゃいけないのよ」
「それは多分、お前がいきなりこの世界にやって来たからだよ。もそもどうやってこの世界に来たんだよ」
一度閉じられたらこっちから開けない限り来れないはずなのだが、何故か彼女はこの世界に来てしまっている。一体どうやって来たというのだろうか?
「うーん、それが思い出せないのよ。私がどうやってこの世界に来たのか」
「思い出せない? 俺は明確に覚えているんだけど」
「圭ちゃんはどうして覚えているの? ていうかそもそもどうやってこんな世界に来たの? そしてさっきの生意気な女の子は誰よ」
次々と説明を求めてくる由奈。俺も最初はこんな感じだったのだろうか?
「今から説明するから、とりあえず落ち着け」
俺も最初の頃そうだったなら、何でも聞きたくなる。だからこそ、落ち着かなければならない。そうでないと、正直、これから話すことが受け入れるには時間がかかりそうなことばかりな為、パニックになりかねない。
「まず話さなければいけないのは、この世界のことなんだけどさ……」
十分後。
これまでにあった事を全て説明し、とりあえず自分の現状を納得してもらった。
「政略結婚ねと国づくりね……。随分厄介な役回りになったのね」
「本当だよ。でも結構楽しいんだよこれが」
「そう? 私はそんなに楽しい内容だとは思えないけど」
「最初は俺もそう思っていたけど、いざ始めるとやりがいがあるんだよな。苦労は沢山あるけど」
「ふーん」
どこか疑いの目を俺に向ける由奈。もしかして何か勘づいているのだろうか?
「もしかして圭ちゃん、あの姫に恋しているでしょ」
「んなっ! そ、そんなわけないだろ」
思いもよらない言葉が由奈から飛び出して来て、俺は思わず動揺してしまう。それを見た由奈に、更に怪しげな目線を向けられる。
「ほら動揺している。それに好きでもなんでもなかったら、こんな所にずっといないもんね」
「それは、単に帰る方法がないだけでな……」
「嘘ばっかり。そう思っているなら、面白いなんて言わないでしょ圭ちゃんは昔から」
「そ、そんな単純な男じゃないぞ俺は」
いや、確かに最近は国づくりが楽しく感じるし、この先もまだまだ頑張っていく気が起きている。
(それは分かっているんだ。だから尚更……)
そんなやましい思いがあるはずがない。そう、あるはずがないんだ。俺があいつに恋をしているだなんて、そんな思いが……。
「その考えが単純なの圭ちゃんは。昔からそういう人だって私知っているから」
「いや、だから違うって……」
「だったらどうして、圭ちゃんはあの日来てくれなかったの? それって自分の中で答えが決まっていなかったからだよね」
「あの日ってお前、だって……」
もう数年も前になる話を突然切り出されて更に動揺してしまう。あの日のことは、確かに俺は申し訳ないことをしてしまった。まさかそれがあの結末を迎えるだなんて、その時は思ってもいなかったし、それに……。
「言い訳はいいのよ! 圭ちゃんは何でもかんでも優柔不断だし、自分の気持ちを適当に誤魔化そうとするし、それがあの結果を生み出したのに、何の反省もしてない」
「反省してない訳無いだろ! 俺だってな……本当はな……」
「もういいわよ、その話あまり私もしたくないから」
「だよな……」
思い出すだけで後悔する程の過去が俺と由奈にはある。二度と報われないその後悔は、ずっと俺を縛り続けている。
「それよりも早く私をここから出して!」
「分かったよ。今あいつに事情を話してくるから、ちょっと待ってろ」
流石にいつまでも牢屋に閉じ込めておくのは可哀想なので、俺はすぐにココネに事情を説明しに行くのであった。
■□■□■□
「え? あんたの幼馴染なの?」
「そうなんだよ。どういうわけあってかこっちの世界にやって来たらしくてさ」
ココネに由奈の事について話終えた後、彼女にしては珍しく真剣に悩み始めた。
「おかしいわね。異世界の扉はもう閉じられているはずなのに、どうして彼女はこの世界に来られたのかしら」
「俺と違ってどうやって来たかすら覚えていないらしい。大体予想はつくんだけど、それでもやっぱり不自然だよな」
「ええ」
誰かが意図的に開かなければ絶対に来られないはずなのに、何故か由奈は来れてしまった。それは扉の存在を知っている誰かが、勝手に開けて彼女を呼んだとしか考えられない。記憶を消したのは、もしかしたら自分にとって何か不都合なことがあったのかもしれない。
「とにかく、そういう事だから由奈を牢屋から出してくれないか? 別にあいつも悪気があって入ったわけじゃないんだからさ」
「分かったわ。でもその前に一つ聞いていい?」
「何だ」
「前々からあんた心残りがあるって言っていたけど、もしかして彼女のことを言っていたの?」
「えっと、それは……」
そういえば言っていたっけそんな事。
(でもそれは本当なんだよな……)
由奈と俺の二人、いや三人の事で一つだけけじめをつけようとしていたんだけど、まさかの異世界転移、そして再会と、予想外な事ばかりが続いていて、今はそれどころの話ではなくなり始めている。
でももし、一度でもチャンスがあるなら彼女はここにいるのだから、ちゃんと話をしなければならない。これは俺が今越えるべき壁だ。
「詳しい事は私知らないけど、頑張りなさいよ」
「ああ」
ココネに背中を押された俺は、先ほどの由奈の言葉を思い出していた。
(俺がココネの事を……か)
半年も同じ時間を過ごしてきて、そんな事一度も考えたことなかったな。
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