俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第57話歴史の中に眠る真実①
由奈が再び目を覚ましたのは、それから十分後。ココネが連れ去られた事があまりにショックだった俺は、彼女に声をかけられるまで気付かなかった。
「え? ココネちゃんが?」
「……ああ」
「もしかして私のせいなんじゃ……」
「由奈は何も悪くない。俺が何もかも甘すぎたんだ。だから、こんな簡単な罠にも引っかかったし、ココネも連れ去られた。全部俺の責任だ」
もっと早くに気づけたことに俺は気付けなかった。だから簡単な罠にもハマるし、大切な人も連れ去られてしまった。
「俺が……もっとしっかりしていれば……」
「圭一君、しっかりしなきゃ! 助けに行かないとココネちゃんを」
「わかっているけど、牢屋はあちらから閉められているし、鍵も持ってかれている。だから出たくても出れないんだよ」
「そんな……。でもリタちゃんが異変に気づいて助けに来てくれるかも」
「俺もそれを信じて待っているんだけど、かれこれ十分以上経っている。もしかしたら上でも何か起きているかもしれない」
あの二人が、何もせずに出て行く訳が無い。確実に上で何かが起きているのは間違いないだろうし、リタだって異変に気づいていればすぐに駆けつけているはずだ。
(これはもしや、手詰まりか?)
今の俺たちん現状を打破できる手段なんてない。でも諦めたらココネに何が起きるかわからない。それに、
(あの野郎を一発殴らないと気がすまない)
セレスはココネが信頼していた唯一の人間だ。その人物に裏切られた彼女の痛みは、計り知れない。だからその痛みをセレスにぶつける。それができるまでは、こんな所で終わるわけにはいかない。
「じゃあどうすればいいの? このままだとココネちゃんが……」
「分かっている。分かってるから……」
誰か、誰でもいい。俺達を助けてくれ。でないと、一生後悔する事になってしまう。だから……。
「どうやら、またお困りのようですわね」
そう願っていると、牢屋の入口の方から声が聞こえた。この声はまさか……。
「この状況を見る限り、今度はただ事ではなさそうですわね」
「め、メリアーナ!」
姿を現したのは、ロリータの修復の際に一度だけお会いした、ヴァンダルシア伯爵家の妻のメリアーナだった。
「ご機嫌いかかでしょうか? 国王様」
■□■□■□
思わぬ人物の登場により、何とか牢屋から脱出することに成功した俺と由奈は、メリアーナと共に城内へ。
地下から上がって、すぐに俺はこの城に何が起きたか異変を察知した。
「何か変な匂いがするな」
「これは恐らく催眠効果のあるガスですわね。今は大分弱っているので吸っても問題なさそうですわね」
「え? 何で分かるの二人共。私全然分からない」
「俺も直感的にそう思っただけだからたまたまだよ。でもどうしてメリアーナはガスが充満しているのにここまで来れたんだ? そもそも何でここにいたんだ?」
「それは後ほど説明いたしますわ。それよりもお姫様の救出に向かわなければならないのでは?」
「ココネの救出は今すぐにでも行きたい。けど、手がかりが一つもないからなぁ」
牢屋から脱出出来たとは言え、二人がどこへココネを連れ去ったのかまでは分からない。そんな雲をつかむような状況で、すぐに動き出せられない。それに城の事もあるし、優先すべき事が沢山ある。
「ていうか何で知っているんだ? ココネが連れ去られたこと」
「この状況を見ればひと目で分かりますわよ。それにあなた達は重大な秘密を隠していたのも筒抜けですわよ」
「それってもしかして、カグヤの事か?」
「その少女の件もそうですが、もう一つあなた達に仕えていたセレスという執事の方の事もですわね」
「え? 何か知っているのか? セレスのこと」
俺やココネですら詳しくは知らないらしいのに、それ以上の情報を彼女は知っているというのだろうか? いや、彼女ではなくヴァンダルシア伯爵家が何かを知っているのだろうか?
「そうですわね……。彼のことを話す前に、まずあなた達にはこの国の歴史を知ってもらう必要がございますから、少々お時間をいただけないでしょうか?」
「この国の歴史を?」
■□■□■□
かなり大切な話をするという事なので、一旦大広間へ(途中で確認したが、やはりリタはガスで眠らされていたが、大きな問題はなかった)。俺と由奈の向かい側にメリアーナが座り、話を再開させる。
「ちなみに国王様は、この国の歴史はどの辺りまでご存知で?
「ココネからある程度は聞いたことがあるけど、そんな大層なものじゃないと思う。あくまで彼女が知る範囲での歴史だし」
「ではそれよりも前の話はご存知ではないのですわね。今からお話するのはまだココネ姫が生まれるよりも前です」
「ココネが生まれるよりも前の話?」
「かつてこの世界では、人と魔物による大きな戦いがありました。勿論ナルカディアにもその戦いの余波は広がり、被害はかなりの大きいものでした」
チラッとどこかでそんな話を聞いたことがあるようなないような気がするけど、ココネからその話を聞いたことはない。ていうか生まれていないのだから当たり前か。
「人と魔物の戦争……」
つまりココネが扉を開く前にもこの世界には、魔物が存在したといことになる。いや、もしかしたら誰かが同じように開いたのだろうか? あの扉を。
「国民はその被害の大きさに、誰もが絶望していました。そんな中でも国民を奮起させ、再び元の国の形にした方々いました」
「それって……」
「はい。ナルカディア王国の先代の国王ローウェンとココロ姫、つまりココネ姫の両親です」
つまり今から彼女の口から語られるのは、俺達の前の代の話ってことか。
ココネの両親の代のナルカディア王国。
本人から両親の話はあまり聞いたことはないが、一体その歴史の中に何が隠されているのだろうか?
「これは今から四十年程前の話です」
「え? ココネちゃんが?」
「……ああ」
「もしかして私のせいなんじゃ……」
「由奈は何も悪くない。俺が何もかも甘すぎたんだ。だから、こんな簡単な罠にも引っかかったし、ココネも連れ去られた。全部俺の責任だ」
もっと早くに気づけたことに俺は気付けなかった。だから簡単な罠にもハマるし、大切な人も連れ去られてしまった。
「俺が……もっとしっかりしていれば……」
「圭一君、しっかりしなきゃ! 助けに行かないとココネちゃんを」
「わかっているけど、牢屋はあちらから閉められているし、鍵も持ってかれている。だから出たくても出れないんだよ」
「そんな……。でもリタちゃんが異変に気づいて助けに来てくれるかも」
「俺もそれを信じて待っているんだけど、かれこれ十分以上経っている。もしかしたら上でも何か起きているかもしれない」
あの二人が、何もせずに出て行く訳が無い。確実に上で何かが起きているのは間違いないだろうし、リタだって異変に気づいていればすぐに駆けつけているはずだ。
(これはもしや、手詰まりか?)
今の俺たちん現状を打破できる手段なんてない。でも諦めたらココネに何が起きるかわからない。それに、
(あの野郎を一発殴らないと気がすまない)
セレスはココネが信頼していた唯一の人間だ。その人物に裏切られた彼女の痛みは、計り知れない。だからその痛みをセレスにぶつける。それができるまでは、こんな所で終わるわけにはいかない。
「じゃあどうすればいいの? このままだとココネちゃんが……」
「分かっている。分かってるから……」
誰か、誰でもいい。俺達を助けてくれ。でないと、一生後悔する事になってしまう。だから……。
「どうやら、またお困りのようですわね」
そう願っていると、牢屋の入口の方から声が聞こえた。この声はまさか……。
「この状況を見る限り、今度はただ事ではなさそうですわね」
「め、メリアーナ!」
姿を現したのは、ロリータの修復の際に一度だけお会いした、ヴァンダルシア伯爵家の妻のメリアーナだった。
「ご機嫌いかかでしょうか? 国王様」
■□■□■□
思わぬ人物の登場により、何とか牢屋から脱出することに成功した俺と由奈は、メリアーナと共に城内へ。
地下から上がって、すぐに俺はこの城に何が起きたか異変を察知した。
「何か変な匂いがするな」
「これは恐らく催眠効果のあるガスですわね。今は大分弱っているので吸っても問題なさそうですわね」
「え? 何で分かるの二人共。私全然分からない」
「俺も直感的にそう思っただけだからたまたまだよ。でもどうしてメリアーナはガスが充満しているのにここまで来れたんだ? そもそも何でここにいたんだ?」
「それは後ほど説明いたしますわ。それよりもお姫様の救出に向かわなければならないのでは?」
「ココネの救出は今すぐにでも行きたい。けど、手がかりが一つもないからなぁ」
牢屋から脱出出来たとは言え、二人がどこへココネを連れ去ったのかまでは分からない。そんな雲をつかむような状況で、すぐに動き出せられない。それに城の事もあるし、優先すべき事が沢山ある。
「ていうか何で知っているんだ? ココネが連れ去られたこと」
「この状況を見ればひと目で分かりますわよ。それにあなた達は重大な秘密を隠していたのも筒抜けですわよ」
「それってもしかして、カグヤの事か?」
「その少女の件もそうですが、もう一つあなた達に仕えていたセレスという執事の方の事もですわね」
「え? 何か知っているのか? セレスのこと」
俺やココネですら詳しくは知らないらしいのに、それ以上の情報を彼女は知っているというのだろうか? いや、彼女ではなくヴァンダルシア伯爵家が何かを知っているのだろうか?
「そうですわね……。彼のことを話す前に、まずあなた達にはこの国の歴史を知ってもらう必要がございますから、少々お時間をいただけないでしょうか?」
「この国の歴史を?」
■□■□■□
かなり大切な話をするという事なので、一旦大広間へ(途中で確認したが、やはりリタはガスで眠らされていたが、大きな問題はなかった)。俺と由奈の向かい側にメリアーナが座り、話を再開させる。
「ちなみに国王様は、この国の歴史はどの辺りまでご存知で?
「ココネからある程度は聞いたことがあるけど、そんな大層なものじゃないと思う。あくまで彼女が知る範囲での歴史だし」
「ではそれよりも前の話はご存知ではないのですわね。今からお話するのはまだココネ姫が生まれるよりも前です」
「ココネが生まれるよりも前の話?」
「かつてこの世界では、人と魔物による大きな戦いがありました。勿論ナルカディアにもその戦いの余波は広がり、被害はかなりの大きいものでした」
チラッとどこかでそんな話を聞いたことがあるようなないような気がするけど、ココネからその話を聞いたことはない。ていうか生まれていないのだから当たり前か。
「人と魔物の戦争……」
つまりココネが扉を開く前にもこの世界には、魔物が存在したといことになる。いや、もしかしたら誰かが同じように開いたのだろうか? あの扉を。
「国民はその被害の大きさに、誰もが絶望していました。そんな中でも国民を奮起させ、再び元の国の形にした方々いました」
「それって……」
「はい。ナルカディア王国の先代の国王ローウェンとココロ姫、つまりココネ姫の両親です」
つまり今から彼女の口から語られるのは、俺達の前の代の話ってことか。
ココネの両親の代のナルカディア王国。
本人から両親の話はあまり聞いたことはないが、一体その歴史の中に何が隠されているのだろうか?
「これは今から四十年程前の話です」
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