俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第68話刻印と記憶 前編
ココネが何故記憶を失ってしまったのかお礼はさっぱり分からなかった。カグヤとの戦いの直後まではちゃんと記憶があったはずなのに、どうしてこうなってしまったのかさっぱり分からない。
(俺はどうすればいいんだ……)
人の記憶の取り戻し方なんてあるはずがないし、彼女に思い出したくない事まで思い出させるのは流石に辛い。でもだからと言ってこのまま無視できるはずがないという葛藤が、俺の中でずっと回り続けていた。ただでさえ早くナルカディアに戻らなければならないというのに、この島を出る以前に大きな問題を抱えてしまっては意味がない。
(きっと由奈達も心配しているだろうな)
もうすぐ城を出てから一週間が経つ。恐らく俺達は行方不明扱いになているだろうし、これ以上心配をかけてしまっては、二人が可哀想だ。
「またこんな所にいても、何にも解決しないよ」
どうしようもない現実を受け入れられず、ここ数日俺は海岸で一人黄昏ていた。流石にそれが何日も続いていることを心配して、ルナが話しかけてきた。
「解決しようにも、その手段がないのだから意味がないだろ」
「ケイイチさんはそうやって諦めているからダメなの。きっと何とかできるって」
「何度も何度も考えても、何も思いつかなかったんだ。試したりだってした。けど、ココネは何も思い出さなかった。それがどれだけ辛いかお前には分からないだろ」
「……分かるよ」
「は? お前何を言っているんだ?」
「私だって同じだから分かるよ!」
突然大声をだすルナにビクッとしてしまう。いきなり何を言い出すんだこいつは。というか同じって、どういう事だ?
「ココネさん、肩に刻印があるでしょ。あれ、実は私達姉妹も同じように刻印があるの」
「え? 二人も?」
「どうしてこんなものがあるのか分からない。忘れているだけなのかもしれないけど、それすらも思い出せない。だって私達、小さい頃の記憶どころかお父さんとお母さんの記憶もないのだから」
「それって……」
「部分的ではあるけど、私達……ううん、この島に住んでいる人達のほとんどが記憶喪失にあっているの。そして、皆同じように肩に刻印があるの」
「なん……だと」
この島にいる人のほとんどが記憶喪失だなんて、そんなオカルトじみた話有り得るだろうか?
「あり得るからこうやって話しているの。私達だって嘘だって思いたいけど、ちゃんと自分と向き合おうとしているの。それなのにあなたは、最初から諦めているでしょ。だからそれが許せなくて……急に怒鳴ってごめんなさい」
「いや、謝らなくていいよ。元はといえば俺が悪いんだから」
ただ俺は、どうしようもない現実に向き合えないだけ。名前だけ覚えていられても、今までの思い出を彼女は全てを忘れてしまっている。それがすごく悲しくて、辛くて、こんな現実嘘だとしか思えなかった。けどここに、同じような痛みを抱えている人達がいる。俺とは違って、しっかりと向き合って戦っている人達がいる。だったら俺が選ぶ道は……。
「なあルナ」
「何?」
「急に忘れかけていた記憶を思い出すのは難しいかもしれないけど、俺に協力してほしい。国のため、あいつの為に俺はココネの記憶を取り戻したい。勿論この島の住人の記憶も取り戻せるように努力するから」
「その言葉に、偽りがないのなら、私はとことん協力しますよ」
「ありがとう」
ひたすら前に進んでいくだけだ。
■□■□■□
その日から早速、俺とルナは協力して記憶喪失の原因について調べることにした。まず一つ全員に共通していることは、皆が同じように刻印を刻んでいること。それはあのカグヤにだって同じことが言える。もしも仮に、俺が以前立てた記憶操作という前提が間違っているなら、彼女がそれに値するというのは間違っていないのかもしれない。
「でも確か、この刻印って魔物の襲撃にあい、傷を負った人に刻まれるものだったよな」
「うん」
「でもそれを仮定にすると、色々と矛盾が生まれることがある」
「矛盾?」
「実は俺と一緒にこの世界にきた由奈っていう幼馴染が、同じ被害にあった。記憶喪失にはなっていないけど、肩にはあの刻印が何故かできていた」
「確かにそれは今までの仮定とは大分違うね」
「それともう一つ。これはかなり重要なんだけど、俺自身以前魔物の襲撃にあっている。けど、俺の肩にはそんな刻印なんてない」
「え? それってつまり……」
「ああ。もしかしたら今までの考えがもしかしたら間違っていた可能性が高いのかもしれない」
そうだとしたら、今までに刻印が刻まれてしまった人達は、何の被害にあってこうなってしまったのだろうか? そこから考えていけば、もしかしたら今まで解けなかった謎も解けるかもしれない。
「ふうん、今までの仮定を全て崩すなんてなかなか面白いこと考えますね」
「え?」
突如俺達の会話に第三者が入ってくる。その声に当然聞き覚えのある俺は、慌てて声がした方を向いた。
「まさかこんなところで生き延びているとは驚きましたよ。タカヤマケイイチさん」
「カグヤ! どうしてお前がここに?」
予想もしていなかった人物の登場に俺は動揺を隠せない。隣にいたルナは何が起きているか理解できていない状態に……。
「あ、あ、あぁ」
「ルナ?」
なっていなく、先ほどの様子とは打って変わってどこか怯えているような顔をしていた。
「あら? お隣にいるのはもしかして……」
「ど、どうしてあなたがここに?」
「どうしても何も、あなたは私の大切な娘。会いに来るのは当然じゃないですか」
「は?」
ルナがカグヤの娘?
(俺はどうすればいいんだ……)
人の記憶の取り戻し方なんてあるはずがないし、彼女に思い出したくない事まで思い出させるのは流石に辛い。でもだからと言ってこのまま無視できるはずがないという葛藤が、俺の中でずっと回り続けていた。ただでさえ早くナルカディアに戻らなければならないというのに、この島を出る以前に大きな問題を抱えてしまっては意味がない。
(きっと由奈達も心配しているだろうな)
もうすぐ城を出てから一週間が経つ。恐らく俺達は行方不明扱いになているだろうし、これ以上心配をかけてしまっては、二人が可哀想だ。
「またこんな所にいても、何にも解決しないよ」
どうしようもない現実を受け入れられず、ここ数日俺は海岸で一人黄昏ていた。流石にそれが何日も続いていることを心配して、ルナが話しかけてきた。
「解決しようにも、その手段がないのだから意味がないだろ」
「ケイイチさんはそうやって諦めているからダメなの。きっと何とかできるって」
「何度も何度も考えても、何も思いつかなかったんだ。試したりだってした。けど、ココネは何も思い出さなかった。それがどれだけ辛いかお前には分からないだろ」
「……分かるよ」
「は? お前何を言っているんだ?」
「私だって同じだから分かるよ!」
突然大声をだすルナにビクッとしてしまう。いきなり何を言い出すんだこいつは。というか同じって、どういう事だ?
「ココネさん、肩に刻印があるでしょ。あれ、実は私達姉妹も同じように刻印があるの」
「え? 二人も?」
「どうしてこんなものがあるのか分からない。忘れているだけなのかもしれないけど、それすらも思い出せない。だって私達、小さい頃の記憶どころかお父さんとお母さんの記憶もないのだから」
「それって……」
「部分的ではあるけど、私達……ううん、この島に住んでいる人達のほとんどが記憶喪失にあっているの。そして、皆同じように肩に刻印があるの」
「なん……だと」
この島にいる人のほとんどが記憶喪失だなんて、そんなオカルトじみた話有り得るだろうか?
「あり得るからこうやって話しているの。私達だって嘘だって思いたいけど、ちゃんと自分と向き合おうとしているの。それなのにあなたは、最初から諦めているでしょ。だからそれが許せなくて……急に怒鳴ってごめんなさい」
「いや、謝らなくていいよ。元はといえば俺が悪いんだから」
ただ俺は、どうしようもない現実に向き合えないだけ。名前だけ覚えていられても、今までの思い出を彼女は全てを忘れてしまっている。それがすごく悲しくて、辛くて、こんな現実嘘だとしか思えなかった。けどここに、同じような痛みを抱えている人達がいる。俺とは違って、しっかりと向き合って戦っている人達がいる。だったら俺が選ぶ道は……。
「なあルナ」
「何?」
「急に忘れかけていた記憶を思い出すのは難しいかもしれないけど、俺に協力してほしい。国のため、あいつの為に俺はココネの記憶を取り戻したい。勿論この島の住人の記憶も取り戻せるように努力するから」
「その言葉に、偽りがないのなら、私はとことん協力しますよ」
「ありがとう」
ひたすら前に進んでいくだけだ。
■□■□■□
その日から早速、俺とルナは協力して記憶喪失の原因について調べることにした。まず一つ全員に共通していることは、皆が同じように刻印を刻んでいること。それはあのカグヤにだって同じことが言える。もしも仮に、俺が以前立てた記憶操作という前提が間違っているなら、彼女がそれに値するというのは間違っていないのかもしれない。
「でも確か、この刻印って魔物の襲撃にあい、傷を負った人に刻まれるものだったよな」
「うん」
「でもそれを仮定にすると、色々と矛盾が生まれることがある」
「矛盾?」
「実は俺と一緒にこの世界にきた由奈っていう幼馴染が、同じ被害にあった。記憶喪失にはなっていないけど、肩にはあの刻印が何故かできていた」
「確かにそれは今までの仮定とは大分違うね」
「それともう一つ。これはかなり重要なんだけど、俺自身以前魔物の襲撃にあっている。けど、俺の肩にはそんな刻印なんてない」
「え? それってつまり……」
「ああ。もしかしたら今までの考えがもしかしたら間違っていた可能性が高いのかもしれない」
そうだとしたら、今までに刻印が刻まれてしまった人達は、何の被害にあってこうなってしまったのだろうか? そこから考えていけば、もしかしたら今まで解けなかった謎も解けるかもしれない。
「ふうん、今までの仮定を全て崩すなんてなかなか面白いこと考えますね」
「え?」
突如俺達の会話に第三者が入ってくる。その声に当然聞き覚えのある俺は、慌てて声がした方を向いた。
「まさかこんなところで生き延びているとは驚きましたよ。タカヤマケイイチさん」
「カグヤ! どうしてお前がここに?」
予想もしていなかった人物の登場に俺は動揺を隠せない。隣にいたルナは何が起きているか理解できていない状態に……。
「あ、あ、あぁ」
「ルナ?」
なっていなく、先ほどの様子とは打って変わってどこか怯えているような顔をしていた。
「あら? お隣にいるのはもしかして……」
「ど、どうしてあなたがここに?」
「どうしても何も、あなたは私の大切な娘。会いに来るのは当然じゃないですか」
「は?」
ルナがカグヤの娘?
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