俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第73話ルイヴァック島の秘密 前編
『今あなた達が流れ着いたルイヴァック島は、ずっと昔に滅んでしまった島なんです』
あまりに予想外な言葉に俺は驚きを隠せずにいた。確かに色々と気になっていた点はいくつもあった。例えばこの島の歴史が書かれている書物。あまり気にはしていなかったのだが、何故か年表は丁度九十年前で止まっていて、その年に何が起きたのかすら書かれていなかった。でもまさかそれが、こんな答えを生み出すなんて思いもしなかった。
「それは本当なのか?」
『紛れもない事実です。そしてあなた達は何故かその島に流れ着いてしまいました。これは単なる偶然ではなく、誰かが必然的に起こしたものだと思われます』
「誰かが必然的に起こせるものなのか?」
『そこまでは私には分かりません。しかしここであなたがこの島の歴史を知らされているということは、何者かの魂が何かしらの理由で導いたのかもしれませんね。この幻想空間に』
幻想空間。
本来そこにないはずの空間、俺とココネはカグヤとの事件の後その空間に飲み込まれてしまった。一体誰がどういった理由で、このような事を起こしたのか分からない。そして何故この幻想空間に、現物と思われる『始まりの物語』が存在しているのか、色々と謎だけが深まっていくばかりだ。
(というか何故カグヤがこの空間に入れたんだ?)
深く考えていく内に一つの疑問が生まれる。何故この前カグヤは幻想空間に閉じ込められている俺達に姿を見せられたのだろうか? 更に言えば何故百年も前の人物が、現世に生きているカグヤに怯えだしたのだろうか? 深く考えれば考えるほど疑問が生まれてくる。
『私も今回の事象に関しては分からないことだらけです。本来この本は本土の方に眠っているのですが、何故今それがこの遺跡にあるのか謎なんです』
「え? じゃああれは元からあの遺跡に置いてあったわけではなく誰かが置いたということなのか?」
『そういう事になります。そしてそれが可能と思われる人物はただ一人』
「その一人ってもしかして」
『はい。あなた方もよく知っているカグヤという少女です。彼女は……この……』
突如声が途切れ途切れになり始める。一体何事かと思い百年前のルイヴァック島を見ると、既にそこには何もなくなっていた。どうやら深く考え込んでいる内に、この本の最後のページにたどり着いてしまったらしい。
(という事は俺も……)
終了としたと同時に再び視界が光に包まれる。今度は元の場所に戻れると分かっているので、俺はゆっくり目を閉じ、光が収まったのを確認するとゆっくりと目を開いた。
「ケイイチさん! よかった目を覚ました……」
そして開いた先にいたのは、同じ時間軸の存在だと思っていた一人の少女。俺が突然倒れてしまったのを心配してくれていたらしく、目を覚ますまでずっと側にいてくれたらしい。
「悪いルナ、心配かけて」
「本当ビックリさせないでよね。急に倒れたからどうしようかと思ったよ、もう」
「悪かったって」
何度も謝罪の言葉を述べるが、なかなかルナは許してくれない。というより俺の心は、謝罪の心よりも、疑いの心が大きくなっていた。
(彼女は本当に、俺に嘘をついていたのかな……)
この遺跡で全てが解決するかと思っていた俺は、思いがけない展開になってしまった事に、動揺を隠せないままルナと一緒に遺跡を後にすることになった。
■□■□■□
その日の夜、寝付けなかった俺は未だに記憶が戻っていないココネの部屋にやって来て彼女の看病をしていた。
(そういえばココネは、この島に来て突然記憶喪失になったんだよな。もしかしたらこの島のことと関係あったりするのか)
今までそんな素振りすら見せなかった彼女が突然の記憶喪失。あまりに不自然すぎる上にこの島の秘密が重なってくると、やはり何かが関係しているのかと考えてしまう。もし関係があるとしたら、すぐにでも解決して彼女の記憶を取り戻したいところだが……。
「ああもう! どうなっているんだよ!」
この件の他に、ナルカディアの事とか問題が山積みだというのに、よりにもよって何でこんな所で足止めを喰らわなければならないのだろうか? しかも今も由奈達は囚われの身だというのに、助けに向かうことすらできない。このままだとナルカディアどころか彼女たちまでもが危ない。
(くそ、どうすれば……)
「ケイイ……チ?」
一人どうすればいいか悩んでいると、微かではあるが布団からココネの声がした、どうやらさっき叫んでしまったせいで、彼女を起こしてしまったらしい。
「悪いココネ、起こしちゃったか?」
「うん……」
記憶喪失になってしまったとは言え最近では少しずつではあるけど会話ができるようになってきたココネ。だが未だに記憶が戻りそうな兆しが見えてこない。
「ケイ……イチ」
「ん? どうかしたか?」
「ケイイチは……私のことを知っているの?」
「ああ、知っているさ。お前がどんな人間なのかちゃんと説明できるくらいに」
「じゃあ……教えて」
「教えてって、何を?」
「私が……ココネって人が……どんな人間なのかを……」
あまりに予想外な言葉に俺は驚きを隠せずにいた。確かに色々と気になっていた点はいくつもあった。例えばこの島の歴史が書かれている書物。あまり気にはしていなかったのだが、何故か年表は丁度九十年前で止まっていて、その年に何が起きたのかすら書かれていなかった。でもまさかそれが、こんな答えを生み出すなんて思いもしなかった。
「それは本当なのか?」
『紛れもない事実です。そしてあなた達は何故かその島に流れ着いてしまいました。これは単なる偶然ではなく、誰かが必然的に起こしたものだと思われます』
「誰かが必然的に起こせるものなのか?」
『そこまでは私には分かりません。しかしここであなたがこの島の歴史を知らされているということは、何者かの魂が何かしらの理由で導いたのかもしれませんね。この幻想空間に』
幻想空間。
本来そこにないはずの空間、俺とココネはカグヤとの事件の後その空間に飲み込まれてしまった。一体誰がどういった理由で、このような事を起こしたのか分からない。そして何故この幻想空間に、現物と思われる『始まりの物語』が存在しているのか、色々と謎だけが深まっていくばかりだ。
(というか何故カグヤがこの空間に入れたんだ?)
深く考えていく内に一つの疑問が生まれる。何故この前カグヤは幻想空間に閉じ込められている俺達に姿を見せられたのだろうか? 更に言えば何故百年も前の人物が、現世に生きているカグヤに怯えだしたのだろうか? 深く考えれば考えるほど疑問が生まれてくる。
『私も今回の事象に関しては分からないことだらけです。本来この本は本土の方に眠っているのですが、何故今それがこの遺跡にあるのか謎なんです』
「え? じゃああれは元からあの遺跡に置いてあったわけではなく誰かが置いたということなのか?」
『そういう事になります。そしてそれが可能と思われる人物はただ一人』
「その一人ってもしかして」
『はい。あなた方もよく知っているカグヤという少女です。彼女は……この……』
突如声が途切れ途切れになり始める。一体何事かと思い百年前のルイヴァック島を見ると、既にそこには何もなくなっていた。どうやら深く考え込んでいる内に、この本の最後のページにたどり着いてしまったらしい。
(という事は俺も……)
終了としたと同時に再び視界が光に包まれる。今度は元の場所に戻れると分かっているので、俺はゆっくり目を閉じ、光が収まったのを確認するとゆっくりと目を開いた。
「ケイイチさん! よかった目を覚ました……」
そして開いた先にいたのは、同じ時間軸の存在だと思っていた一人の少女。俺が突然倒れてしまったのを心配してくれていたらしく、目を覚ますまでずっと側にいてくれたらしい。
「悪いルナ、心配かけて」
「本当ビックリさせないでよね。急に倒れたからどうしようかと思ったよ、もう」
「悪かったって」
何度も謝罪の言葉を述べるが、なかなかルナは許してくれない。というより俺の心は、謝罪の心よりも、疑いの心が大きくなっていた。
(彼女は本当に、俺に嘘をついていたのかな……)
この遺跡で全てが解決するかと思っていた俺は、思いがけない展開になってしまった事に、動揺を隠せないままルナと一緒に遺跡を後にすることになった。
■□■□■□
その日の夜、寝付けなかった俺は未だに記憶が戻っていないココネの部屋にやって来て彼女の看病をしていた。
(そういえばココネは、この島に来て突然記憶喪失になったんだよな。もしかしたらこの島のことと関係あったりするのか)
今までそんな素振りすら見せなかった彼女が突然の記憶喪失。あまりに不自然すぎる上にこの島の秘密が重なってくると、やはり何かが関係しているのかと考えてしまう。もし関係があるとしたら、すぐにでも解決して彼女の記憶を取り戻したいところだが……。
「ああもう! どうなっているんだよ!」
この件の他に、ナルカディアの事とか問題が山積みだというのに、よりにもよって何でこんな所で足止めを喰らわなければならないのだろうか? しかも今も由奈達は囚われの身だというのに、助けに向かうことすらできない。このままだとナルカディアどころか彼女たちまでもが危ない。
(くそ、どうすれば……)
「ケイイ……チ?」
一人どうすればいいか悩んでいると、微かではあるが布団からココネの声がした、どうやらさっき叫んでしまったせいで、彼女を起こしてしまったらしい。
「悪いココネ、起こしちゃったか?」
「うん……」
記憶喪失になってしまったとは言え最近では少しずつではあるけど会話ができるようになってきたココネ。だが未だに記憶が戻りそうな兆しが見えてこない。
「ケイ……イチ」
「ん? どうかしたか?」
「ケイイチは……私のことを知っているの?」
「ああ、知っているさ。お前がどんな人間なのかちゃんと説明できるくらいに」
「じゃあ……教えて」
「教えてって、何を?」
「私が……ココネって人が……どんな人間なのかを……」
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