俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第77話母と嘘
翌日、ルナとココネを引き連れて再びあの遺跡へと来ていた。
「やっぱり、何かある。ここに……」
遺跡を見てココネが一言呟く。昨日と同じ事を言っているということは、記憶喪失とか関係なしに彼女はこの遺跡に何かがあると感じているらしい。
「でも何かってなんだよ。お前この島に来たのは初めてだろ?」
「そうよ。でも何かすごく嫌な予感がするの。この先に知ってはいけない何かがある、そんな感じが」
「知ってはいけない何か、か」
でもこの遺跡の中にあるのは、あの始まりの物語だけだし、他に何か危なさそうな物はなかった。でもココネがそこまで言うなら、本当に何かあるのかもしれない。
「ルナは心当たりあるか?」
一応この空間を作ったルナにも聞いてみる。
「ううん。そもそもこの遺跡が存在していることすら私も知らなかったし、一応他にもないか調べてみたけどそれらしき物はなにも」
「つまり、行ってみなきゃ分からない、って事か」
僅かに緊張が走る。ココネの言葉が果たしてどんな意味をなしているの、それを確かめるべく俺達は遺跡へと足を踏み入れた。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
遺跡の奥まではこの前と同じで何の変哲もない遺跡だった。
「なあルナ、この遺跡って本当は百年前から存在していたとか、そういうことはないのか?」
「うーん、私が知る限りではそんな話はなかったけど」
「でもあの本は、百年前から存在してないと話が合わない。いや、もっと昔から存在してたのかもな」
あの本の中の声と映像は、百年より更に前に存在していないと説明ができないものだ。そしてそれを伝えようとしているのだから、俺達はそれをちゃんと聞かなければならない。
「ここが一番奥だな」
しばらく歩き進めると、遺跡の奥へと到着する。この前来た時と何も変わっていないが、そこに踏み入れた時に俺は急激な寒気に襲われた。
(何だこの寒気は)
それは初めて来た時には感じることのなかった気配。ココネが言っていた嫌な予感とはこれの事だろうか。
『よくぞ再び来てくれましたね』
「え?」
突然遺跡に声が響き渡る。
「この声、この前の……」
『また来てくれることを信じてました』
「この声って……」
声を聞いてココネが体を震わせる。それは怯えるような震えではなく、何かに感動しているかのようなそんな感じだった。
「ココネ?」
「う、嘘……。どうしてここにいるの?」
『その声はもしかしてココネですね?』
謎の声も何故かココネの事を知っているらしい。
(この反応、まさかとは思うけど)
「お母さん?」
『元気にしてた? ココネ』
突然声の主、ココロ元姫の口調が変わる。それは歴史の伝承者としてではなく、一人の母親としてココネに話しかけているようだった。
「本当に、あんたはココネの母親なのか?」
『ええ。私はココロ。元ナルカディア王国の姫で、ココネの母親です』
どうしてか驚きはなかった。何となくそんな予感はしていたからだ。ただ、一つ不安なのは先ほど感じた寒気がまだ消えていないこと。そう、ココネが言っていた予感は、まだ他に存在している可能性が高い。
「でもどうして、お母さんがここに? しかも歴史の伝承者だなんて」
『それは説明すると長くなるんだけど……』
と、ココロが説明を始めようとした時、異変が起きた。
「そう……そうだったんだ。やっと見つけた」
「ルナ?」
異変が起きたのはずっと黙っていたルナだった。彼女の言葉からは、怒りすらも感じられる。
「あなただったのね。私の島を滅ぼしたのは」
「え?」
「は?」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
『その声はルイヴァック島で唯一生き残った……』
「気づいたみたいね。何が歴史の伝承者よ。この人殺しが!」
突然叫ぶルナ。
生き残り? 人殺し?
俺には分からない言葉だけが飛び交って行く。
「待てよルナ、人殺しって百年前じゃココロ姫は産まれてすらいないだろ。それにカグヤが魔物を率いていたって言ってただろ?」
「あなこそ何を言っているの? この世界の平均寿命は百年以上はあるの。彼女は私達を、ルイヴァック島の皆を裏切って、そして見殺しにした」
「え?」
確かに今までこの世界の寿命や年齢については、一切触れてこなかった。あくまで俺の世界での感覚でずっと判断してきたけど、実際のところ詳しくは分かっていない。
だからもし、今までの俺の考えが全て違ったとしたら……。
「いや、そんな事は……」
「あり得ないわよ! 私のお母さんがが……そんな事……」
ココネが全てを振り払うかのように叫ぶ。
『ココネ……』
「あの災厄の後、呑気に姫なんかやっていて、自分も魔物に襲われたらしいじゃない。自分から魔物を呼び出しておいて、情けない話ね」
ルナは更に惑わせるような話をする。だがココネはそんな事はないと否定をする。それは俺も同じ気持ちだった。ただ、それを裏付けられるような決定的な根拠がない。
『騙されないでココネ。彼女が言っていることは全部嘘だから』
「騙しているのはあなたよ! 私の家族を……返してよ!」
涙まじりで叫ぶルナ。二つの話の板挟みになって、何が正しいの分からなくなり始める。
(何が嘘で、何が本当なんだ?)
「その答え、私が教えてあげますよ高山圭一」
だがその俺の疑問に答えるかのように、後ろから聞き慣れた声が聞こえる。俺達は慌てて後ろを振り返る。そこにはカグヤの姿があった。
「カグヤ!」
そして彼女は俺達に告げる。
「私こそが正しい歴史を知る者。あなた達全員に教えてあげます、この世界の本当の歴史を」
「やっぱり、何かある。ここに……」
遺跡を見てココネが一言呟く。昨日と同じ事を言っているということは、記憶喪失とか関係なしに彼女はこの遺跡に何かがあると感じているらしい。
「でも何かってなんだよ。お前この島に来たのは初めてだろ?」
「そうよ。でも何かすごく嫌な予感がするの。この先に知ってはいけない何かがある、そんな感じが」
「知ってはいけない何か、か」
でもこの遺跡の中にあるのは、あの始まりの物語だけだし、他に何か危なさそうな物はなかった。でもココネがそこまで言うなら、本当に何かあるのかもしれない。
「ルナは心当たりあるか?」
一応この空間を作ったルナにも聞いてみる。
「ううん。そもそもこの遺跡が存在していることすら私も知らなかったし、一応他にもないか調べてみたけどそれらしき物はなにも」
「つまり、行ってみなきゃ分からない、って事か」
僅かに緊張が走る。ココネの言葉が果たしてどんな意味をなしているの、それを確かめるべく俺達は遺跡へと足を踏み入れた。
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遺跡の奥まではこの前と同じで何の変哲もない遺跡だった。
「なあルナ、この遺跡って本当は百年前から存在していたとか、そういうことはないのか?」
「うーん、私が知る限りではそんな話はなかったけど」
「でもあの本は、百年前から存在してないと話が合わない。いや、もっと昔から存在してたのかもな」
あの本の中の声と映像は、百年より更に前に存在していないと説明ができないものだ。そしてそれを伝えようとしているのだから、俺達はそれをちゃんと聞かなければならない。
「ここが一番奥だな」
しばらく歩き進めると、遺跡の奥へと到着する。この前来た時と何も変わっていないが、そこに踏み入れた時に俺は急激な寒気に襲われた。
(何だこの寒気は)
それは初めて来た時には感じることのなかった気配。ココネが言っていた嫌な予感とはこれの事だろうか。
『よくぞ再び来てくれましたね』
「え?」
突然遺跡に声が響き渡る。
「この声、この前の……」
『また来てくれることを信じてました』
「この声って……」
声を聞いてココネが体を震わせる。それは怯えるような震えではなく、何かに感動しているかのようなそんな感じだった。
「ココネ?」
「う、嘘……。どうしてここにいるの?」
『その声はもしかしてココネですね?』
謎の声も何故かココネの事を知っているらしい。
(この反応、まさかとは思うけど)
「お母さん?」
『元気にしてた? ココネ』
突然声の主、ココロ元姫の口調が変わる。それは歴史の伝承者としてではなく、一人の母親としてココネに話しかけているようだった。
「本当に、あんたはココネの母親なのか?」
『ええ。私はココロ。元ナルカディア王国の姫で、ココネの母親です』
どうしてか驚きはなかった。何となくそんな予感はしていたからだ。ただ、一つ不安なのは先ほど感じた寒気がまだ消えていないこと。そう、ココネが言っていた予感は、まだ他に存在している可能性が高い。
「でもどうして、お母さんがここに? しかも歴史の伝承者だなんて」
『それは説明すると長くなるんだけど……』
と、ココロが説明を始めようとした時、異変が起きた。
「そう……そうだったんだ。やっと見つけた」
「ルナ?」
異変が起きたのはずっと黙っていたルナだった。彼女の言葉からは、怒りすらも感じられる。
「あなただったのね。私の島を滅ぼしたのは」
「え?」
「は?」
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『その声はルイヴァック島で唯一生き残った……』
「気づいたみたいね。何が歴史の伝承者よ。この人殺しが!」
突然叫ぶルナ。
生き残り? 人殺し?
俺には分からない言葉だけが飛び交って行く。
「待てよルナ、人殺しって百年前じゃココロ姫は産まれてすらいないだろ。それにカグヤが魔物を率いていたって言ってただろ?」
「あなこそ何を言っているの? この世界の平均寿命は百年以上はあるの。彼女は私達を、ルイヴァック島の皆を裏切って、そして見殺しにした」
「え?」
確かに今までこの世界の寿命や年齢については、一切触れてこなかった。あくまで俺の世界での感覚でずっと判断してきたけど、実際のところ詳しくは分かっていない。
だからもし、今までの俺の考えが全て違ったとしたら……。
「いや、そんな事は……」
「あり得ないわよ! 私のお母さんがが……そんな事……」
ココネが全てを振り払うかのように叫ぶ。
『ココネ……』
「あの災厄の後、呑気に姫なんかやっていて、自分も魔物に襲われたらしいじゃない。自分から魔物を呼び出しておいて、情けない話ね」
ルナは更に惑わせるような話をする。だがココネはそんな事はないと否定をする。それは俺も同じ気持ちだった。ただ、それを裏付けられるような決定的な根拠がない。
『騙されないでココネ。彼女が言っていることは全部嘘だから』
「騙しているのはあなたよ! 私の家族を……返してよ!」
涙まじりで叫ぶルナ。二つの話の板挟みになって、何が正しいの分からなくなり始める。
(何が嘘で、何が本当なんだ?)
「その答え、私が教えてあげますよ高山圭一」
だがその俺の疑問に答えるかのように、後ろから聞き慣れた声が聞こえる。俺達は慌てて後ろを振り返る。そこにはカグヤの姿があった。
「カグヤ!」
そして彼女は俺達に告げる。
「私こそが正しい歴史を知る者。あなた達全員に教えてあげます、この世界の本当の歴史を」
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