俺の嫁はデレない異世界のお姫様
第79話長い夢の終わり
「この扉を開ければ……甦るんですね」
かつてこの世界にもう一人、ココネと同じように死者の扉を開いた者がいた。同じように死者を甦らせようという意志を持ち、その禁断の扉を開いてしまった。
「な、何ですか……これは」
そして失敗し、その扉からは出てきてはならないものが出てきてしまった。
「こ、ココロさん!? あなた何を……」
それが全ての始まりにして、全ての終わりだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「け、ケイイチまでいきなり何を言い出すの? お母さんがそんな事を……」
『もういいんですよ……ココネ。どうやらその方は全て分かってしまったらしいようですから』
「そんなぁ」
俺は悲しかった。どうしてこんな真実にたどり着いてしまったのか。そんな事は分からない。だけどそう結論付けた場合、全てにおいて辻褄があってしまう。だから俺は、ここで退くことなんてできなかった。
「ココネ、よく聞いてくれ。お前がかつて死者を蘇らせる為に使った方法って、何に載っていたやつだ」
「城の中にある本だけど。それがどうしたの?」
「これは俺の憶測に過ぎないかもしれないけど、その本が城に合った理由ってただの偶然ではなくて、誰かが持っていたものだとしたらどうする」
「え? じゃあそれってつまり……」
「そう。ココロさんがその本をナルカディアへと持ち込んでいたから、ココネもそれを見ることになったんだ」
そしてあの事件が起きた。ココロさんも同じ事を行ってその代償に記憶を失った。魂がここに囚われているのはその呪いの一種に違いない。
カグヤもルナもその被害者の一人という事になる。
『流石ですね。本来この事はココネにも知られる事はないと思っていましたけど、やはりそれは避けられませんでしたか』
「そんな……私信じたくない」
非常なる現実にココネはうずくまってしまう。俺は彼女に対して少し辛い言葉をかける。
「ココネ、それが事実なんだよ。現に被害者がここに二人いる。ココネは直接関係ないかもしれないけど、それが罪なんだよ」
カグヤが俺達に接近したのも、トリナディアを奪った本当の理由ももしかしたらそこにあったのかもしれない。それが許されるわけでもないけど、ほんの少しだけその気持ちも理解できる。
「ようやく理解してくれましたね、高山圭一」
「理解なんかしたくなかったけどな。でも事実なんだろ?」
「はい」
「お前がココネやナルカディアに手を出したのは、それが理由でもあるのか?」
「私の大切な故郷を奪われたのだから、同じ目に合うのは当然かと思います」
「由奈達に手を出したのはそれが理由か」
「当然」
「だったら俺は」
だが理解できても、そのやり方には決して同意できない。カグヤは罪のない由奈達にも手を出した。それは絶対に許されない。
「け、ケイイチ?」
「言っておきますけど、今度はちゃんと死んでもらいますよ?」
「ココネやココロさんの罪は確かに重いかもしれない、
けど俺は決めたんだ。それは全て背負うって。だからお前を今ここで倒してナルカディアを返してもらう!」
だから傷ついた彼女達の為に今ここでカグヤを倒す。それで全て終わらせてもう一度……。
「っ!? 早い」
「あの場所へ帰るんだ!」
俺は全ての力を込めてカグヤに一発殴り倒す。前回はただのパンチに過ぎなかったけど、何故か今はすごく力が湧いてくる。
『ケイイチさん、あなたは私の、私達の罪を一緒に背負ってくれると言ってくれました。ココネがこんなにも優しい人と出会えていたなんて、母親として大変喜ばしいです。だからあなたに力をお貸しします。その道が正しくなくても、あなた達だけの道を進んでください』
一瞬ココロさんの声が聞こえた。そうか、この力ココロさんの刻印の……。
「わ、私が二度も殴られるなんて……」
「悪いなカグヤ。お前も被害者だが、やっぱり俺はお前を許せないんだ。だから今度こそここで」
もう一度ココロさんの力を使って、カグヤにトドメを刺そうとする。しかしそれを遮るものがいた。
「させない。お母さんなのかは分からないけど、同じ島の出身の人を殴らせるような真似なんて絶対にさせない」
それはルナだった。
「ルナ、お前……」
「こんな事をしたって何も意味がない! この人も被害者なのに、どうしてこんな事されなきゃいけないの? むしろ悪なのはそっちなのに」
「それは……」
「ケイイチ君、彼女を殴るなら私を倒してからにして」
ルナが言っていることは最もなのは分かる。どちらかといえば悪なのは俺達だ。だけどカグヤはそれ以上の事をしている。それを俺は許すなんて事はできない。
『あなた達の道を進んでください』
「悪い、ルナ」
ココロさんの言葉をもう一度思い出した俺は、ほとんど罪のないルナに向かって一撃を……。
「っ、何だ遺跡が」
だがその次の瞬間、突然遺跡が大きく揺れ始めた。地震だろうか。
「そっか。もう限界に来てたんだ」
ルナが悟ったように言う。そういえばこの島は既に存在していない島。あくまで俺達が見ているのは幻想。それに終わりが来るのも当然の事。
「もしかして遺跡じゃなくて、この島全体が……」
「そう。もう間もなくこの島は消える」
それは長い夢の終わり。
晴らせなかった恨みが生み出した幻想。
今それが消えようとしている。
「ケイイチ君、ココネさん。二人とも逃げて」
「え? でも……」
カグヤがそこにいる以上、見逃せない。
「もう終わりにしないと。いつまでも恨んでたって、何も始まらないと思うから。お母さんもきっとそう」
カグヤを見ながらルナは言う。当のカグヤはというとふらふらになりながら立ち上がって、こちらを見ている。
「この島が終わっても、まだ私は終わっていません。それを忘れないでください高山圭一」
突然身体が光り始める。ココネの方を見ると、彼女も同じように光に包まれていた。
「今度は絶対にあなたを倒しますから」
「あ、おい!」
まだ何も終わってないのに、俺の視界は真っ白になり意識は光の中へと消えていくのであった。
かつてこの世界にもう一人、ココネと同じように死者の扉を開いた者がいた。同じように死者を甦らせようという意志を持ち、その禁断の扉を開いてしまった。
「な、何ですか……これは」
そして失敗し、その扉からは出てきてはならないものが出てきてしまった。
「こ、ココロさん!? あなた何を……」
それが全ての始まりにして、全ての終わりだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「け、ケイイチまでいきなり何を言い出すの? お母さんがそんな事を……」
『もういいんですよ……ココネ。どうやらその方は全て分かってしまったらしいようですから』
「そんなぁ」
俺は悲しかった。どうしてこんな真実にたどり着いてしまったのか。そんな事は分からない。だけどそう結論付けた場合、全てにおいて辻褄があってしまう。だから俺は、ここで退くことなんてできなかった。
「ココネ、よく聞いてくれ。お前がかつて死者を蘇らせる為に使った方法って、何に載っていたやつだ」
「城の中にある本だけど。それがどうしたの?」
「これは俺の憶測に過ぎないかもしれないけど、その本が城に合った理由ってただの偶然ではなくて、誰かが持っていたものだとしたらどうする」
「え? じゃあそれってつまり……」
「そう。ココロさんがその本をナルカディアへと持ち込んでいたから、ココネもそれを見ることになったんだ」
そしてあの事件が起きた。ココロさんも同じ事を行ってその代償に記憶を失った。魂がここに囚われているのはその呪いの一種に違いない。
カグヤもルナもその被害者の一人という事になる。
『流石ですね。本来この事はココネにも知られる事はないと思っていましたけど、やはりそれは避けられませんでしたか』
「そんな……私信じたくない」
非常なる現実にココネはうずくまってしまう。俺は彼女に対して少し辛い言葉をかける。
「ココネ、それが事実なんだよ。現に被害者がここに二人いる。ココネは直接関係ないかもしれないけど、それが罪なんだよ」
カグヤが俺達に接近したのも、トリナディアを奪った本当の理由ももしかしたらそこにあったのかもしれない。それが許されるわけでもないけど、ほんの少しだけその気持ちも理解できる。
「ようやく理解してくれましたね、高山圭一」
「理解なんかしたくなかったけどな。でも事実なんだろ?」
「はい」
「お前がココネやナルカディアに手を出したのは、それが理由でもあるのか?」
「私の大切な故郷を奪われたのだから、同じ目に合うのは当然かと思います」
「由奈達に手を出したのはそれが理由か」
「当然」
「だったら俺は」
だが理解できても、そのやり方には決して同意できない。カグヤは罪のない由奈達にも手を出した。それは絶対に許されない。
「け、ケイイチ?」
「言っておきますけど、今度はちゃんと死んでもらいますよ?」
「ココネやココロさんの罪は確かに重いかもしれない、
けど俺は決めたんだ。それは全て背負うって。だからお前を今ここで倒してナルカディアを返してもらう!」
だから傷ついた彼女達の為に今ここでカグヤを倒す。それで全て終わらせてもう一度……。
「っ!? 早い」
「あの場所へ帰るんだ!」
俺は全ての力を込めてカグヤに一発殴り倒す。前回はただのパンチに過ぎなかったけど、何故か今はすごく力が湧いてくる。
『ケイイチさん、あなたは私の、私達の罪を一緒に背負ってくれると言ってくれました。ココネがこんなにも優しい人と出会えていたなんて、母親として大変喜ばしいです。だからあなたに力をお貸しします。その道が正しくなくても、あなた達だけの道を進んでください』
一瞬ココロさんの声が聞こえた。そうか、この力ココロさんの刻印の……。
「わ、私が二度も殴られるなんて……」
「悪いなカグヤ。お前も被害者だが、やっぱり俺はお前を許せないんだ。だから今度こそここで」
もう一度ココロさんの力を使って、カグヤにトドメを刺そうとする。しかしそれを遮るものがいた。
「させない。お母さんなのかは分からないけど、同じ島の出身の人を殴らせるような真似なんて絶対にさせない」
それはルナだった。
「ルナ、お前……」
「こんな事をしたって何も意味がない! この人も被害者なのに、どうしてこんな事されなきゃいけないの? むしろ悪なのはそっちなのに」
「それは……」
「ケイイチ君、彼女を殴るなら私を倒してからにして」
ルナが言っていることは最もなのは分かる。どちらかといえば悪なのは俺達だ。だけどカグヤはそれ以上の事をしている。それを俺は許すなんて事はできない。
『あなた達の道を進んでください』
「悪い、ルナ」
ココロさんの言葉をもう一度思い出した俺は、ほとんど罪のないルナに向かって一撃を……。
「っ、何だ遺跡が」
だがその次の瞬間、突然遺跡が大きく揺れ始めた。地震だろうか。
「そっか。もう限界に来てたんだ」
ルナが悟ったように言う。そういえばこの島は既に存在していない島。あくまで俺達が見ているのは幻想。それに終わりが来るのも当然の事。
「もしかして遺跡じゃなくて、この島全体が……」
「そう。もう間もなくこの島は消える」
それは長い夢の終わり。
晴らせなかった恨みが生み出した幻想。
今それが消えようとしている。
「ケイイチ君、ココネさん。二人とも逃げて」
「え? でも……」
カグヤがそこにいる以上、見逃せない。
「もう終わりにしないと。いつまでも恨んでたって、何も始まらないと思うから。お母さんもきっとそう」
カグヤを見ながらルナは言う。当のカグヤはというとふらふらになりながら立ち上がって、こちらを見ている。
「この島が終わっても、まだ私は終わっていません。それを忘れないでください高山圭一」
突然身体が光り始める。ココネの方を見ると、彼女も同じように光に包まれていた。
「今度は絶対にあなたを倒しますから」
「あ、おい!」
まだ何も終わってないのに、俺の視界は真っ白になり意識は光の中へと消えていくのであった。
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