何時かの記憶

些稚絃羽

何時かの記憶

また会おうの約束は不確かで
それでも私達はまだ子供で
それを永遠だと思ってた

残された小さな紙切れに
思いがすべて詰まってた

あの子もそう泣いていたよ
教えてくれた顔も眉を下げて
それで私はまた泣いた

そんな思いもやがて
呆気なく終わりを迎えて

何時からか見える今に気を取られて
それぞれの道を歩きだした
鳴らなくなった電話
書かなくなった手紙
どうしているかな
いつも浮かんでた言葉も
その内思い出す事も少なくなって
先に手を離したのはどっちだろう
存在すら霞の中

時が経って私達は大人になって
もう何処にいるのかも
知る術すら失って
今更引き出す記憶に
苦笑いさえ浮かんだ

無感覚になっていく
それが大人になる事なら
大人になんかなりたくなかったけれど
あの頃の気持ちに嘘はなかったから

今こうして身を寄せ合う無邪気な笑顔に
微笑みを返す事ができているよ



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