雪桃劇場〜茶番です〜
不思議の国のユカリ〜乙女 後編
「そういえばマッドハッターって帽子屋さんでもあるんだって。やま、興味ある? 」
「無い」
「だよね〜」
森を抜けるとティーパーティーが行われていました。
そこには鬱陶しそうに帽子を取っているやまマッドハッターとうさ耳が付いた三月あや兎が団欒していました。
「あ、やっと来た。えーと、お嬢さん一緒にお茶しない? 」
三月あや兎が手招きします。
「いえ。私は白いうさぎを追いかけていて」
「私もうさぎだよ。さ、さ、こっちにおいで」
「強引だな」
三月あや兎に引っ張られて無理矢理席に座らされます。
「仕方ないですね。少しだけですよ」
兎や角言っても話が進まないのだから仕方ない。
ユカリは緑色の何だかよく分からない紅茶をあやに促されて飲まされました。見た目はともかく味は普通だったようです。
「飲んだので行っていいですか?」
「なんでそんなに軽いの? 森ではあんなに楽しそうにしてたのに」
「どこで見てたんですか。別に深い意味はありませんよ。ただ尺的にもう」
「尺とか言わない」
三月あや兎とユカリが話している間、手持ち無沙汰なやまマッドハッターは静かにお茶を飲んでいました。
「ねえやまぁ。あんたからもなんか言ってやってよ」
「ゆか」
「はい?」
「女王を見ても驚くなよ」
「違うそういうことじゃない! ってああゆかぁぁぁ」
隙ができたユカリは三月あや兎を置いてさっさと進んでしまいました。
「もうやまのバカぁ」
「バカってなんだ。それに俺はちゃんとゆかに言ってやったぞ」
「言っても驚くと思うけど」
「まあな」
三月あや兎とやまマッドハッターは同時に苦笑した。
(トランプの兵隊。赤の薔薇。ああここが城か)
どんな理由でも処刑にしてしまうハートの女王様が残っています。
(えーと残ってるのは社長、から姉、あさ、それとひよちゃん? )
ルックス的には真由美とあさが似合ってますけどすぐ処刑の性格は誰も持ってません。
持ってたら怖いんですけど。
そんなことを思っているとトランプ兵が二人急いで走ってきた。
「なあ。今そこに女の子がいなかったか? 」
「阿呆か。この城に娘が一人易々と入れるわけねえだろ」
(あっぶな)
入ってますよ。
会話的に咄嗟に隠れたのは正解だったみたいです。
「それよりまた女王がおかしくなったんだと」
「どういう意味だ」
「被告人が質問に答える前に女王が有罪か無罪か決めるんだ。まるで心を読んでるみたいに」
心を、読む?
(えーもう最大のネタバレじゃん。仕方ない)
ユカリは一目散に城へ走りました。
軽く力を入れたのでユカリを見かけても追いかけることすら出来ません。
「着いた」
小さなユカリにとってはその城はまるでラスボスがいそうな風情だった。
いやまあラスボスなんですけどね。
気を取り直して。
「たのもー!! 」
「色々趣旨が違うよゆか」
「あや、出ちゃ駄目」
スルースルー。
ユカリと殆ど背丈は変わらないのに真っ赤なドレスを着て偉そうに座っているのは
「やっぱりひよちゃん」
「懐かしいですわ。でもこんな派手なドレスは初めてですが」
「別に感想は聞いてないよ」
これまた似合わない真っ赤な扇子をパタパタさせながらひよ女王はユカリのことを見下ろします。
「え、えーっと女王様? どうして無差別に人を処刑するんですか? 」
「処刑? わたくしは心を読んで有罪か無罪か決めているだけですよ」
「え? だってじゃあ処刑は? ってか何、ひよちゃんが心読んだら全員有罪だったの」
「あ、はい。それで有罪になった方がよく暴力を振るわれるのでお姉ちゃんが」
「お姉ちゃん?」
ひよ女王がお姉ちゃんと呼ぶのは基本真由美であります。
「から姉がいるの? どこ?」
「ここにいるわよ」
判決台に無意識に来ていたユカリの後ろに騎士の格好をした真由美が来ます。
「から姉何役?」
「何役でも無いわ。トランプ兵の一人?」
「ああ。で、ひよちゃんが有罪判決したらから姉は何するの」
「お・し・お・き♡」
黒いオーラがユカリの後ろに現れます。
「ところでひよ。ゆかは判決台にいるけどどう判決するの? 」
「勝手に異世界に来たので有罪ですかね」
「やっぱ理不尽じゃん!!」
ユカリは手をワキワキしている真由美を振りほどいて出口へ向かいます。
「あ、お待ちくださいゆか。有罪判決されたのに逃げるなんて許しませんよ」
ひよ女王の百目でどこに隠れても見つかってしまいました。
「阿修羅。小型化」
“あいあーい! ”
普段も小さいというのに更にその半分くらいの大きさにされたユカリはさっさと真由美に連れていかれてしまいます。
「い〜や〜だ〜! 社長助けて〜!!」
「私!? 出てないのに」
ユカリに引きずり込まれた里奈が小さくなりすぎたユカリと真由美の間に入り込みます。
「仕方ないわね。真由美、やめてあげなさい。そして戻してあげなさい」
「なんの根拠があって?」
「えー」
助けてとユカリがオロオロしながら里奈に引っ付いているので里奈も逃げることが出来ません。
「分かったわ。真由美」
「何?」
「森の中に沢山可愛い子達がいるんじゃない? 猫とか芋虫とか」
売ったよね? 今ユカリ以外を売ったよね?
「それならユカリの代わりにもなるわ」
「うん。真由美、あなた今思い切りあの子達を罵倒したわね」
「里奈に言われたくないなぁ」
「お姉ちゃん。わたくし女王様なのに空気ですわ」
「大丈夫よ。今から遊んであげるからね」
ユカリを元に戻したらさっさとひよ女王に真由美は寄っていってしまいます。
「結局真由美に振り回されてばっかね」
「あ、あはは」
「帰りましょうユカリ。早くしないと尺が」
「あなたも大概ですよそのメタさ」
里奈がそのメタさで近道を教えてくれて元の場所に戻ってきました。
ポカポカと暖かい日差しがユカリを包み込みます。
「ユカリ、ユカリ」
「うん? お姉様?」
「そんな所で寝てたら風邪引くわよ」
「なんで私は黒髪なのにお姉様は金髪なのでしょう」
「急に!?」
ふふ。とユカリは笑ってあさお姉様の手を取ります。
「ちょっと面白い夢を見まして」
「夢? 気になるわね。何があったの」
「えーっとね」
ユカリとあさお姉様は仲良く木陰でお喋りを楽しみました。
めでたしめでたし。
「無い」
「だよね〜」
森を抜けるとティーパーティーが行われていました。
そこには鬱陶しそうに帽子を取っているやまマッドハッターとうさ耳が付いた三月あや兎が団欒していました。
「あ、やっと来た。えーと、お嬢さん一緒にお茶しない? 」
三月あや兎が手招きします。
「いえ。私は白いうさぎを追いかけていて」
「私もうさぎだよ。さ、さ、こっちにおいで」
「強引だな」
三月あや兎に引っ張られて無理矢理席に座らされます。
「仕方ないですね。少しだけですよ」
兎や角言っても話が進まないのだから仕方ない。
ユカリは緑色の何だかよく分からない紅茶をあやに促されて飲まされました。見た目はともかく味は普通だったようです。
「飲んだので行っていいですか?」
「なんでそんなに軽いの? 森ではあんなに楽しそうにしてたのに」
「どこで見てたんですか。別に深い意味はありませんよ。ただ尺的にもう」
「尺とか言わない」
三月あや兎とユカリが話している間、手持ち無沙汰なやまマッドハッターは静かにお茶を飲んでいました。
「ねえやまぁ。あんたからもなんか言ってやってよ」
「ゆか」
「はい?」
「女王を見ても驚くなよ」
「違うそういうことじゃない! ってああゆかぁぁぁ」
隙ができたユカリは三月あや兎を置いてさっさと進んでしまいました。
「もうやまのバカぁ」
「バカってなんだ。それに俺はちゃんとゆかに言ってやったぞ」
「言っても驚くと思うけど」
「まあな」
三月あや兎とやまマッドハッターは同時に苦笑した。
(トランプの兵隊。赤の薔薇。ああここが城か)
どんな理由でも処刑にしてしまうハートの女王様が残っています。
(えーと残ってるのは社長、から姉、あさ、それとひよちゃん? )
ルックス的には真由美とあさが似合ってますけどすぐ処刑の性格は誰も持ってません。
持ってたら怖いんですけど。
そんなことを思っているとトランプ兵が二人急いで走ってきた。
「なあ。今そこに女の子がいなかったか? 」
「阿呆か。この城に娘が一人易々と入れるわけねえだろ」
(あっぶな)
入ってますよ。
会話的に咄嗟に隠れたのは正解だったみたいです。
「それよりまた女王がおかしくなったんだと」
「どういう意味だ」
「被告人が質問に答える前に女王が有罪か無罪か決めるんだ。まるで心を読んでるみたいに」
心を、読む?
(えーもう最大のネタバレじゃん。仕方ない)
ユカリは一目散に城へ走りました。
軽く力を入れたのでユカリを見かけても追いかけることすら出来ません。
「着いた」
小さなユカリにとってはその城はまるでラスボスがいそうな風情だった。
いやまあラスボスなんですけどね。
気を取り直して。
「たのもー!! 」
「色々趣旨が違うよゆか」
「あや、出ちゃ駄目」
スルースルー。
ユカリと殆ど背丈は変わらないのに真っ赤なドレスを着て偉そうに座っているのは
「やっぱりひよちゃん」
「懐かしいですわ。でもこんな派手なドレスは初めてですが」
「別に感想は聞いてないよ」
これまた似合わない真っ赤な扇子をパタパタさせながらひよ女王はユカリのことを見下ろします。
「え、えーっと女王様? どうして無差別に人を処刑するんですか? 」
「処刑? わたくしは心を読んで有罪か無罪か決めているだけですよ」
「え? だってじゃあ処刑は? ってか何、ひよちゃんが心読んだら全員有罪だったの」
「あ、はい。それで有罪になった方がよく暴力を振るわれるのでお姉ちゃんが」
「お姉ちゃん?」
ひよ女王がお姉ちゃんと呼ぶのは基本真由美であります。
「から姉がいるの? どこ?」
「ここにいるわよ」
判決台に無意識に来ていたユカリの後ろに騎士の格好をした真由美が来ます。
「から姉何役?」
「何役でも無いわ。トランプ兵の一人?」
「ああ。で、ひよちゃんが有罪判決したらから姉は何するの」
「お・し・お・き♡」
黒いオーラがユカリの後ろに現れます。
「ところでひよ。ゆかは判決台にいるけどどう判決するの? 」
「勝手に異世界に来たので有罪ですかね」
「やっぱ理不尽じゃん!!」
ユカリは手をワキワキしている真由美を振りほどいて出口へ向かいます。
「あ、お待ちくださいゆか。有罪判決されたのに逃げるなんて許しませんよ」
ひよ女王の百目でどこに隠れても見つかってしまいました。
「阿修羅。小型化」
“あいあーい! ”
普段も小さいというのに更にその半分くらいの大きさにされたユカリはさっさと真由美に連れていかれてしまいます。
「い〜や〜だ〜! 社長助けて〜!!」
「私!? 出てないのに」
ユカリに引きずり込まれた里奈が小さくなりすぎたユカリと真由美の間に入り込みます。
「仕方ないわね。真由美、やめてあげなさい。そして戻してあげなさい」
「なんの根拠があって?」
「えー」
助けてとユカリがオロオロしながら里奈に引っ付いているので里奈も逃げることが出来ません。
「分かったわ。真由美」
「何?」
「森の中に沢山可愛い子達がいるんじゃない? 猫とか芋虫とか」
売ったよね? 今ユカリ以外を売ったよね?
「それならユカリの代わりにもなるわ」
「うん。真由美、あなた今思い切りあの子達を罵倒したわね」
「里奈に言われたくないなぁ」
「お姉ちゃん。わたくし女王様なのに空気ですわ」
「大丈夫よ。今から遊んであげるからね」
ユカリを元に戻したらさっさとひよ女王に真由美は寄っていってしまいます。
「結局真由美に振り回されてばっかね」
「あ、あはは」
「帰りましょうユカリ。早くしないと尺が」
「あなたも大概ですよそのメタさ」
里奈がそのメタさで近道を教えてくれて元の場所に戻ってきました。
ポカポカと暖かい日差しがユカリを包み込みます。
「ユカリ、ユカリ」
「うん? お姉様?」
「そんな所で寝てたら風邪引くわよ」
「なんで私は黒髪なのにお姉様は金髪なのでしょう」
「急に!?」
ふふ。とユカリは笑ってあさお姉様の手を取ります。
「ちょっと面白い夢を見まして」
「夢? 気になるわね。何があったの」
「えーっとね」
ユカリとあさお姉様は仲良く木陰でお喋りを楽しみました。
めでたしめでたし。
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