雪桃劇場〜茶番です〜
さくらデラ〜マイトゥルーエンド
昔、あるお屋敷にさくらデラという少女がいました。さくらデラは継母と義姉に毎日いじめられながら屋敷の家事をやらされていました。
「全く。ドレスなんて動きずらいのに」
「お母様。しー、しー」
「はいはい。掃除はまだなのさくらデラ!? そんなんじゃお嫁に行った時に姑に何言われるか」
「シンデレラって王子様に会うまで結婚できないんじゃ」
色々バグってるが割愛。
「さくらデラ」
「あ、お、お姉様。すぐに掃除を」
「ドレス重いから鋏で切ってくれな」
「台本通りにやってよ二人ともぉ!」
話が進まないので割愛。
屋敷の人達は舞踏会に招かれました。
「武闘会? へえ〜私に勝てる奴なんているかしら?」
「…………」
さくらデラはツッコむのに疲れた。
「ゔうん! さ、さくらデラには着れるドレスなんて無いわよねぇ? だって幼い頃に買った一着しかないんだも」
さくらデラの身長は十数年経っていてもそんなに伸びていない。少し繕えば多分着れるだろう。
「「…………」」
継母とどうしようかと目を合わせる。
「なら来る?」
「行かない。人が多くて酔うから」
という訳でさくらデラは連れて行ってもらえなかった――というか行かなかった?
(台本通りにやらなきゃなぁ。人混みはやなんだけどなぁ)
「ああ。私も舞踏会に行きたいわ。でも舞踏会に行ける服なんて無いし」
「お困りのようねさくらデラ」
「あなたは?」
さくらデラの住んでいる屋根裏部屋に妖精の格好をした少女が舞い降りた。
「私は魔法使いのあやちゃん。あなたを舞踏会に連れて行ってあげるわ」
「わぁありがとうございます。でもあやさん」
「なあに?」
「それもろに他作品の名前と被って」
「さ、さあ早く魔法をかけましょう」
あやが魔法をかけるとたちまちさくらデラのみすぼらしいワンピースがピンク色の可愛らしいドレスに変わった。
「着替える前に裸にはなんないのか。ちっ」
「なんですかそのカメラは」
「何でもないわ。さてさくらデラ。下に馬車を用意してあるわ。それに乗ってお城へ行きなさい。
ただし一つだけ約束をしてちょうだい。時計の針が十二を指す前に帰ってくるのよ。魔法が全てとけ」
「あやさん?」
「ワンピースじゃなくて裸になれば良いのに」
「イッテキマース!」
さくらデラは小走りで馬車に乗った。
舞踏会に到着したさくらデラは早速難関に差し掛かった。
(怖いよぉぉぉ。人怖いよぉぉぉ)
人見知りである。
別にいやらしい目や悪口などは聞こえないがさくらデラにとっては怖いことこの上ない。
「お困りですかお嬢様?」
「ひぇ!? や、弥生ぃぃぃ!」
「しー! 私の名前は弥生ではありません。三月です」
「どっちも同じだよ!」
さくらデラは弥生改め三月に中まで連れて行ってもらった。
「ちょっと酔っちゃったから隅でじっとしてよう」
「シンデレラの意味」
三月にツッコまれたが無視。
さくらデラがテーブルに手を付くとテーブルクロスの中から手が伸びてきて食べ物を取っていった。
「有季くん?」
「ん? ああさくらちゃ……さくらデラ。どうしたの?」
「ごめん。それ私のセリフ。有季くんって騎士様じゃないの?」
「暇だからね」
どうして神海家の者どもは真面目にやらないのだろうか。
「相澤なら王子様だから中央にいるよ。多分なでしこさんも」
「お姉様も?」
人集りが出来ている場所へ行ってみる。
「何やってるの二人とも」
中央にいたのは王子の格好をしている相澤とくるぶしまであったに違いないはずのドレスを膝頭までビリビリに破かれた――いや、破いたの方が可能性が高い――なでしこ。
二人は何故か蹴り合い殴り合いをしていた。
「「あ、やっと来た」」
暇だからやっていたらしい。こいつらはシンデレラを知らないのだろうか。
「じゃあね。私は疲れたから寝てるわ」
「…………」
不本意なのだろうが綺麗な生足を見せつけながらなでしこは退散した。
「こほん。それじゃあ台本通りに行こうか」
「今の状況でそれ言えるなんて尊敬するよ相澤くん」
「そうか? 結構楽しかったんだよ、なでしこさんなら手加減せずに戦えるし。
美しいお嬢様。どうか私と踊っていただけませんか?」
「……はい。喜んで」
と言ってもさくらデラはダンスなんかしたことない。相澤に手取り足取り教えてもらい何とか形にはなったくらいだ。
時は過ぎ、針は十一時五十五分を指していた。
「王子様、私はもう帰らないといけません。さようなら」
さくらデラはドレスの裾を持ち上げて出口まで走っていった。
「……俺は追いかけた方が良いのか?」
「まあ本来はね。でもさ」
「妖精ちゃん」
足おっそ!!
「仕方ないわよ。あの子小学生の頃五十メートル走十二秒もかかったんだから」
「うぅわぁ」
で、結局普通の人なら歩いても一分とかからない道を五分も走ってやっと馬車にたどり着いた。
その時何故か自然と脱げなかったガラスの靴を投げ捨てて。
翌日。
「ガラスの靴の持ち主を探しています! 心当たりのある方は履いてみてください」
三月が叫ぶ。
「まあ結末分かってるんだけどね」
「加治。黙っとけ」
どれ程か経った頃さくらデラ達が来た。
「まあさくらでしょうね」
「台本通りやってってば!」
「はぁ。私も履いてみてよろしいかしら?」
「どうぞ」
まあ案の定合わなかった。
というかなでしこはそんなに乗り気じゃなかった。当たり前だが。
「ほら台本通りにやったわよ。さっさと履いて相澤君と結ばれなさいなさくら」
「デラを付けてよ」
相澤に差し出されたガラスの靴をさくらデラはそっと履く。
しかし
「あれ?」
「どうしたさくら? 早く履いて」
「入らない」
「「「は?」」」
ガラスの靴はさくらデラの足より一回り小さくなっているのである。
「ど、どうするの? あ、あやさーん!」
「ああだって妖精ちゃん昨日それ投げ飛ばしたでしょ。ガラスの靴さん怒っちゃったんだよきっと」
「無機物なのに!?」
ガラスの靴を踵を残して履いている足がアスファルトに蹴躓いてさくらデラが転ぶ。
「あいたたた。あやさんどうしよ」
「よ、妖精ちゃん。下、下」
「? 下?」
立ちながら目線を下げると昨日みすぼらしく見えるように糸を解れやすいようにした服がビリビリに破かれていて鎖骨より下のワンピースが全て脱げていた。
つまりさくらの可愛らしい胸を覆うブラジャーも真白で無地一択なパンツも観衆からは丸見えなわけで。
「いやぁぁぁぁぁ!!!!?」
「よ、妖精ちゃん落ち着いて。カメラにはしっかり抑えたか」
「彩果ちゃんそれ逆効果」
「もうやだお嫁に行けないぃぃぃ!!」
(((もう嫁に行ってんじゃん)))
こうしてさくらデラと王子は生涯を共にしましたとさ。めでたしめでた
「めでたしじゃないよぉぉぉ!!」
「なんなのこの茶番」
はあ。と全員揃って溜息をつくのだった。
「全く。ドレスなんて動きずらいのに」
「お母様。しー、しー」
「はいはい。掃除はまだなのさくらデラ!? そんなんじゃお嫁に行った時に姑に何言われるか」
「シンデレラって王子様に会うまで結婚できないんじゃ」
色々バグってるが割愛。
「さくらデラ」
「あ、お、お姉様。すぐに掃除を」
「ドレス重いから鋏で切ってくれな」
「台本通りにやってよ二人ともぉ!」
話が進まないので割愛。
屋敷の人達は舞踏会に招かれました。
「武闘会? へえ〜私に勝てる奴なんているかしら?」
「…………」
さくらデラはツッコむのに疲れた。
「ゔうん! さ、さくらデラには着れるドレスなんて無いわよねぇ? だって幼い頃に買った一着しかないんだも」
さくらデラの身長は十数年経っていてもそんなに伸びていない。少し繕えば多分着れるだろう。
「「…………」」
継母とどうしようかと目を合わせる。
「なら来る?」
「行かない。人が多くて酔うから」
という訳でさくらデラは連れて行ってもらえなかった――というか行かなかった?
(台本通りにやらなきゃなぁ。人混みはやなんだけどなぁ)
「ああ。私も舞踏会に行きたいわ。でも舞踏会に行ける服なんて無いし」
「お困りのようねさくらデラ」
「あなたは?」
さくらデラの住んでいる屋根裏部屋に妖精の格好をした少女が舞い降りた。
「私は魔法使いのあやちゃん。あなたを舞踏会に連れて行ってあげるわ」
「わぁありがとうございます。でもあやさん」
「なあに?」
「それもろに他作品の名前と被って」
「さ、さあ早く魔法をかけましょう」
あやが魔法をかけるとたちまちさくらデラのみすぼらしいワンピースがピンク色の可愛らしいドレスに変わった。
「着替える前に裸にはなんないのか。ちっ」
「なんですかそのカメラは」
「何でもないわ。さてさくらデラ。下に馬車を用意してあるわ。それに乗ってお城へ行きなさい。
ただし一つだけ約束をしてちょうだい。時計の針が十二を指す前に帰ってくるのよ。魔法が全てとけ」
「あやさん?」
「ワンピースじゃなくて裸になれば良いのに」
「イッテキマース!」
さくらデラは小走りで馬車に乗った。
舞踏会に到着したさくらデラは早速難関に差し掛かった。
(怖いよぉぉぉ。人怖いよぉぉぉ)
人見知りである。
別にいやらしい目や悪口などは聞こえないがさくらデラにとっては怖いことこの上ない。
「お困りですかお嬢様?」
「ひぇ!? や、弥生ぃぃぃ!」
「しー! 私の名前は弥生ではありません。三月です」
「どっちも同じだよ!」
さくらデラは弥生改め三月に中まで連れて行ってもらった。
「ちょっと酔っちゃったから隅でじっとしてよう」
「シンデレラの意味」
三月にツッコまれたが無視。
さくらデラがテーブルに手を付くとテーブルクロスの中から手が伸びてきて食べ物を取っていった。
「有季くん?」
「ん? ああさくらちゃ……さくらデラ。どうしたの?」
「ごめん。それ私のセリフ。有季くんって騎士様じゃないの?」
「暇だからね」
どうして神海家の者どもは真面目にやらないのだろうか。
「相澤なら王子様だから中央にいるよ。多分なでしこさんも」
「お姉様も?」
人集りが出来ている場所へ行ってみる。
「何やってるの二人とも」
中央にいたのは王子の格好をしている相澤とくるぶしまであったに違いないはずのドレスを膝頭までビリビリに破かれた――いや、破いたの方が可能性が高い――なでしこ。
二人は何故か蹴り合い殴り合いをしていた。
「「あ、やっと来た」」
暇だからやっていたらしい。こいつらはシンデレラを知らないのだろうか。
「じゃあね。私は疲れたから寝てるわ」
「…………」
不本意なのだろうが綺麗な生足を見せつけながらなでしこは退散した。
「こほん。それじゃあ台本通りに行こうか」
「今の状況でそれ言えるなんて尊敬するよ相澤くん」
「そうか? 結構楽しかったんだよ、なでしこさんなら手加減せずに戦えるし。
美しいお嬢様。どうか私と踊っていただけませんか?」
「……はい。喜んで」
と言ってもさくらデラはダンスなんかしたことない。相澤に手取り足取り教えてもらい何とか形にはなったくらいだ。
時は過ぎ、針は十一時五十五分を指していた。
「王子様、私はもう帰らないといけません。さようなら」
さくらデラはドレスの裾を持ち上げて出口まで走っていった。
「……俺は追いかけた方が良いのか?」
「まあ本来はね。でもさ」
「妖精ちゃん」
足おっそ!!
「仕方ないわよ。あの子小学生の頃五十メートル走十二秒もかかったんだから」
「うぅわぁ」
で、結局普通の人なら歩いても一分とかからない道を五分も走ってやっと馬車にたどり着いた。
その時何故か自然と脱げなかったガラスの靴を投げ捨てて。
翌日。
「ガラスの靴の持ち主を探しています! 心当たりのある方は履いてみてください」
三月が叫ぶ。
「まあ結末分かってるんだけどね」
「加治。黙っとけ」
どれ程か経った頃さくらデラ達が来た。
「まあさくらでしょうね」
「台本通りやってってば!」
「はぁ。私も履いてみてよろしいかしら?」
「どうぞ」
まあ案の定合わなかった。
というかなでしこはそんなに乗り気じゃなかった。当たり前だが。
「ほら台本通りにやったわよ。さっさと履いて相澤君と結ばれなさいなさくら」
「デラを付けてよ」
相澤に差し出されたガラスの靴をさくらデラはそっと履く。
しかし
「あれ?」
「どうしたさくら? 早く履いて」
「入らない」
「「「は?」」」
ガラスの靴はさくらデラの足より一回り小さくなっているのである。
「ど、どうするの? あ、あやさーん!」
「ああだって妖精ちゃん昨日それ投げ飛ばしたでしょ。ガラスの靴さん怒っちゃったんだよきっと」
「無機物なのに!?」
ガラスの靴を踵を残して履いている足がアスファルトに蹴躓いてさくらデラが転ぶ。
「あいたたた。あやさんどうしよ」
「よ、妖精ちゃん。下、下」
「? 下?」
立ちながら目線を下げると昨日みすぼらしく見えるように糸を解れやすいようにした服がビリビリに破かれていて鎖骨より下のワンピースが全て脱げていた。
つまりさくらの可愛らしい胸を覆うブラジャーも真白で無地一択なパンツも観衆からは丸見えなわけで。
「いやぁぁぁぁぁ!!!!?」
「よ、妖精ちゃん落ち着いて。カメラにはしっかり抑えたか」
「彩果ちゃんそれ逆効果」
「もうやだお嫁に行けないぃぃぃ!!」
(((もう嫁に行ってんじゃん)))
こうしてさくらデラと王子は生涯を共にしましたとさ。めでたしめでた
「めでたしじゃないよぉぉぉ!!」
「なんなのこの茶番」
はあ。と全員揃って溜息をつくのだった。
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