スキルゲ!!

チョーカー

召喚士の結論

 『王』は指を指す。
 少年―——朝倉亮期の顔を見つめたまま、体を半身に背後に指を指す。
 『王』の背後にあるのは、地面に潰れている『リヴァイアサン』のみ。
 『王』は少年の目を見続ける。少年もまた『王』の視線から目を離さない。
 『王』は「何を」とは言わない。少年は「何が」とは言わない。
 言わなくてもたどり着けるであろうという、ある種の信頼。
 だから少年はわかる。
 『王』の言葉は『リヴァイアサン』をどうするかという質問。
 生殺与奪の権利は自分が握っているという事。


 朝倉亮期は考える。
 簡単に結論は出したくない。安易な答えでコレを終わらせるわけにはいかない。
 自分の内から湧いてくる義務感。
 このまま『リヴァイアサン』が息絶えればどうなるか?
 朝倉亮期は想像する。
 僕のスキル能力は消えてしまうのだろうか?
 僕のスキルは召喚。それも『リヴァイアサン』を召喚することだけの能力。
 『リヴァイアサン』が死ねば……おそらく、僕のスキルはなくなってしまうのだろう。
 たぶん、そうなれば、僕はこの街にいられなくなる。
 身を守るための術もなく生きていく。それができるほど、この街は優しくない。
 どうだろう?僕はこの街が好きなだろうか?
 憧れはあった。でも、憧れは憧れでしかない。僕はこの街に心底住みたいと思っていたのだろうか?
 ……わからない。
 いやいやいや。それよりも大きな問題がある。
 僕がこの街に住み続けるためには『リヴァイアサン』を完全に支配下に置かないといけない。
 そんな事が可能なのか?僕にできるのか?
 また、『リヴァイアサン』が暴れたら? もし、目の前の人物のように、助けてくれる人がいなかったら? 現状、被害が最小限に済んでいるのは結界があるからだ。
 嗚呼、次から次に悪い想像が頭に浮かんでは消えていく。
 結局、僕は……

 不意に、音がする。
 地面に横たわっている彼女―——橘あかねが僅かに体を動かした。
 それだけでも、僕の耳が音を拾うほど、周囲は静まり返っている。
 もしかしたら、結界が外部からの音を遮断しているからなのかもしれない。
 僕は彼女の事を知らない。
 いや、クラスメイトだし、過去にこの街で会っているわけだけど……
 それだけだ。
 きっと、彼女も僕の事を特別な存在のように扱って、助けてくれたわけではないのだろう。
 たぶん、彼女は誰にでもそうする。他の人間が僕と同じ立場にたっているのを見たら助けるに違いない。
 彼女の事は知らない僕だけれども―—— それは僕の妄想かもしれないけれども―——

 僕もそう生きてみたいと思った。



  

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