スキルゲ!!

チョーカー

VS『リヴァイアサン』決着

 『王』の超加速。
 生身の人間が到底、耐えられない圧力が襲い掛かっているはずだが、スキルの効果が空気の壁を無効化している。
 物理法則すら捻じ曲げる速度。
 十分に加速した肉体。そこから、振り落される短剣の剣先はどのくらいの速度になるだろうか?
 それは空間そのものすら切り裂いていく。
 鋼鉄と言われる『リヴァイアサン』の鱗すら、溶けるバターにナイフを入れるように抵抗がなく切っている。それも次々に『リヴァイアサン』の体にラインが入っていく。
 『リヴァイアサン』の肉体は切り裂かれ、中から青い血液が雨の如く、地面へ降り注いだ。

 悲鳴のような雄たけびが『リヴァイアサン』の口から発せられる。
 その音すら物理攻撃として『王』を襲うが、そもそも『王』は音速より速い。
 音という空気の振動を、自らの『速度』という武器で破壊してしまう。
 そして『王』の口から信じ難い言葉が飛び出してきた。

 「……やはり、斬撃は効果が薄いか」
 
  そう言い、短剣を消す。
 『王』は『リヴァイアサン』に向かい、素手で戦う。そう宣言したのだ。
 空を飛ぶ者の打撃はどういうものなのか?
 それは通常の格闘技のセオリーには存在しない打撃になる。
 なぜなら……
 踏み込みによっての加速。腰の捻りを利用しての加速。さらには腕を突き出すことによる加速。
 それらの拳を加速させる動作よりも、遥かに速い推進力を有しているからである。
 強いて近代格闘技で例えるならば、金網の八角形オクタゴンで戦う総合格闘家が金網を蹴って、飛ぶようなパンチを繰り出す。スーパーマンパンチと言われる技に近い。
 それを最速と言われる『王』が行うとどうなるのか?
 それは、もはや肉体そのものが兵器に等しい。
 この世界を貫く砲撃。
 どんな生物であれ、その攻撃を認識すること自体が不可能に近い最速の物体移動。
 認識した瞬間にはすべてが終わっている不可視の一撃。
 ただのパンチが世界に影響を与えてしまう。
 それが『王』として君臨した『到達者』の実力である。

 その一撃は、当然ながら『リヴァイアサン』を貫いた。
 モンスターの体に残ったのは、巨大な穴。
 明らかな致命傷。不死身の化け物であれ、死の運命は避けられないだろう。
 戦いは終わった。
 『王』は『リヴァイアサン』を見る事もなく、背を向けた。
 背後から巨大な建造物が崩れるような音だけ響いている。
 戦いは終わり『王』は少年の前に着地した。

 さて―——
 目の前で呆けている少年に『王』は何て声をかけるべきか、少しだけ考えていた。


 

「スキルゲ!!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「その他」の人気作品

コメント

コメントを書く