スキルゲ!!

チョーカー

相対する者

 「……何とかしないと」
 おそらく、この『リヴァイアサン』を前に安全な場所なんて存在しない。
 僕は橘あかねを抱き起し、せめて平坦な場所に移動させた。
 その間、『リヴァイアサン』は僕から目を離さない。
 威嚇するでもなく、ただ僕から目を離さないだけだ。
 僕を値踏みしているのか? 
 どういう方法であれ、コイツを召喚したのは僕だ。
 従うに足りる存在であるか、どうか?僕を試しているのか?
 僕はコイツに恐怖している。しかし、召喚士と召喚獣をいう関係。
 何か、繋がりが存在している。 それが感覚としてわかる。
 ならば―——
 僕は勇気を振り絞って『リヴァイアサン』に一歩だけ踏み込む。
 瞬間、全ての感情が吹き飛ばされた。
 『リヴァイアサン』から発せられた濃厚な感情によって、僕のちっぽけな勇気は消し飛ばされた。
 植えつけられた恐怖心によって僕の思考は停止させられた。
 僕に許された自由は、このまま、死を迎えるだけだ。

 『死』

 この一文字だけで頭が支配される。
 何も考えられない。『死』だけで頭が埋まっていく。
 ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ……
 最初、それが何の音かわからなかった。自分の口から聞こえてくる気づいて、初めて自分の笑い声だと認識できた。
 嗚呼、終わった。
 全てが、全てが終わった。

 そんな事を考えていた。考えていたから気がつかなかった。僕の前に人が立っていた事を。
 その人は、僕が見ているだけで発狂しそうになった怪物『リヴァイアサン』を前に、一歩も引かない。
 涼しい顔で、立っていた。立ちはだかっていた。
 まだ若い容姿。たぶん20代前半。ひょっとすると10代後半かもしれない。
 優しげな表情であり、その中にも戦士の風格のようなものが存在している。
 そして、手にもっているの物は……
 なんだ?あれ?何というか、随分とセンスの悪い仮面だった。

 「大丈夫かい?亮期くん」
 「―————ッッッ! は、はい!?」

 急に名前を呼ばれて驚いた。
 そして、気がつけば僕は正気に戻っていた。
 さっきまでの恐怖心や頭を支配していた『死』の文字は消え失せていた。

 「大丈夫そうだね。じゃ、直ぐにあの『モンスター』を倒してくるよ」

 そう言って、その人は『リヴァイアサン』に臆す事もなく、向かっていった。
 一体、彼は誰なのか? 
 少しだけ、芦屋先生に似ていた気がした。

  

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