スキルゲ!!

チョーカー

朝倉亮期の外側

 (あれ?)
 それは不思議な光景だった。
 戦いの開始。雄たけびを上げて滝川晴人に襲い掛かっていく僕。
 駆け出していく自分の姿を一歩下がった位置で見ていた。
 僕は僕を見ている。滝川晴人に向かっていく朝倉亮期。
 でも、その朝倉亮期は僕で……僕の肉体は朝倉亮期で……
 僕の精神が、僕の肉体から零れ落ちている?
 そんな不思議で奇妙な状況。 
 どうやら僕は人間離れした動きしているみたいだ。
 そんな僕の体に僕は追随している。常に一歩だけ離れた位置に僕はいる。
 (なんだろう?これ?)
 こんな状態でも意外と冷静に自分を見れている。
 しかし―——
 どうして僕にこんな動きができるのだろう?なんで僕は戦えているのだろうか?
 思い浮かぶのはそんな当たり前の疑問。この状態に対する思考は、あまり働かない。
 滝川晴人は戦いの最中に喋りかけてくる。
 しかし、その声はごぼごぼと、まるで水中で話しているみたいに正確な言葉として耳に届いてこない。
 不思議な事は続くもので、なぜだが、僕には滝川晴人の言葉が理解できていた。
 たぶん、その言葉を訳すと

 『見えるで。スキルがプロテクトで覆われている。徐々にヒビが入り、そこからスキルの力が漏れているのが見えるで』

 こんな感じだろうか?
 僕は滝川晴人の言葉を咀嚼する。
 彼には僕が異常な力を発揮している源が見えているらしい。
 それは僕には見えないものなのか?僕のスキルなのに?
 僕は僕の戦いをそっちのけで、朝倉亮期対滝川晴人の戦いをそっちのけで、キョロキョロと周囲を見渡す。 異常はない? 視界にはおかしな所はない。
 そう。あくまで視覚には……だ。
 つまり異常が起こっているなら、その場所は僕の視覚外。
 滝川晴人に見えて、僕には見えない場所。そんな場所があるとしたら……。
 僕は勢いをつけて首を捻る。何も見えない。今度は体ごと捻る。
 まだまだ……さらには体を反らして
 (……見えた!?)

 そいつは僕の死角になる場所。つまりは後頭部に浮遊していた。
 形状は、まるで卵のような球体だ。
 そしてひびだらけ。そのひびの隙間から、何かがあふれ出している。
 これが僕のスキル。
 一体、なぜ、こんな事になっているのか?
 滝川晴人の言う通り封印されているならば、誰が、なんのために?
 だが、僕の思考は途切れる。
 最後に声が聞こえた。滝川晴人の声。
 彼は短く、こう述べた。

 『死神の鎌』 


 
  

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