スキルゲ!!

チョーカー

振り落とされる刃

 「信じられるか?昔のモンスターってのは、こういう『他者を拒む結界』ってのを作れたらしい。それも全てのモンスターがやで?こいつは、ちょっとしたチート能力ってやつやないか?
 いやいや、昔のスキル使いって連中は、こんなの相手に奮戦してたって話だからな。
 ひょっとして、彼らが使うスキルは今現在の文明化したスキルとも違うチートな力だった。
 俺は、そう推測するわけやけれども、違うかな?」

 滝川晴人は早口でまくし立てる。次に自分の頭に指を刺す。 

 「いかんせん、俺には滝川晴人に関する『記録』は頭に入れているけれども、滝川晴人に関する『記憶』は持ち合わせていないからな。頭の中は空っぽ状態やな」

 彼は笑った。僕は彼の言っている言葉の半分くらいしか理解できない。
 それでも彼の笑いが、僕に向けられているものだということくらいは理解できる。

 「結界が消滅した世界で、結界再現に成功したのは俺だけみたいやな。
 なるほど。そこらへんのインスタントなスキル使いじゃ、結界内での活動は不可能だと・・・・・。
 学校の敷地内で動いているのは、3人?いや、4人くらいか。残念やけど、お前の救援には間に合う距離やないな」

 「僕になんの用だ?」
 僕は睨みつけるように言葉を発する。言葉に敵意を可能な限り込める。
 「ほう・・・・・・」と滝川晴人は値踏みするように僕を見る。
 「たいしたもんや。まるで追い詰められた子ウサギのように震えながらも虚勢だけは張り続けれるわけなんやな」
 滝川晴人の言葉で、自分の状態を把握する。
 バケツからこぼれた水で濡らされた廊下。僕は水浸しの地面に座り込み、恐怖に震えながら滝川晴人と対峙している。
 虚勢。客観的に自分の現状は把握して、ここまで滑稽な虚勢があるだろうか?
 チェックメイト。あるいは王手。
 僕は狩られる側の人間で、滝川晴人は狩る側の人間・・・・・・いや、モンスターか?
 事実、彼の手には、滝川晴人の手には大鎌が握られている。
 およそ、人の命を刈り取る以外の使い道が思いつかない武器。
 凶悪さが滲み出いていて、威圧的で、醜悪で、邪悪で・・・・・・
 滝川晴人の精神が武器に反映されているとしたら、目の前の存在は、どんな存在なのだろうか?
 僕が想像する彼の表現に「人間的」という言葉が当てはまる事はない。そう断言できる存在なのは間違いだろう。
 そして、次の瞬間。
 彼の大鎌は、僕に向かって振り落とされた。

 

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