スキルゲ!!

チョーカー

裏で動く者

 僕は家に帰るとベットに倒れこんだ。
 転校初日。いろんなことがありすぎて、疲労が急にきた。
 「お~い亮期や。飯は出きれるぞ。降りてこいや」
 睡魔に襲われ、夢と現実が曖昧になっていたが、食欲の方が勝っていたみたいだ。
 下から流れてくるご馳走の匂い釣られて、ふらふらと階段を降りていった。
 1階の扉を開けると、父親が用意した料理が並んでいた。
 最近、親父が家にいるのは珍しかった。ここへ引っ越してくるのも、相当な無理をしたようだ。
 本人は隠しているつもりなのだろうけれども、やっぱり、息子の身として感じるものはあった。
 「今日は豪華だね」
 「あぁ、引越し祝いも兼ねているからね。どうだ?新しい学校は?」
 「どうと言われても・・・・・・」
 「担任の先生はどんな感じだ?クラスメイトは?」
 「みんな、いい人・・・・・・かな?」

 僕の脳裏に浮かんだ、今日出会った人々たち。
 いい人?自分で言って疑問符が浮かんでいた。
 そんな僕の表情を、何か勘違いしたらしく
 「すまんな。俺の夢に息子のお前をつき合わせてしまって」
 「いやいや、良いってよ。別にこの町も悪くないよ。うん、好きになれそうだよ」
 「・・・・・・そうか。よかった。うん、よかった」
 本人は、必死になって否定するが父親は涙脆い。感情家だ。
 最も研究者という職業上、感情的な方が向いているから大成したのかもしれない。

 「風呂はできているぞ。そのまま寝るなら、先に入ってから寝なさい」
 「ふぁい~」と僕はあくびを漏らしながら部屋に戻っていった。

 そして、リビングに1人残った父親の言葉は、息子に届かなかった。

 「亮期よ。俺が救ってやるからな。
 例え、悪魔に魂を売ろうとも・・・・・・」


 翌日。
 授業の最中でありながら、あくびを漏らす。
 どうやら、前の学校の方が授業が進んでいたらしく、授業が復習状態になってしまい、それが眠気を加速させる。
 何か、小さな音がした。
 僕の机の上に折りたたまれた紙が投げられたのだ。
 どうやら、ノートの切れ端を手紙代わりにして、隣の席から隣の席へとバケツリレー方式(?)で回ってきたみたいだ。
 投げられた方向を見ると遠くの席から女の子が小さく手を振っている。
 おそらく、彼女が差出人らしい。
 最近じゃ、こういうのは携帯とか利用して隠れてやるもんじゃないのかなぁ?
 と考えて、気がついた。
 このクラスメイト達は、転校生である僕のメールアドレスもソーシャルネットワークサービス系のアドレスも知らないに決まっているじゃないかと。
 僕は手紙を広げる。
 そこには―――

 「昨日、滝川晴人と一緒に歩いていたって本当?」

 と書かれていた。
 

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