スキルゲ!!

チョーカー

滝川晴人という現象

 授業が終わった。
 このまま、帰ってもいいかな?
 椅子から立ち上がると、1人の男子生徒が近づいてきた。
 短く刈り上げられた短髪。 そして、赤く染め上げられている。
 「やぁ、朝倉くん。誰かに学校の案内を頼んでたりするかい?」
 「そう言えば・・・・・・誰にも頼んでないなぁ」
 「そうなんかい。せ、それだったら、俺が案内しようか?」
 「いいのか?それじゃ頼むよ」
 僕は赤髪の後ろについて行く。
 ・・・・・・あれ?
 クラスメートで、こんな派手な人っていたっけ?
 一度、見たら忘れられないくらい派手だけど・・・・・・。
 「そう言えば、君の名前って聞いてなかったよね?なんていうの?」
 「あぁ、せやったな。俺の名前は滝川晴人やで」

 しばらく、滝川晴人の後ろをついて歩く。
 「ここが学食や」
 「ここが視聴覚室や」
 「ここが図書館や」
 「ここが・・・・・・」

 「ここが屋上や」
 「・・・・・・」

 この学校、屋上を公開しているのか。僕は、そんな呑気な事を考えていた。

 「さて、とっととやろうやないか?」
 「やるって何を?」 
 「おいおい。転校生に学校案内で屋上まで連れてくるなんて理由は1つしかないやろ

 タイマンや!?」

 まるで別人。滝川晴人から威圧感が放たれる。
 「さっさとスキル使えや?死ぬぞ?お前」
 「黒い炎?」
 いつの間にか、滝川晴人の体が黒い炎で覆われている。
 そして手に握られているのは、大鎌。
 まるで死神が生者の命を摘み取る時に使うような大鎌だ。
 コイツ、本気か?本気で喧嘩でアレを振り回すつもりなのか?
 そんな思考をぶった切って、晴人は飛んでくる。
 比喩じゃない。体を覆っていた黒い炎の形状が羽のように変化し、宙を浮いている。
 そして、僕に向けて大鎌を振り下ろした。
 「マジかよ!」
 地面を転がりながら回避したが、新調したばかりの制服に切れ目が通る。
 マジだ。コイツ、ただの喧嘩で人を殺すつもりだ。
 滝川晴人を見る。空中で旋回し、追撃を仕掛けようと高所から急落下してくる。
 もう一度、回避。
 しかし、足が動かない。頭では逃げようとしているのに体が動かない。
 「ほな、さいなら」
 彼は死神のような風貌に違えず、大鎌を無慈悲に振り下ろした。
 僕の命を刈り取るように・・・・・・

 
  

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