パワーストーンの選び方
パワーストーンの選び方
パワーストーン。
それは石である。
ただの石ではなく、パワー…つまり様々な力や、願いを補助する石である。
水晶は、昔は名前の通り水の結晶と呼ばれたり、日本では孔雀石と言う緑色の年輪のようにしまのある石ややラピスラズリは、砕いて、化粧に絵の具の材料に施された。
有名なエジプトのツタンカーメンのマスクに利用されている青い色はラピスラズリである。
他にも、伝説では真言密教では水銀やラピスラズリが必要で、水銀を探すために空海……弘法大師は四国を巡り、見つけた地域に寺を建てたり、当時荒れ果てていた近くの寺院を移築したりして四国遍路88ヶ所が作られた…と言う伝説もある。
 話を戻そう。
 私は、パワーストーン大好き人間である。
 最初は、自分の体質など、全く解らない人間だったのだが、病気も多く、また読書も好きなので肩こりだと思っていた高校時代に、他のクラスの…同じ部活…その上後に部長になる人が、何故かちょっと挨拶をするだけでスッと私の前から消える…。
えっ!初対面なのに嫌われた!!どうしよう…と悶々としていると、しばらくして、
「刹那ちゃん…ちょっといい?」
「あ、うん」
呼ばれた先は、別の教室で、
「刹那ちゃん…はっきり言って悪いけど、私、今までで、そんなに憑けてる人見たことないわ!!しかも、生き霊とか、動物霊、物の霊も…どうしてそこまでつけてて動けるの!!」
と叫ばれ、意味がわからなかった私は首をかしげ、
「えっと、生きてるから?」
「いやぁぁぁ!!お払いよ!!除霊よ!!しかも厄介な自殺霊が憑いてるじゃないの!!」
「はぁ…」
と言うことで、友人に除霊して貰ったが、なんのことはない、普通に背中を払われ、友人が持っていた数珠を身に付けろと言われたこと。
「私は自己流だから、本職さんとは違うから、でも、刹那ちゃんは何でもどんとこいやぁ!!のその体質…何とかしよう。今度パワーストーンのお店につれていってあげる」
当時、まだパワーストーンのブーム前で、私は首をかしげる。
「パワーストーン?」
「水晶とか、アメシストとか分かる?」
「あぁ、アメシストは昔は、お酒に酔いすぎないように、グラスにいれて飲んだりしたって聞いたことがあるよ?それとか、クレオパトラ8世が、珍しい貴重な大粒の真珠を溶かして飲んだって言う…」
「刹那ちゃんの知識は解った。けどね、今回は違うの」
片寄った知識に友人も硬直し、ため息をつく。
「昔からも一応あったんだけど、最近、石には色々な特徴の能力があり、人間を助けてくれる力もあるって言う事が解ってきたんだよ。特に刹那ちゃんは霊を引き寄せる体質だから、来ないように、魔除けの石を持っておいた方がいいと思うんだ。今度、私の知り合いのお店紹介するから、一緒にいこう」
「石…エメラルド?サファイアは誕生石だけど高いよね!?母さんはダイヤモンドで…そんなの買えないよ!!」
 宝石店に行くと思っていた私が連れていかれたのは、白い一室にキラキラとした空間…綺麗…と見回していると、
「きゃぁぁぁ!!だ、だ、誰つれてきたの!!変なのつけてる子が!!今すぐ、これをつかんで、しばらく走ってらっしゃい!!」
と、つきだされたのは塩の盛られた器…。
友人は気にもせず取り、
「刹那ちゃん。一掴み。で、荷物はここにおいておいていいから、行くよ」
と、部屋を出た。
そして小走りで走りつつ、友人は自分に振りかけるようにしたあと、通りの角で立ち止まり手をごしごしと塩でこする。
同じようにした私を見て、そしてなにかを追い払うようなしぐさをしたあと、
「じゃぁ、戻ろう。店長もこれで大丈夫って言うわ」
と言って戻っていく。
そして、再び中に入ったのだが…、
「え?えぇ!?さっきより、キラキラしてる!!なんか、こんにちはっていってる感じがする!!」
声をあげると、先程の店主さんが、
「あなた、連れてきたから怖がってたのよ皆。いなくなったから、ご挨拶に来たのね」
「ご挨拶…お姉さん…あの、皆って、石たちって、お話しするんですか?」
「人間だけでなく、石同士にも相性があるし、それに、人間と石にも相性があるのよ?」
「えぇ!」
驚いていると、お姉さんは二つの石を差し出した。
一つは透明な石…私にも分かる水晶である。
そして、もう一つは…、
「ラピスラズリ…ですよね?」
「えぇ、触ってみる?」
首を振る。
水晶は好きだと思えたが、好きな色である青い石でも、ラピスラズリの威圧感のある色は嫌悪ではないが萎縮する。
「やっぱり。これが相性よ。水晶は万能の石とも呼ばれていて、ほとんどの石とも相性がいいし、好き嫌いはないのよ。でも、ラピスラズリは好き嫌いが…と言うより、願いが叶う石とも呼ばれていたり、強すぎて、悪いものを呼ぶ場合もあるのよね…」
「そうなんですか…」
渡された水晶を転がし、周囲を見回す。
「一杯…あ、これはローズクォーツにアメシストに、あ、ムーンストーンにアヴェンチュリン!!可愛い!!」
「どれが好み?」
友人に問われ、水晶とアヴェンチュリンを示す。
「ローズクォーツは?」
お姉さんに聞かれ、少しは気になっていたものの、小声で、
「ピンク…似合わないので…」
「そう?そこの子がとってもあなたが大好きよっていってるみたいだけど…」
示された子は、さっきから気になっていた石で、白に近い淡いピンク…。
躊躇う私に、
「今日来てくれたお礼にあげるわ。連れて帰って大事にしてあげてね?パワーストーンの手入れについては、紙をいれておいてあげる。石は意思を持つから、大事にね?」
それ以降、定期的に行くのだが、自分の調子がいい時には大丈夫なのだが、悪いときは毎回、
「刹那ちゃん!!外!!」
「はぁーい!!行ってきます」
と走って清める。
 そして戻ってくると、ショーウィンドウの中の綺麗な石を見ようとふっと見ると、
「お、お姉さん!!こ、この子、この子…」
鶏の卵サイズの卵形の青い石…しかし、同じ青くても、ラピスラズリは金粉の散ったような石に対し、キラキラとした天の川のような銀粉が散っている…不思議な石。
値段は8000円。若い自分には高いが、それでもこの子はラピスラズリのように強すぎない優しい力、弱すぎず強すぎず…自分に安堵を与えてくれる感じ…。
「青水晶って言うのよ」
「え?青水晶!?水晶って、普通の水晶やアメシストに、針入り水晶に、スモーク…茶色…シトリンとかも、クラスターですよね!?」
 水晶は六角柱の石を長年かけて成長させる。
 それが群生するとクラスターと言う。
クラスターはかなりの力を大地から与えられており、クラスターの上に、弱った石を置いて一晩置くと石のパワーが戻る。月の力を借りてもいいし、もしくは流水、塩で洗うと言う方法もあるが、水に弱い石や、塩で洗うとダメな場合も多く、一番クラスターを利用する方がいい。
「ローズクォーツと同じで、クラスターじゃない、その奥の石ね」
「うわぁ…綺麗…綺麗!!この子連れて帰って良いですか!?」
「いいけど、この子より、こっちの子の方がいいと思うんだけど?」
並んでおいてあった、もうひとつの石は空色の石で、濃い青で線が描かれていた。
同じく青水晶で、6500円。
でも、あの天の川のような銀を見ると、どうしても引き寄せられ、購入する。
そして、帰るときに、ふっと目があった子がいた。
「あれ?この子…いましたっけ?」
「前からいるのよ?気がつかなかった?」
「えぇ…ブラックオニキスの8cm玉って、こんなに真っ黒で、しかも傷一つないのにこの値段ですか!?」
黒は怖い色と思われがちだが、このブラックオニキスの黒丸は、全くそんなことはなく、
「な、なんか…子犬が構ってって尻尾振ってます!!寄ってきてます!!」
と言う感じで、目をキラキラさせた子犬にしか見えない可愛らしさ…。
「えっと、今日は…この子連れて帰るから…」
と声をかけるととたんにシューンとしょげるような気配まで感じる。
ヤバい!!ほだされる…この子犬に…逃げ出さないと!! 
と出ていったが、10分後には、銀行からお金を引き出してきた私が、もうひとつの青い水晶と黒丸を購入していた。
しかし、相性は大丈夫かと心配したが、黒丸は人見知りしない子で、どんな石とも仲が良くなり、少々不器用な印象の青の濃い水晶は、黒丸のそばで楽しそうにし、淡い青の子は、元気である。
相性は…ある。
ラピスラズリと青は合わなかった。ラピスラズリは喧嘩を売り、青は無視する。
青は怒るとぶわっと銀粉が吹き出るので分かる。
薄青は、おっとりしているが、青と引き離されるのが嫌だと駄々をこねる。
石である。
たかが石だと思うだろうが、宝石店の石とは違い、表情を持つ。
特に私は、体調の良し悪しと機嫌の良し悪しで、石の色を変える特技がある。
レインボームーンストーンと言う石があり、私はその石のついた指輪を購入して、5分触っただけで、乳白色の石が透明に緑色になった。
イライラしつつさわると青くなり、疲れていると紫になる。
その変化を冗談と思っていた人の前で見せると、本人が自分もする!!と言うので、
「無理ですよ。この子私の子ですから」
と言ったにも関わらず、成功せず、腹をたてた。
「だから言ったでしょう?石だって心があるんです!!この子は私の具合が心配でこう言う風に教えてくれるんです!!遊び半分にしないでください!!」
と取り上げた。
石には意思がある。
でも、宝石店の石は、色を落ち着かせるためにほぼ焼かれて、意思がないことが多い。
一回、バイト先で、掃除中落ちていたルビーかザクロ石か解らない石を拾い、半年経っても取りに来なかったので、店長に譲ってもらった事がある。
その頃にはそれなりに石と話す…感じるようになっていたが、この子からは困惑…とも、不安とも違う…混乱でもない…不思議な空気を感じた。
「何をしたいの?」
と問いかけても、首をかしげるイメージしか沸かず、お店に行って、見てもらうと、
「ルビーかザクロ石、どちらかね。でも、途方にくれているって言うのも当たっているわ。この子自分が何か、どうしてここにいるか解らないのよ」
「どうしましょう…」
「捨てるか埋めるか…」
「嫌です!!」
「じゃぁ、他の子と一緒に可愛がってあげなさいね」
と、家の子になった。
焼かれてしまっていても、わずかながら残っていたのか、水晶の六角柱の子とは仲がよく、側に置いておくと二人でひなたでお茶…のイメージがわく。
石は個性がある。
いくら、ローズクオーツが女性の石で、恋愛の石と呼ばれていても、相性があるし、石にも好みがある。
いくら高価な石でも着けてみると、がっかりしたときと同じように、自分が求めても相手は求めないと得られない…恋愛に似ている…。
最近、ちょっとした場所で気軽に売られているが、購入してすぐ身に付けるのはお勧めしない。
街中で売っているものなどは特に、色々な人が触れていたり、横を通っただけでも、石は、悪いものを受け取ってしまう。
なので、おすすめするのは、塩でもみ洗いして、水道水でいいので洗い落とし、柔らかいタオルで拭き取る。
これは、安いお塩ではなく、地域による、なんとかの塩というものがおすすめだったりする。
そして、それが面倒だと思えば、器に塩を盛り、石を置く。
数日すると塩が固くなり、塩は、バスソルトとして用い、処分する。
でも、これは水や塩の大丈夫な石であり、会わない石もある。
その時には、石は水晶のクラスターという、群生の上に乗せて休ませる。
そうすると元気になるのだ。
刹那も元気になりたいし、と思うのだが、妹に一言。
「姉ちゃんを清める塩を買ってたら、相当お金かかるよ!!一晩もおとなしくしないんだから、ミイラみたいに、塩で固めよか?」
真顔で言われたものの、冗談だと思った私は、
「それより、鯛の塩釜蒸しすれば♪」
「あ、そうだね!!そうしよう。姉ちゃんが良いって言ったし」
「すみません!!冗談です!!許してください!!」
頭を下げる。
霊感のないのに、霊感が強く、はねのける力の強い妹が羨ましい…と思いつつ、今日もバスソルト利用中である。
それは石である。
ただの石ではなく、パワー…つまり様々な力や、願いを補助する石である。
水晶は、昔は名前の通り水の結晶と呼ばれたり、日本では孔雀石と言う緑色の年輪のようにしまのある石ややラピスラズリは、砕いて、化粧に絵の具の材料に施された。
有名なエジプトのツタンカーメンのマスクに利用されている青い色はラピスラズリである。
他にも、伝説では真言密教では水銀やラピスラズリが必要で、水銀を探すために空海……弘法大師は四国を巡り、見つけた地域に寺を建てたり、当時荒れ果てていた近くの寺院を移築したりして四国遍路88ヶ所が作られた…と言う伝説もある。
 話を戻そう。
 私は、パワーストーン大好き人間である。
 最初は、自分の体質など、全く解らない人間だったのだが、病気も多く、また読書も好きなので肩こりだと思っていた高校時代に、他のクラスの…同じ部活…その上後に部長になる人が、何故かちょっと挨拶をするだけでスッと私の前から消える…。
えっ!初対面なのに嫌われた!!どうしよう…と悶々としていると、しばらくして、
「刹那ちゃん…ちょっといい?」
「あ、うん」
呼ばれた先は、別の教室で、
「刹那ちゃん…はっきり言って悪いけど、私、今までで、そんなに憑けてる人見たことないわ!!しかも、生き霊とか、動物霊、物の霊も…どうしてそこまでつけてて動けるの!!」
と叫ばれ、意味がわからなかった私は首をかしげ、
「えっと、生きてるから?」
「いやぁぁぁ!!お払いよ!!除霊よ!!しかも厄介な自殺霊が憑いてるじゃないの!!」
「はぁ…」
と言うことで、友人に除霊して貰ったが、なんのことはない、普通に背中を払われ、友人が持っていた数珠を身に付けろと言われたこと。
「私は自己流だから、本職さんとは違うから、でも、刹那ちゃんは何でもどんとこいやぁ!!のその体質…何とかしよう。今度パワーストーンのお店につれていってあげる」
当時、まだパワーストーンのブーム前で、私は首をかしげる。
「パワーストーン?」
「水晶とか、アメシストとか分かる?」
「あぁ、アメシストは昔は、お酒に酔いすぎないように、グラスにいれて飲んだりしたって聞いたことがあるよ?それとか、クレオパトラ8世が、珍しい貴重な大粒の真珠を溶かして飲んだって言う…」
「刹那ちゃんの知識は解った。けどね、今回は違うの」
片寄った知識に友人も硬直し、ため息をつく。
「昔からも一応あったんだけど、最近、石には色々な特徴の能力があり、人間を助けてくれる力もあるって言う事が解ってきたんだよ。特に刹那ちゃんは霊を引き寄せる体質だから、来ないように、魔除けの石を持っておいた方がいいと思うんだ。今度、私の知り合いのお店紹介するから、一緒にいこう」
「石…エメラルド?サファイアは誕生石だけど高いよね!?母さんはダイヤモンドで…そんなの買えないよ!!」
 宝石店に行くと思っていた私が連れていかれたのは、白い一室にキラキラとした空間…綺麗…と見回していると、
「きゃぁぁぁ!!だ、だ、誰つれてきたの!!変なのつけてる子が!!今すぐ、これをつかんで、しばらく走ってらっしゃい!!」
と、つきだされたのは塩の盛られた器…。
友人は気にもせず取り、
「刹那ちゃん。一掴み。で、荷物はここにおいておいていいから、行くよ」
と、部屋を出た。
そして小走りで走りつつ、友人は自分に振りかけるようにしたあと、通りの角で立ち止まり手をごしごしと塩でこする。
同じようにした私を見て、そしてなにかを追い払うようなしぐさをしたあと、
「じゃぁ、戻ろう。店長もこれで大丈夫って言うわ」
と言って戻っていく。
そして、再び中に入ったのだが…、
「え?えぇ!?さっきより、キラキラしてる!!なんか、こんにちはっていってる感じがする!!」
声をあげると、先程の店主さんが、
「あなた、連れてきたから怖がってたのよ皆。いなくなったから、ご挨拶に来たのね」
「ご挨拶…お姉さん…あの、皆って、石たちって、お話しするんですか?」
「人間だけでなく、石同士にも相性があるし、それに、人間と石にも相性があるのよ?」
「えぇ!」
驚いていると、お姉さんは二つの石を差し出した。
一つは透明な石…私にも分かる水晶である。
そして、もう一つは…、
「ラピスラズリ…ですよね?」
「えぇ、触ってみる?」
首を振る。
水晶は好きだと思えたが、好きな色である青い石でも、ラピスラズリの威圧感のある色は嫌悪ではないが萎縮する。
「やっぱり。これが相性よ。水晶は万能の石とも呼ばれていて、ほとんどの石とも相性がいいし、好き嫌いはないのよ。でも、ラピスラズリは好き嫌いが…と言うより、願いが叶う石とも呼ばれていたり、強すぎて、悪いものを呼ぶ場合もあるのよね…」
「そうなんですか…」
渡された水晶を転がし、周囲を見回す。
「一杯…あ、これはローズクォーツにアメシストに、あ、ムーンストーンにアヴェンチュリン!!可愛い!!」
「どれが好み?」
友人に問われ、水晶とアヴェンチュリンを示す。
「ローズクォーツは?」
お姉さんに聞かれ、少しは気になっていたものの、小声で、
「ピンク…似合わないので…」
「そう?そこの子がとってもあなたが大好きよっていってるみたいだけど…」
示された子は、さっきから気になっていた石で、白に近い淡いピンク…。
躊躇う私に、
「今日来てくれたお礼にあげるわ。連れて帰って大事にしてあげてね?パワーストーンの手入れについては、紙をいれておいてあげる。石は意思を持つから、大事にね?」
それ以降、定期的に行くのだが、自分の調子がいい時には大丈夫なのだが、悪いときは毎回、
「刹那ちゃん!!外!!」
「はぁーい!!行ってきます」
と走って清める。
 そして戻ってくると、ショーウィンドウの中の綺麗な石を見ようとふっと見ると、
「お、お姉さん!!こ、この子、この子…」
鶏の卵サイズの卵形の青い石…しかし、同じ青くても、ラピスラズリは金粉の散ったような石に対し、キラキラとした天の川のような銀粉が散っている…不思議な石。
値段は8000円。若い自分には高いが、それでもこの子はラピスラズリのように強すぎない優しい力、弱すぎず強すぎず…自分に安堵を与えてくれる感じ…。
「青水晶って言うのよ」
「え?青水晶!?水晶って、普通の水晶やアメシストに、針入り水晶に、スモーク…茶色…シトリンとかも、クラスターですよね!?」
 水晶は六角柱の石を長年かけて成長させる。
 それが群生するとクラスターと言う。
クラスターはかなりの力を大地から与えられており、クラスターの上に、弱った石を置いて一晩置くと石のパワーが戻る。月の力を借りてもいいし、もしくは流水、塩で洗うと言う方法もあるが、水に弱い石や、塩で洗うとダメな場合も多く、一番クラスターを利用する方がいい。
「ローズクォーツと同じで、クラスターじゃない、その奥の石ね」
「うわぁ…綺麗…綺麗!!この子連れて帰って良いですか!?」
「いいけど、この子より、こっちの子の方がいいと思うんだけど?」
並んでおいてあった、もうひとつの石は空色の石で、濃い青で線が描かれていた。
同じく青水晶で、6500円。
でも、あの天の川のような銀を見ると、どうしても引き寄せられ、購入する。
そして、帰るときに、ふっと目があった子がいた。
「あれ?この子…いましたっけ?」
「前からいるのよ?気がつかなかった?」
「えぇ…ブラックオニキスの8cm玉って、こんなに真っ黒で、しかも傷一つないのにこの値段ですか!?」
黒は怖い色と思われがちだが、このブラックオニキスの黒丸は、全くそんなことはなく、
「な、なんか…子犬が構ってって尻尾振ってます!!寄ってきてます!!」
と言う感じで、目をキラキラさせた子犬にしか見えない可愛らしさ…。
「えっと、今日は…この子連れて帰るから…」
と声をかけるととたんにシューンとしょげるような気配まで感じる。
ヤバい!!ほだされる…この子犬に…逃げ出さないと!! 
と出ていったが、10分後には、銀行からお金を引き出してきた私が、もうひとつの青い水晶と黒丸を購入していた。
しかし、相性は大丈夫かと心配したが、黒丸は人見知りしない子で、どんな石とも仲が良くなり、少々不器用な印象の青の濃い水晶は、黒丸のそばで楽しそうにし、淡い青の子は、元気である。
相性は…ある。
ラピスラズリと青は合わなかった。ラピスラズリは喧嘩を売り、青は無視する。
青は怒るとぶわっと銀粉が吹き出るので分かる。
薄青は、おっとりしているが、青と引き離されるのが嫌だと駄々をこねる。
石である。
たかが石だと思うだろうが、宝石店の石とは違い、表情を持つ。
特に私は、体調の良し悪しと機嫌の良し悪しで、石の色を変える特技がある。
レインボームーンストーンと言う石があり、私はその石のついた指輪を購入して、5分触っただけで、乳白色の石が透明に緑色になった。
イライラしつつさわると青くなり、疲れていると紫になる。
その変化を冗談と思っていた人の前で見せると、本人が自分もする!!と言うので、
「無理ですよ。この子私の子ですから」
と言ったにも関わらず、成功せず、腹をたてた。
「だから言ったでしょう?石だって心があるんです!!この子は私の具合が心配でこう言う風に教えてくれるんです!!遊び半分にしないでください!!」
と取り上げた。
石には意思がある。
でも、宝石店の石は、色を落ち着かせるためにほぼ焼かれて、意思がないことが多い。
一回、バイト先で、掃除中落ちていたルビーかザクロ石か解らない石を拾い、半年経っても取りに来なかったので、店長に譲ってもらった事がある。
その頃にはそれなりに石と話す…感じるようになっていたが、この子からは困惑…とも、不安とも違う…混乱でもない…不思議な空気を感じた。
「何をしたいの?」
と問いかけても、首をかしげるイメージしか沸かず、お店に行って、見てもらうと、
「ルビーかザクロ石、どちらかね。でも、途方にくれているって言うのも当たっているわ。この子自分が何か、どうしてここにいるか解らないのよ」
「どうしましょう…」
「捨てるか埋めるか…」
「嫌です!!」
「じゃぁ、他の子と一緒に可愛がってあげなさいね」
と、家の子になった。
焼かれてしまっていても、わずかながら残っていたのか、水晶の六角柱の子とは仲がよく、側に置いておくと二人でひなたでお茶…のイメージがわく。
石は個性がある。
いくら、ローズクオーツが女性の石で、恋愛の石と呼ばれていても、相性があるし、石にも好みがある。
いくら高価な石でも着けてみると、がっかりしたときと同じように、自分が求めても相手は求めないと得られない…恋愛に似ている…。
最近、ちょっとした場所で気軽に売られているが、購入してすぐ身に付けるのはお勧めしない。
街中で売っているものなどは特に、色々な人が触れていたり、横を通っただけでも、石は、悪いものを受け取ってしまう。
なので、おすすめするのは、塩でもみ洗いして、水道水でいいので洗い落とし、柔らかいタオルで拭き取る。
これは、安いお塩ではなく、地域による、なんとかの塩というものがおすすめだったりする。
そして、それが面倒だと思えば、器に塩を盛り、石を置く。
数日すると塩が固くなり、塩は、バスソルトとして用い、処分する。
でも、これは水や塩の大丈夫な石であり、会わない石もある。
その時には、石は水晶のクラスターという、群生の上に乗せて休ませる。
そうすると元気になるのだ。
刹那も元気になりたいし、と思うのだが、妹に一言。
「姉ちゃんを清める塩を買ってたら、相当お金かかるよ!!一晩もおとなしくしないんだから、ミイラみたいに、塩で固めよか?」
真顔で言われたものの、冗談だと思った私は、
「それより、鯛の塩釜蒸しすれば♪」
「あ、そうだね!!そうしよう。姉ちゃんが良いって言ったし」
「すみません!!冗談です!!許してください!!」
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1
コメント
たかし
読んでみて、
パワーストーンが欲しくなりました。