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連奏恋歌〜歌われぬ原初のバラード〜

川島晴斗

/137/:繋がらぬ想い

「……わからず屋、ね。流石は相棒、的を射た言葉を言うよな」

 どうでもいい言葉を呟きながら、俺は月を眺めていた。
 地上に出て……そうだな、ここはどこだろう?
 海だし、見たことあるから、きっと最初に俺とフォルシーナが降り立った場所だろう。
 西大陸の最東端、キィと会った場所の近く……。
 背後にある木々の向こうは砂浜、その先は海。
 つまり、俺がいるのは砂浜で、何も構わず寝転がっていた。

 あれからフォルシーナとは会っていない。
 とは言っても、まだ半日前の出来事な訳だが。
 まさかグーで顔を殴られるとは思わなかった。
 俺なりにアイツの為を思ってやったのに、このザマ。
 長年一緒に居たのに、俺は何もわかってなかったんだろうな……。

「なんで付いて来たのか、か……。わかるわけねーよ、そんなの……」

 空を見ながら改めて考察しても、矢張り答えは得られない。
 危険を冒すってわかってて付いて来てくれたんだろ?
 お前がそこまでして俺に付いて来てくれた理由……そんなの……。

「……わかんねー」

 縦横無尽に広がる空にボヤいたところで、返事は何も返ってこなかった。
 虚しいぼボヤきも止めにし、俺は砂のついた上体を起こす。
 しかし、出てくるのはため息ばかりでロクなもんじゃない。

「アイツには幸せになって欲しいのになぁ……」

 そして、性懲りもなくまたボヤくのだった。
 …………。
 ……。



 なんで俺、ここまでアイツの幸せを願ってるんだ?













「……もう無理です。あぁもう、絶対嫌われましたよ……」

 私は自分の机の上でグッタリと倒れてました。
 平手ならまだしも、グーでいっちゃいましたし……確実に嫌われてますよね……。
 その証拠に、ヤラランが居なくなっちゃいましたし……。
 あの人意外と涙脆かったり、メンタル弱いから自決とかしてなきゃいいんですけど……。

「いやはや、若いってのは良いねぇ〜」

 ベッドに寝転がりながら本を読むルガーダスさんが呑気に呟く。

「……他人事ですか」
「他人だしな。ヤラランのわからず屋!って叫んだの凄かったぞ? その時7層に居たけど、めっちゃ響いてさぁ。いやぁ、笑った笑った」
「あぁ、このジジイ早く死ねばいいのに……」
「あと10年くらい生きてやるからな。ざまぁみろ」
「……あぁああもう、どうしましょう……」

 情けない声で呻き、机に突っ伏す。
 ヤラランに嫌われるとか、私の人生終わりです……。
 なんであんな事を言ってしまったんでしょう……。

「ま、ドンマイ。俺はもう寝るから、お前も電気消して早く寝ろよ……」
「…………おやすみなさい」

 突っ伏したまま挨拶を返し、いつしか聞こえてきたルガーダスさんのイビキに、さらに自分が情けなく思えてくる。
 あぁ、もう一生ここで研究してれば、惨めな私にぴったりでしょう……。
 ヤラランが居なくなってしまい、もう私は……。

「……おーっす」
「!?」

 急に聞こえたヤラランの声に、私は思わず足を上げてしまい、膝を机の中っ側に思いっきりぶつける。
 い、痛い……けど、なんとか立ち上がる。

「や、やややややヤララン!! 無事でしたか!」
「無事ィ? 無事に決まってんだろ……。俺がなんかに襲われたと思ったのか?」
「い、いえ……わっ、なんか潮の匂いが……」
「ああ、柄にもなく海で黄昏てた。瞬間移動は便利だよな。海まで一瞬だし」
「そうですね、便利です……」

 まるで今日は何事もなかったかのように、普通の会話を繰り広げる。
 彼が普通にしているから、私も暗がりのない表情を作って……。
 だけど、実直なヤラランが今日の事を放置して時間に解決させるわけもなく――話は戻る。

「それで、海で俺は考えたんだよ。お前が付いて来てくれた理由さ。……結局考えてもわからなかったけど、とりあえず、1つだけ言わせてくれ」
「……はい?」
「昼間は出てった方が良いみたいに言ったけど……やっぱりダメだ。お前が離れるなんて俺には耐えられねぇよ」
「…………」

 バツの悪そうな顔で言う彼はどこか落ち込んだ様子で、えー、とか、んー、とか言いながら口を動かして、必死に次の言葉を探していた。
 何だか彼が不思議な真剣さを持ってて私はキョトンとしてしまう。
 ……何を言葉に詰まらせてるのでしょうか?

「……つまり、そう、アレだ」
「はい……なんです?」
「……ごめん、やっぱなんでもない。暫く上に居るからほっといてくれ」
「は、はぁ……」

 踵を返し、彼は本棚を通り抜けてとぼとぼと退室する。




 ……え? なんだったんですか?

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