連奏恋歌〜歌われぬ原初のバラード〜
/58/:用意
タルナが戻ってくると、ある程度の説明はした。
俺たちがどうしていたのかをざっと話すと、どうにも不出来らしい俺の淹れたハーブティーをタルナは啜り、カップをテーブルに置く。
「子供ごと連れてこられることは珍しくなさそうだね。貴族の妾とかなら、その子供ごと邪魔者をここに排除すればいい。そうだろう?」
「……そーだな」
タルナのわかりやすい説明に、俺は頷いた。
貴族の妾で、子供までいたらその貴族の家庭は大騒ぎだ。
基本的に貴族の妻が妾を容認するなんて話は聞かないし、妾自体居るだけで白い目で見られる。
それでも妾の居る貴族は多いんだが、な……。
「まぁ、そのメリスタスって少年が生まれを知らないなら確かめようもないけどね。ともあれ、ここに居る子供というのは可哀想だね。キィを見てると、かなり捻くれてるじゃないか。僕は娘を持つにしても、あんな子には育って欲しくないね」
「……まぁ、キィはいいんだよ」
「ん? ああいうのが君の好みなのかい?」
「そういうのじゃねぇよ。というか、この話は切り上げてくれ」
「ん? うん、君がそう言うなら辞めようか」
なぜ嫌かも聞かれず、会話は一時中断される。
ありがたい配慮だ。
タルナにこの事を話して、何を言われるのかが正直いって怖いから。
「じゃあ次なんだけど、善幻種か。いやはや、動物が進化したとでもいうのか。多少興味が湧くね。実際に見てみたいよ、6本足」
「それでいて紳士的だからな。ある意味怖いぞ」
「ふむふむ……そもそも牛に知性があるという所から疑問だがね。まぁ俺は研究者でもないから調べないが、もし調べられたら何か得られるかもね。君の大陸統一なんて大層な理想のためには、ね」
そこでタルナは指先でカップを持ち、ハーブティーを啜った。
善幻種……いや、善意がなんか大陸統一に関係あると?
確かに、西大陸が酷いことになってるのは善意と悪意が平等という言葉のせいではあるが……。
「俺の目的とは関係ないだろ。調べて嫌がられるのもやだし、友達感覚で対応するさ」
「そうかい……ふむ、君は相変わらずなんだね。ちょっと旅に出て逞しくなると思ったが、中身はそのままの好青年か」
「はいはい、どうせ俺はまだガキですよーっ」
「……嫌味で言ったんじゃないんだがね」
「あん? 今なんて?」
「いや、なんでもないさ。それより、あっちの棚に茶菓子があるから取ってきてくれ」
「村長コキ使いやがって。わーったよもう……」
俺は立ち上がり、茶菓子を取りに棚を幾つか開けた。
見当たらない。
振り返ってどこにあるか聞こうときたが、タルナは顎肘着いてなにやら物思いに耽っていた。
考え事をするための口実に茶菓子と言っただけなのかもしれない。
まぁもう少し探してみるとしよう。
その後すぐに現れたカラウ達により、茶菓子探しは断念となった。
このタイミングも、もしかしたらみ計られてたのかもしれない。
カラウの連れて来た面子は俺を見るなり驚いたが、タルナが適当に説明すると納得し、すぐに慣れて普通に話してくれた。
その中には、カラウの父であり、代理村長の男もいた。
「なんでカズラも居るんだ?」
「娘が総務部で大人何人も連れてたら親として気にするだろ……というか何故ヤラランがいる?」
「諸用だ。内容は今から話す」
言って、俺はこの場にいる面子を見渡した。
タルナ、カラウ、カズラ、それに加えて3人の男と2人の女。
うん、5人もいれば十分だろう。
俺は旧エリト村でフォルシーナがどんな契約をしたかを全員に話した。
連れてこられた奴らは何をするのかわかったのか、安堵したりニヤリと笑ったりと各々反応を示した。
「お前達に頼みたいのはメリスタスの護衛だ。嫌な奴は今言ってくれ」
「嫌じゃないさ」
「他でもない村長の頼みだものね〜」
「……それなら、ちゃちゃっと行くぞ。タルナに食料を頼んだが、誰が持ってる?」
「私だよ〜っ」
元気にカラウが手を上げ、その影から野菜や干し魚が山のように出てくる。
すこし多いなと思いながら移動して、影が食べ物と重なったら自分の影の中へと落としていく。
「っし、じゃあ出発しよう」
「もう行くのかい?」
窓を開けたところで、タルナに呼び止められる。
「休みに来たんじゃねぇんだ。寧ろ休み過ぎなんだよ。早めに行かせてもらうぜ」
「そうかい。じゃ、気を付けてね」
「あぁ、世話掛ける」
「気にするな。今更だ」
「だな……よし。行くぞ、いいか?」
カラウの連れてきた男女5人に確認を取ると、各々相槌や頷きを示した。
それを確認して、無色魔法を発動する。
「うおっ!? 浮いた!?」
「な、なに!?」
「時間短縮のために俺の無色魔法で飛んで行ってもらう。悪く思うなよ?」
「ヒッ!? うわぁあ――!?」
「キャァアアア!!」
「…………」
軽く悲鳴を上げながら窓から1人ずつ放出される。
その様子をタルナとカズラが細い目で見ていたが、俺はそんな2人に笑顔を向ける。
「じゃあな! また来るぜ!」
「あぁ、行ってらっしゃい」
「くれぐれも問題は起こすなよ」
「行ってらっしゃい村長〜!」
「あぁ、行ってくる!」
タルナ、カズラ、カラウの3人に見送られ、俺も窓から空に躍り出た。
先に外へ出した5人に並び、一気に晴天を飛翔する――。
俺たちがどうしていたのかをざっと話すと、どうにも不出来らしい俺の淹れたハーブティーをタルナは啜り、カップをテーブルに置く。
「子供ごと連れてこられることは珍しくなさそうだね。貴族の妾とかなら、その子供ごと邪魔者をここに排除すればいい。そうだろう?」
「……そーだな」
タルナのわかりやすい説明に、俺は頷いた。
貴族の妾で、子供までいたらその貴族の家庭は大騒ぎだ。
基本的に貴族の妻が妾を容認するなんて話は聞かないし、妾自体居るだけで白い目で見られる。
それでも妾の居る貴族は多いんだが、な……。
「まぁ、そのメリスタスって少年が生まれを知らないなら確かめようもないけどね。ともあれ、ここに居る子供というのは可哀想だね。キィを見てると、かなり捻くれてるじゃないか。僕は娘を持つにしても、あんな子には育って欲しくないね」
「……まぁ、キィはいいんだよ」
「ん? ああいうのが君の好みなのかい?」
「そういうのじゃねぇよ。というか、この話は切り上げてくれ」
「ん? うん、君がそう言うなら辞めようか」
なぜ嫌かも聞かれず、会話は一時中断される。
ありがたい配慮だ。
タルナにこの事を話して、何を言われるのかが正直いって怖いから。
「じゃあ次なんだけど、善幻種か。いやはや、動物が進化したとでもいうのか。多少興味が湧くね。実際に見てみたいよ、6本足」
「それでいて紳士的だからな。ある意味怖いぞ」
「ふむふむ……そもそも牛に知性があるという所から疑問だがね。まぁ俺は研究者でもないから調べないが、もし調べられたら何か得られるかもね。君の大陸統一なんて大層な理想のためには、ね」
そこでタルナは指先でカップを持ち、ハーブティーを啜った。
善幻種……いや、善意がなんか大陸統一に関係あると?
確かに、西大陸が酷いことになってるのは善意と悪意が平等という言葉のせいではあるが……。
「俺の目的とは関係ないだろ。調べて嫌がられるのもやだし、友達感覚で対応するさ」
「そうかい……ふむ、君は相変わらずなんだね。ちょっと旅に出て逞しくなると思ったが、中身はそのままの好青年か」
「はいはい、どうせ俺はまだガキですよーっ」
「……嫌味で言ったんじゃないんだがね」
「あん? 今なんて?」
「いや、なんでもないさ。それより、あっちの棚に茶菓子があるから取ってきてくれ」
「村長コキ使いやがって。わーったよもう……」
俺は立ち上がり、茶菓子を取りに棚を幾つか開けた。
見当たらない。
振り返ってどこにあるか聞こうときたが、タルナは顎肘着いてなにやら物思いに耽っていた。
考え事をするための口実に茶菓子と言っただけなのかもしれない。
まぁもう少し探してみるとしよう。
その後すぐに現れたカラウ達により、茶菓子探しは断念となった。
このタイミングも、もしかしたらみ計られてたのかもしれない。
カラウの連れて来た面子は俺を見るなり驚いたが、タルナが適当に説明すると納得し、すぐに慣れて普通に話してくれた。
その中には、カラウの父であり、代理村長の男もいた。
「なんでカズラも居るんだ?」
「娘が総務部で大人何人も連れてたら親として気にするだろ……というか何故ヤラランがいる?」
「諸用だ。内容は今から話す」
言って、俺はこの場にいる面子を見渡した。
タルナ、カラウ、カズラ、それに加えて3人の男と2人の女。
うん、5人もいれば十分だろう。
俺は旧エリト村でフォルシーナがどんな契約をしたかを全員に話した。
連れてこられた奴らは何をするのかわかったのか、安堵したりニヤリと笑ったりと各々反応を示した。
「お前達に頼みたいのはメリスタスの護衛だ。嫌な奴は今言ってくれ」
「嫌じゃないさ」
「他でもない村長の頼みだものね〜」
「……それなら、ちゃちゃっと行くぞ。タルナに食料を頼んだが、誰が持ってる?」
「私だよ〜っ」
元気にカラウが手を上げ、その影から野菜や干し魚が山のように出てくる。
すこし多いなと思いながら移動して、影が食べ物と重なったら自分の影の中へと落としていく。
「っし、じゃあ出発しよう」
「もう行くのかい?」
窓を開けたところで、タルナに呼び止められる。
「休みに来たんじゃねぇんだ。寧ろ休み過ぎなんだよ。早めに行かせてもらうぜ」
「そうかい。じゃ、気を付けてね」
「あぁ、世話掛ける」
「気にするな。今更だ」
「だな……よし。行くぞ、いいか?」
カラウの連れてきた男女5人に確認を取ると、各々相槌や頷きを示した。
それを確認して、無色魔法を発動する。
「うおっ!? 浮いた!?」
「な、なに!?」
「時間短縮のために俺の無色魔法で飛んで行ってもらう。悪く思うなよ?」
「ヒッ!? うわぁあ――!?」
「キャァアアア!!」
「…………」
軽く悲鳴を上げながら窓から1人ずつ放出される。
その様子をタルナとカズラが細い目で見ていたが、俺はそんな2人に笑顔を向ける。
「じゃあな! また来るぜ!」
「あぁ、行ってらっしゃい」
「くれぐれも問題は起こすなよ」
「行ってらっしゃい村長〜!」
「あぁ、行ってくる!」
タルナ、カズラ、カラウの3人に見送られ、俺も窓から空に躍り出た。
先に外へ出した5人に並び、一気に晴天を飛翔する――。
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