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連奏恋歌〜歌われぬ原初のバラード〜

川島晴斗

/29/:カララル

 赤服がある程度落ち着いたところで、俺は緑魔法を解いた。
 それから間も無く赤服が土下座したが、今になって漸く話をしてくれるまで精神が回復した。

「私、カララルっていいます。先程はたいっへん! 失礼しました!!」
「いや、土下座しなくていいから」

 何度も土下座するカララルという女の頭にチョップする。
 ヤバいな、さっきとギャップあり過ぎてどう接していいかわからん。
 俺と同じようにフォルシーナも苦笑していて、キィは平和そうに雑草をムシャムシャと食べている。
 俺たちは3人並んでテキトーに座っていて、カララルはいつでも土下座できる態勢を作り、フォルシーナの前に座っていた。

「というより、なんであんな様子に?」
「男に捨てられたんです……そしたらもう、なんか世界の人間全員殺そうかと思って……」

 フォルシーナの質問に、気まずそうに答えるカララル。
 男ねぇ……この大陸で、か……。

「とんだ災難だったな、そりゃ」
「ありがとうございます……しかし、そんな事で私はなんで人を傷付けてしまったんでしょう!? あぁぁああすみません! すみません!!」
「いえ、私達に謝られても……ねぇ?」

 頭を高速で土に叩きつける女を見て、俺はフォルシーナと顔を見合わせた。
 フォルシーナは「面倒臭いので任せましたよ」と言いたげな目をしている。
 コイツやっぱ従者じゃねぇ……。
 まぁ話してやるのは構わないので、俺は赤服に向き直る。

「まぁ俺たちはお前に怒ってないし、許しを乞う必要はねぇよ。お前に殺された奴は災難だろうが、錯乱状態だと善悪の判断が付けられねぇし、お前を咎めるとか、俺たちはそういう権利も持ってねぇ。だからまぁ、もう繰り返さないように気をつけるんなら良いんじゃねぇの?」
「え!いや、そういうわけにはいかないですよ! ごめんなさい! この星に生まれて申し訳ありませんでしたっ!」
「まぁそう謝るなよ。まぁ悪いと思う気持ちがあるなら罪を償うべく良い事をするんだな。罪なんて償ってたらキリが無いし、自分の思った分だけやればいい。それでいいんじゃないか?」
「…………」

 ガシッ!

「!?」
「あなたの言う通りです……私がすべきことは善い事のみ! あぁ! 私を導いた貴方と是非一緒に善行を行いたい!」
「え? あ? ……あ?」

 なんかまた抱き付かれていたたまれない気持ちになる。
 さっきはキィ、今度は赤服。
 なんだなんだ? 今日はハグだけしてればいいわけ?
 平和だし、悪いとは言わねぇけど……。

「うぉぉおおおおお!! 貴方に付いていきますぅうう!!」
「おいフォルシーナ、なんとかし――」
「正常に善悪は変わってるように思える。しかし、実際は元と比較しようがなく、実験の結果はわからない。だが当初の口調より柔らかいし、これは成功と言える? いや、まだ浅慮――」
「……キィ、コイツをなんとかしてくれ!」
「あん? 女と一緒で良かったじゃん?」
「…………」
「なんだよ、ヤララン。こっち見んなよ」

 キィがなんか不機嫌だ。
 体育座りして適当な雑草をブチ抜いてムシャムシャ食っている。
 目元がなんか黒いし、というか俺への当たりが強い。

「……なんか気にくわねぇことでもあったか?」
「どーだろーなー。お前にわかんねぇなら私にもわかんねぇよ」
「……はぁ?」

 なんだそれは。
 お前の感情なんてお前にしかわからんだろうが。

「……キィ、どうしたよ?」
「……別に。ただちょっとモヤモヤするだけだよ。お前はずっとその女と乳繰り合ってろ」
「……まぁ……じゃあ、深くは聞かねぇよ」

 そのうち機嫌も治るだろう。
 いや、待て。
 さっきから雑草食ってて大丈夫か?

「……お前なんで雑草食ってんの?」
「腹減ったし。大丈夫だよ、私は食えるやつしか食ってねぇからな」
「……はーん」

 そういえば、俺も腹が減った。
 早起きしたというのに魔力を使っただけで疲れたしな。
 朝飯でも食べたいところ。

「おーい、フォルシーナ」
「やはり信号回路を2689から3678に……はい、なんですか?」
「呪文呟いてねぇで料理の材料出しとけ。腹減りすぎてキィが草食ってるぞ」
「え!? あぁっ! キィちゃん! それマズマズ草じゃないですか! 私にもください!」
「えー、なんかこのマズさが癖で……」
「…………」

 料理はまだ出来そうにない。
 俺の物理的に硬い胸に頰を擦り付けるカララルも動いてくれそうにない。
 ……なんだ、俺の周りの女子は。

「……変人ばっかだな」

 言いつつ、自分も中々の変人だと思い至って類は友を呼ぶとはよく言ったものだと思ったのだった。

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