分解っ!

ノベルバユーザー194919

5-4

「…首都まで攻め込めたのはいいものの、って感じか?」
「そうですね」
正月の評議会で皇帝の強行進撃が決定し、雑魚を完全に無視しながら王都に向かったところ―――。
「もぬけの殻だな」
「最悪です。たぶん周辺国か砂漠に逃げられました…財宝は手付かづですが」
「ならいいってことにしないか?」
これ以上進軍しても砂の山に足を取られるだけなんじゃないのかと思うスカイ。
「無理です。支配に国民が納得しません。まぁその国民もほとんど居ませんが…」
「ついでに言うと周辺国からの進撃までとは思わなかった」
「まぁ…それはそうですけど…」
すっかり秘書官が馴染みつつあるフィナ。
「「…解体だな(ですね)」」
奇しくも同じ時間をかけて同じ結論が出たようだ。
「よーし!んじゃ兵どもを下がらせておいて」
「りょーかい」
暑さに肌が焼けそうなフィナはさっさと日照りから退散していった。


「…『分解』」
城や城壁には所謂「基礎の石」というそこさえ破壊してしまえば、全てを崩すことができる石だ。
そして、今スカイが崩したのもこの石だ。
…結論から言えば崩れないわけだが。
「まぁそりゃそうか…苔生えたりしてるもんな…」
建設から数十年から百年を超えている老城には一目見ただけで苔と砂で一杯なのだ。
建設当初は崩れるはずだったの物が支えられるくらいには。
「…『分解』!」
そして基礎の石付近の石も取り除く。
すると、ゴゴゴ…と音を立てて城が崩れ始める―――内側に向かって。
「おっ…よっ…ほっ!」
タンッと崩れる前の城壁から外に出ることで退避するスカイ。そして、王族を探すために軍を引き払った。

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