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分解っ!

ノベルバユーザー194919

4-6 訓練の日々Ⅲ

一週間、鷲杜によって鍛え直されたスカイ。
「ふーむ。強くなって戻ってきたか」
筋肉が引きしめられた体躯にグドラムは一瞬で気づく。
「ああ。あんたには一回くらい勝ってみたいからな」
その言葉を待っていたと言わんばかりに装備した手甲を撃ちつけるグドラム。
刀を構えるスカイ。
今日の訓練はちょっとした観衆つきだ。
「よし、開始の合図をだせ!」
いつの間にか審判を任された兵士。だが、特に文句を言うことなく手を上に上げる。
「はい。では…始めっ!」
兵士の手が下に下がる。
ドンッと土煙と同時にスカイの目の前に鉄の拳が迫る。
それを、スカイは上に飛ぶことで避ける。
避けられたことで体勢が崩れそうになるグドラム。
ズザァァァ…とグドラムが急停止する。
「いい…久しぶりに楽しいぞ!」
周りでは「あれ避けたのかよ…」「初見殺しで有名なんだぞ、あれ」
とざわついている。
未だ飛び続けているスカイに地を蹴って飛びかかるグドラム。
しかし、スカイを捕まえることなく―――腹に衝撃が走る。
「手ごたえは十分!」
グドラムを蹴った反動で落下速度を速くし、一瞬で地面に降り立つ。
腹を押さえ、着地するグドラム。
「ちっ…随分強くなってるじゃねぇか…鷲杜の奴、やりやがったな…」
一週間の間スカイが行ったのは本当に基礎だけだ。ただし全て五時間だが。
グドラムは「あいつの性格だ、どうせ面倒くさがって二時間ずつだろう…」と思っていた。
が、戦ってみればこの通り。五時間の修練を積んだのは確実である。
ちなみに鷲杜が最後まで五時間付き合ったのは、
娘の那奈がいつもより量が多めの弁当を持ってきたからである。
「ここが戦場だとして…かけられる時間は後20秒だ」
ついに刀を抜くスカイ。
「くくっ…やって見やがれ!」
地面を蹴るグドラム。
しかし、すでにスカイはその脇腹に刀の峰を叩きいれていた。
パキンッと刀が折れる。
腹の衝撃によってグドラムは地面に倒れる。
その身にまとった鎧には確かな罅が入っていた。
「峰側を使用すると刀が折れるか…耐久力を削る技に変わりはないと」
一発本番の峰側での縮地斬撃。スカイは確かに技を使いこなした。
鉄くず以下になった刀。
「分解」
とりあえずと言わんばかりに刀を粉々にする。
「ぐっ…久しぶりに内臓に来たぜ…」
周りでは騒ぎが起こっている。
「あのグドラム団長がやられた!?」「まじかよ…暴走虎とか言われてんだぞ!?」
騒ぎが収まらないまま、誰かが呼んだ治療師に指示され、団員達はグドラムを運んでいく。
「ふぅ…次から縮地は使えないな」
縮地を使った瞬間の動きをグドラムの瞳は捉えていた。
が、反応を許さない速度に体が置いて行かれたのだ。
次からは体が脳を介することなく反応してくるだろう。
そう思うスカイ。
「さて、今日の訓練はしゅうりょ―――」
「新人!俺に今の技を教えろ!」
「俺も」「おれもだぁ!」
「…じゃあ訓練場二十時間走ってきてからですね」
どうぞ今からでも、と手を外に向けるスカイ。
「「「…すまん、なんでもない!」」」
一斉に首を振る先輩兵士たち。
「そうですか。…フィナ、後は自由時間にする」
「え…あ、うん」
自由時間と言われても訓練以外フィナは特にすることが無いのだ。
「…外行くか」
「あ、ああ」
助け舟をだしたスカイだった。

軍施設の周りの町は昼の間、閑散としている。
だが、それでも休日の軍人のために喫茶店や宝石店は開いていた。
「…これだな」
喫茶店で久しぶりのゆっくりとした昼食の後、スカイとフィナは宝石店に来ていた。
「一番似合う。経験上言ってるから確実だ」
「そこで経験上とか言う当たりスカイが鈍感なのは分かった」
「は?何故俺がどんか―――」
「あーはいはいそれ買って。給料高いのスカイだし」
「それはもちろんだが、俺が鈍感?納得がいかないぞ」
「ふんっ」
そっぽを向くフィナ。
何故機嫌が悪くなったのか分からないスカイだが、
機嫌取りのために、店員からネックレスを貰いフィナにつける。
いつの間にかネックレスの宝石には魔法陣が刻まれていた。
「…あ、ありがと」
「ああ。で、この後はどうする?」
「じゃ、じゃあいっしょに夕飯とか…」
「ああ。そうするか」
「うんっ!」
腕を組んで歩く2人。
それまでの時間つぶしに、とさらに買い物をするフィナだった。


スカイとフィナが夕飯を良くある酒場で食べている頃。
「ここが…帝都…まずは鍛冶屋に弟子入り…」
帝都の門をくぐる少女。
夕日に照らされた彼女は、ガチャガチャと背中に背負った鍛冶道具とともに、
ふらふらと軍のある施設の方へと歩いて行った。
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メインストーリー:【死神】
『第一章【胎動】第七節:訓練の日々編』が完了しました。
『第一章【胎動】』が終章となります。
『第二章【戦場】第一節:召集編』が開始されました。
ウォーストーリー:【名もなき戦争】
『第?章【?】第?節:?編』が開始されました。
レギオンストーリー:【ハンボルト】
『第?章【戦争】第一節:出撃号令』が開始されました。

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