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分解っ!

ノベルバユーザー194919

Ⅱ-8

二十九階層。
本来ならば【死】そのものを体現化したような
おぞましい剣の達人のなれの果てがボス部屋に居るはずだったが―――
「…いない?」
「いないな」
何故か、ボスはいなかった。
周囲を調べつくしてみるものの、怪しい場所はなく、階段を下りて行った。
これにより二十九階層のボス分の経験値がスカイとフィナに入らない。
が、2人は特に気にした様子もなく三十階層へと―――。
「回避しろっ!」
階段を降り切った瞬間、スカイの掛け声とともに二手に分かれる。
「あれ…今のでどっちかは殺せると思ったんだけどなぁはははははは!」
精神病患者とも思える甲高い笑い声が部屋に響く。
三十階層に到達した瞬間襲いかかってきたソレ。
人間に近い何か。
【魔人間】
魔物との融合(魔物へと変化したのではなく、かけ合わさった)を果たした亜種人間の一種。
身体能力や戦闘センスが桁違いである代わりに、ほとんどの人間は理性がないことが多い。
融合した魔物の数、質によって強化されていく魔人間の強さは予測不能。
人間の血肉を好む者が多く、人間の知識、経験を得ることを最優先事項としている。
「まぁいいや…ここまで来た人なんて初めてだからぁ!」
三十階層の魔人間は二十九階層にいた剣の達人を捕食していた。
結果、達人の経験や知識からその動きはかなりのものだ。
狙ったのはスカイ。
剣が振り下ろされる…が弓で弾き返す。
スカイが精霊の我がままのために編み出した我流だ。
さすがに剣の達人も弓で剣を弾き返される経験などしていない。
魔人間はヨロッと足をからませる。
が、弓の宿命というべきだろう。その隙を突いて攻撃することはできないのだ。
スカイは腹いせと言わんばかりに魔人間の足を強打して転ばせる。
「フィナ、刺せ!」
近くまで寄ってきて魔人間の頭を刺すフィナ。
だが、強化された魔人間の骨は固く、致命傷とはならなかった。
感触の異変に気付くと同時に飛び退くフィナ。
魔人間はスカイの足をつかもうとして―――鳩尾に衝撃が走る。
ドンッという音と共に部屋の天井に叩きつけられる魔人間。
頑丈な骨格が完全に折れていることを感じる。
「あんた…人間じゃねぇぇぇ!!!」
天井から落下すると同時にスカイへと突進する魔人間。
だが…天井に叩きつけられた時点で勝負は決していた。
姿隠しの魔法を付与した矢が魔人間の脳を貫く。
頭蓋骨は衝撃で砕け散り、脳内はかき混ぜられる。
矢が消えると同時に突き刺さった後の穴から血と脳漿が流れ出る。
ドサッと地面に崩れ落ちる魔人間。
『王都平原ノ迷宮を攻略。
スカイのLvが上昇。フィナのLvが上昇。スカイ:Ⅴ フィナ:Ⅲ
固有魔法枠が増加しました。固有種族への変更が可能です。人間から魔人間になりますか?』
少し考えるも、人を食べる趣味はないので要らないと思うスカイ。
『固有種族への変更が拒否されました。固有魔法【影弓】を習得可能です』
弓関係ならいいか、と思ったスカイ。
『固有魔法【影弓】を習得しました。【魔人間】ファフシーファーの経験値を吸収しました。
固有体質【経験値up】がⅢからⅣにレベルアップしました。
固有体質【魔眼】は変化しませんでした
固有魔法【分解】はⅢからⅣにレベルアップしました』
ん?フィナの情報が表示されない?
『隷属状態のフィナはレベルアップに伴い、固有体質【エルフの隠れ蓑】が発現。
これによりステータス変更情報は表示されません』
へー…と、特に気にすることもないスカイ。
だが、フィナは顔をうつ向けながらプルプルと体を震わせている。
『フィナは称号【スカイハーレムメンバー】を獲得しました』
その1行を見たとたん―――フィナは怒っていた。
「この…浮気ものー!!!」
グーパンである。
「ええ…」
とわけがわからないスカイ。
「私は女の1人なのか?主人、一体何人を抱いたのだ―!!!」
ガクガクと肩をゆすぶるフィナ。
「お、おいやめ…気持ち悪くなるっ!」
息を切らしながら肩から手を離すフィナ。フーッと目が未だに闘争本能むき出しである。
「で…主人は何人抱いた…?」
「え、えと…うーんと」
指を折り始めるスカイ。
数え切れないほどいるのか…とフィナはぶち切れた。
「許さない…許さないぞ主人!包丁で背中刺す!」
「どわっ」
槍をスカイに向けてくるフィナ。
「ま、まて、それは俺が冒険者の時のっ!」
「どっちにしろ事実だろ主人!早くっ!認めろっ!」
「いや、そりゃそうだけどさ!」
「くっ…んにゃろうめぇ!」
「やめろっ!こらっ!」
グッと動きを止めるために抱きつくスカイ。
カァッと顔を赤くして槍を降ろすフィナ。
「ずるい…」
そう言って力を抜いたフィナ。
雰囲気を読んだかのように迷宮は2人を飛ばした。

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