満月の美しい夜に…
私の部屋は、本と縫いぐるみと、パワーストーンに囲まれて手がつけられない状況です。
リムジンが、ゆっくりと門の正面玄関にたどり着いた。
扉が開かれ現れたのは、妖精王の格好をした、光来承彦が、すっと手をさしのべ、現れたのは優雅な微笑みと、神々しいばかりの美しさを周囲に振り撒く女王……。
微笑むのは、手をさしのべた承彦だけではなく、車内の、
「さぁ、いらっしゃい」
その声に、娘らしき美女が、少年に手をとられ姿を見せる。
その後を追うように、長身の青年が、妖精の女の子を抱いて現れる。
「やにゃの~!!ねんねしゅゆ!!」
「はいはい。琉璃はいい子だよ。だから、もうちょっと寝てていいから、泣かないの」
「ふわぁぁん……」
泣きじゃくる琉璃をあやしつつ、
「伯父上。琉璃を休ませられませんか?」
「あぁ、私たちの休憩所のVIPルームがある。まだ、皆集まっていない。だからそこにいこう」
瑠璃をエスコートしつつ、元直が案内するV.I.P.ルームに向かう。
「はい。疲れちゃったね?少し、ねんねしよう」
ソファに、クッションを直し、琉璃を寝かしつける。
昨日からとてもとても嬉しすぎて眠れなかったらしく、すぐにすやすやと眠り始める。
そしてVIPルーム専属のアシスタントたちが、入れ替わり立ち替わり入ってきては、お茶にお菓子、ジュースに山のような縫いぐるみを運んでくる。
「お…お父様?琉璃に与えすぎは駄目ですよと言ったでしょう?」
月英がたしなめるが、その横で、
「きゃぁぁ!!こ、この縫いぐるみは、10体限定の……しかも、2番って……あぁぁ!!それに、この縫いぐるみも、限定品で……欲しかったけれど……あぁ…あ、あの、あの、承彦さま!!あの子達……さ、さ、触っても……」
プルプルと……しかも涙目で訴える瑠璃に、承彦はクスクス笑う。
「あぁ、瑠璃どのは昔から縫いぐるみが大好きだったからねぇ……。琉璃だけでなく、瑠璃どのの分だね。琉璃には、これがどれでも解らないけれど、瑠璃どのは解るだろうし……欲しいものは全て差し上げるよ。瑠璃どの」
「え、ええ……!?そ、そんな!?」
「今日のイベントのお礼代わりに、貰ってくれまいか?その方が、嬉しいだろう。この子達も」
ふふふっと微笑む。
「でも、親子で取り合い……にはならないといいが……喧嘩しても、仲直りで、一緒に遊んであげてくれると嬉しい」
「はい!!喧嘩はしませんわ。でも……」
ぎゅっと抱き締めたのは、二つの縫いぐるみ。
「この子達だけは……どうしても……妖精王陛下……どうかお願いしますわ……」
上目遣いで訴える姿に、承彦だけでなく月英、元直、均まで魂を飛ばしそうになる。
普段の、怜悧で大人の美貌の持ち主の、色香漂う可愛らしいおねだりに……。
「か、構わぬよ。琉璃には琉璃に選ばせよう。では、少しゆっくりとしよう……。女王陛下は、如何される?」
からかうような口調に、少し頬を膨らませつつ、
「酷いですわ。わ、私は、この子達と遊びます」
「あぁ、そうだ……女王陛下。ご機嫌を損ねませんよう……そこに、素敵なものがあるのだが…受け取ってくれまいか?」
今日は元直も客の一人のため、別の秘書を付けていた承彦は、彼に持ってこさせた箱を手渡す。
「な……んでしょう?」
「開けてみてくれないかな?」
瑠璃は蓋をそっと開け、絶句する。
「な、何ですか?これは……」
「瑠璃……よりも、透明度の高いサファイアではなくブルーダイアモンドの一式……。これは、差し上げられないが、これを身につけて欲しいのだが……」
瑠璃は首を振る。
「む、無理ですわ!!だ、だって……普通のダイアモンドですら、これだけの大きさだと、充分数千万しますもの……それなのに、もっと希少価値の高い、ブルーダイアモンドの……」
「これは、宣伝に使おうと思っておる。琉璃の髪飾りを見たかな?」
「え、えぇ……小さなダイアが、ちりばめられて……」
「貴方の石を加工する際に出た屑石を、軽く磨いて用いている……親子石なのだよ。月英が言っただろう?親子家族をモチーフにしたブランドだと」
承彦は微笑む。
「私は、長い間仕事一筋で……長い間、月英とも、向き合おうとしなかった。互いは互い……そう信じていた。それを変えてくれたのは、亮や均、元直であり……娘になってくれた琉璃。ようやく、向き合い話をしながら……息子の成長を喜びつつ、その間にどうして自分は向き合わなかったんだと悔やむようになっていた……」
「……」
「瑠璃どの?今日は……琉璃の為に、どうかお願いする……娘が、喜ぶ姿……見せてくれないだろうか?」
瑠璃は、暫し悩むが、頷く。
「解りましたわ!!私もプロのモデルであり、そして琉璃の母として今日一日やりとげて見せますわ」
「ありがとう……瑠璃どの」
しばらく休みをとった琉璃は、ウニウニといいながら、目を覚ます。
「おとうしゃま!!おかあしゃま!!」
「ここにいるよ。琉璃?お母様が、縫いぐるみに紛れて、遊んでいるよ。琉璃も、可愛い子を見においで」
ソファを転げ落ちかけ、慌てて亮に抱えられたまま近づく。
「わぁぁ!!うしゃぎしゃん!!ぴよぴよちゃんもいる!!おかあしゃま!!琉璃も!!」
「良いわよ~。でもね、この子達だけはお母様にちょうだい!!お母様、欲しくて欲しくて探していたの!!」
「うん!!でも、琉璃も一緒に遊んでいい?意地悪しないから」
小首をかしげる娘に、瑠璃も微笑み、
「えぇ。お母様と一杯遊びましょうね」
「わーい!!おかあしゃまだいしゅき!!」
「お母様も大好きよ!!琉璃」
きゃきゃっとはしゃぐ親子を幸せそうに見つめる5人……と、扉がノックされ、
「会長。諸岡さまのご兄弟がお越しです」
「あぁ、こちらに。それと飲み物を。琉璃は喉が乾いているだろうし、お客様の分も……そして……」
「存じております。新しいカップとお菓子もお持ちいたしましょう」
下がっていくのと入れ違いに、小柄で細身の青年、瓜二つのキリッとした女性に、均よりも年下の少女と、その母親らしき女性が入ってくる。
「遅くなりまして、申し訳ありません。紅瑩と晶瑩が、変な方向に……」
「何言ってるの!!兄上が、人混みにもみくちゃにされて流れていくのを拾ったじゃない!!」
「そうよそうよ!!私と姉さまに感謝しなさいよ!!」
「いえ、お姉さまたち……変なところに行きかかってたし……柱に向かって投げるのはあんまりじゃ……」
口を挟もうとした少女に、
「何を言うの!!珠樹!!私が投げ飛ばして……」
「柱にぶつかる直前で私が蹴り飛ばしたらいいのよ!!」
その言葉に、琉璃は怯え……亮が大丈夫と言いたげに抱き締めると、
「兄上、姉上方に珠樹……そして母上。お久しぶりです。お元気でいらっしゃいましたか?」
微笑む亮を見つけ、微笑むのは父の後妻であり、育ての親である瑤樹。
「お久しぶりね。亮さん!!会いたかったわ!!」
「はい、私もです」
亮はリラックスした表情であるが、母親に、
「亮さんは、好きな人が出来たの?お母さんは、あなたが選んだ人なら誰だって反対しませんからね!!」
「えっ!?何ですか?それは」
いつのまにか、琉璃を膝に乗せて、ままごと遊びをしているお母さん役の琉璃に、クッキーを食べさせてもらっていた亮は、キョトンとする。
「あら、違うの?そのお嬢さん彼女じゃないの?」
「違います!!琉璃は、会長のご令嬢ですよ?りゅう……モゴモゴ……」
クッキーを押し込まれて、必死に口を動かす亮に、承彦は、
「どうぞ、こちらに。珠樹さんも縫いぐるみは、好きかな?」
縫いぐるみの山を少し羨ましそうに見ていた珠樹は、頬を染めて、
「は、はい。大好きです」
「では、お好きなものをいくらでも持って帰っても構わぬよ」
「えぇ!?良いのですか!!」
目を見開く。
珠樹も縫いぐるみの収集マニアで限定ものを必死に手を回し、得ようと思っているのだが……目の前には垂涎の品々が……。
「こりぇは、めーっ。こりぇは琉璃の!!」
ぎゅーっと抱き締める。
「えっと……」
「珠樹。瑠璃さまは、ウサギの縫いぐるみの収集家。琉璃は熊さんが気に入ったんだよね?」
「うん!!」
「だから、ほら、昔、珠樹の欲しがっていた、動物園シリーズの縫いぐるみを選べばいいんじゃないかな?」
その言葉に、周囲を見回すと、
「あ、ああ……私の探していた……しかも、50体ずつしか作っていなくて、その二番目……あぁぁぁ!!おじさま!!下さい!!大事にします!!」
「構わぬよ。大事に出来る人間こそ、もってもらえて幸せだろう」
縫いぐるみのわけあいこを見つつ、亮たちの長兄の瑾瑜が、
「あの女の子は?それに…あの方って……モデルの『貂蝉』さんじゃないですか!!」
「ん?あぁ、琉璃は私の娘。年は8才。瑠璃どのは、私の友人であり、琉璃のお母さん代わりなんだよ。本当は本当に、私がもう少し若ければ……プロポーズしたのに……」
「会長の冗談は、洒落になりませんからやめませんか?」
元直はたしなめると、あはははと楽しげに笑う。
家族が集まったかのような時間が漂う……。
扉が開かれ現れたのは、妖精王の格好をした、光来承彦が、すっと手をさしのべ、現れたのは優雅な微笑みと、神々しいばかりの美しさを周囲に振り撒く女王……。
微笑むのは、手をさしのべた承彦だけではなく、車内の、
「さぁ、いらっしゃい」
その声に、娘らしき美女が、少年に手をとられ姿を見せる。
その後を追うように、長身の青年が、妖精の女の子を抱いて現れる。
「やにゃの~!!ねんねしゅゆ!!」
「はいはい。琉璃はいい子だよ。だから、もうちょっと寝てていいから、泣かないの」
「ふわぁぁん……」
泣きじゃくる琉璃をあやしつつ、
「伯父上。琉璃を休ませられませんか?」
「あぁ、私たちの休憩所のVIPルームがある。まだ、皆集まっていない。だからそこにいこう」
瑠璃をエスコートしつつ、元直が案内するV.I.P.ルームに向かう。
「はい。疲れちゃったね?少し、ねんねしよう」
ソファに、クッションを直し、琉璃を寝かしつける。
昨日からとてもとても嬉しすぎて眠れなかったらしく、すぐにすやすやと眠り始める。
そしてVIPルーム専属のアシスタントたちが、入れ替わり立ち替わり入ってきては、お茶にお菓子、ジュースに山のような縫いぐるみを運んでくる。
「お…お父様?琉璃に与えすぎは駄目ですよと言ったでしょう?」
月英がたしなめるが、その横で、
「きゃぁぁ!!こ、この縫いぐるみは、10体限定の……しかも、2番って……あぁぁ!!それに、この縫いぐるみも、限定品で……欲しかったけれど……あぁ…あ、あの、あの、承彦さま!!あの子達……さ、さ、触っても……」
プルプルと……しかも涙目で訴える瑠璃に、承彦はクスクス笑う。
「あぁ、瑠璃どのは昔から縫いぐるみが大好きだったからねぇ……。琉璃だけでなく、瑠璃どのの分だね。琉璃には、これがどれでも解らないけれど、瑠璃どのは解るだろうし……欲しいものは全て差し上げるよ。瑠璃どの」
「え、ええ……!?そ、そんな!?」
「今日のイベントのお礼代わりに、貰ってくれまいか?その方が、嬉しいだろう。この子達も」
ふふふっと微笑む。
「でも、親子で取り合い……にはならないといいが……喧嘩しても、仲直りで、一緒に遊んであげてくれると嬉しい」
「はい!!喧嘩はしませんわ。でも……」
ぎゅっと抱き締めたのは、二つの縫いぐるみ。
「この子達だけは……どうしても……妖精王陛下……どうかお願いしますわ……」
上目遣いで訴える姿に、承彦だけでなく月英、元直、均まで魂を飛ばしそうになる。
普段の、怜悧で大人の美貌の持ち主の、色香漂う可愛らしいおねだりに……。
「か、構わぬよ。琉璃には琉璃に選ばせよう。では、少しゆっくりとしよう……。女王陛下は、如何される?」
からかうような口調に、少し頬を膨らませつつ、
「酷いですわ。わ、私は、この子達と遊びます」
「あぁ、そうだ……女王陛下。ご機嫌を損ねませんよう……そこに、素敵なものがあるのだが…受け取ってくれまいか?」
今日は元直も客の一人のため、別の秘書を付けていた承彦は、彼に持ってこさせた箱を手渡す。
「な……んでしょう?」
「開けてみてくれないかな?」
瑠璃は蓋をそっと開け、絶句する。
「な、何ですか?これは……」
「瑠璃……よりも、透明度の高いサファイアではなくブルーダイアモンドの一式……。これは、差し上げられないが、これを身につけて欲しいのだが……」
瑠璃は首を振る。
「む、無理ですわ!!だ、だって……普通のダイアモンドですら、これだけの大きさだと、充分数千万しますもの……それなのに、もっと希少価値の高い、ブルーダイアモンドの……」
「これは、宣伝に使おうと思っておる。琉璃の髪飾りを見たかな?」
「え、えぇ……小さなダイアが、ちりばめられて……」
「貴方の石を加工する際に出た屑石を、軽く磨いて用いている……親子石なのだよ。月英が言っただろう?親子家族をモチーフにしたブランドだと」
承彦は微笑む。
「私は、長い間仕事一筋で……長い間、月英とも、向き合おうとしなかった。互いは互い……そう信じていた。それを変えてくれたのは、亮や均、元直であり……娘になってくれた琉璃。ようやく、向き合い話をしながら……息子の成長を喜びつつ、その間にどうして自分は向き合わなかったんだと悔やむようになっていた……」
「……」
「瑠璃どの?今日は……琉璃の為に、どうかお願いする……娘が、喜ぶ姿……見せてくれないだろうか?」
瑠璃は、暫し悩むが、頷く。
「解りましたわ!!私もプロのモデルであり、そして琉璃の母として今日一日やりとげて見せますわ」
「ありがとう……瑠璃どの」
しばらく休みをとった琉璃は、ウニウニといいながら、目を覚ます。
「おとうしゃま!!おかあしゃま!!」
「ここにいるよ。琉璃?お母様が、縫いぐるみに紛れて、遊んでいるよ。琉璃も、可愛い子を見においで」
ソファを転げ落ちかけ、慌てて亮に抱えられたまま近づく。
「わぁぁ!!うしゃぎしゃん!!ぴよぴよちゃんもいる!!おかあしゃま!!琉璃も!!」
「良いわよ~。でもね、この子達だけはお母様にちょうだい!!お母様、欲しくて欲しくて探していたの!!」
「うん!!でも、琉璃も一緒に遊んでいい?意地悪しないから」
小首をかしげる娘に、瑠璃も微笑み、
「えぇ。お母様と一杯遊びましょうね」
「わーい!!おかあしゃまだいしゅき!!」
「お母様も大好きよ!!琉璃」
きゃきゃっとはしゃぐ親子を幸せそうに見つめる5人……と、扉がノックされ、
「会長。諸岡さまのご兄弟がお越しです」
「あぁ、こちらに。それと飲み物を。琉璃は喉が乾いているだろうし、お客様の分も……そして……」
「存じております。新しいカップとお菓子もお持ちいたしましょう」
下がっていくのと入れ違いに、小柄で細身の青年、瓜二つのキリッとした女性に、均よりも年下の少女と、その母親らしき女性が入ってくる。
「遅くなりまして、申し訳ありません。紅瑩と晶瑩が、変な方向に……」
「何言ってるの!!兄上が、人混みにもみくちゃにされて流れていくのを拾ったじゃない!!」
「そうよそうよ!!私と姉さまに感謝しなさいよ!!」
「いえ、お姉さまたち……変なところに行きかかってたし……柱に向かって投げるのはあんまりじゃ……」
口を挟もうとした少女に、
「何を言うの!!珠樹!!私が投げ飛ばして……」
「柱にぶつかる直前で私が蹴り飛ばしたらいいのよ!!」
その言葉に、琉璃は怯え……亮が大丈夫と言いたげに抱き締めると、
「兄上、姉上方に珠樹……そして母上。お久しぶりです。お元気でいらっしゃいましたか?」
微笑む亮を見つけ、微笑むのは父の後妻であり、育ての親である瑤樹。
「お久しぶりね。亮さん!!会いたかったわ!!」
「はい、私もです」
亮はリラックスした表情であるが、母親に、
「亮さんは、好きな人が出来たの?お母さんは、あなたが選んだ人なら誰だって反対しませんからね!!」
「えっ!?何ですか?それは」
いつのまにか、琉璃を膝に乗せて、ままごと遊びをしているお母さん役の琉璃に、クッキーを食べさせてもらっていた亮は、キョトンとする。
「あら、違うの?そのお嬢さん彼女じゃないの?」
「違います!!琉璃は、会長のご令嬢ですよ?りゅう……モゴモゴ……」
クッキーを押し込まれて、必死に口を動かす亮に、承彦は、
「どうぞ、こちらに。珠樹さんも縫いぐるみは、好きかな?」
縫いぐるみの山を少し羨ましそうに見ていた珠樹は、頬を染めて、
「は、はい。大好きです」
「では、お好きなものをいくらでも持って帰っても構わぬよ」
「えぇ!?良いのですか!!」
目を見開く。
珠樹も縫いぐるみの収集マニアで限定ものを必死に手を回し、得ようと思っているのだが……目の前には垂涎の品々が……。
「こりぇは、めーっ。こりぇは琉璃の!!」
ぎゅーっと抱き締める。
「えっと……」
「珠樹。瑠璃さまは、ウサギの縫いぐるみの収集家。琉璃は熊さんが気に入ったんだよね?」
「うん!!」
「だから、ほら、昔、珠樹の欲しがっていた、動物園シリーズの縫いぐるみを選べばいいんじゃないかな?」
その言葉に、周囲を見回すと、
「あ、ああ……私の探していた……しかも、50体ずつしか作っていなくて、その二番目……あぁぁぁ!!おじさま!!下さい!!大事にします!!」
「構わぬよ。大事に出来る人間こそ、もってもらえて幸せだろう」
縫いぐるみのわけあいこを見つつ、亮たちの長兄の瑾瑜が、
「あの女の子は?それに…あの方って……モデルの『貂蝉』さんじゃないですか!!」
「ん?あぁ、琉璃は私の娘。年は8才。瑠璃どのは、私の友人であり、琉璃のお母さん代わりなんだよ。本当は本当に、私がもう少し若ければ……プロポーズしたのに……」
「会長の冗談は、洒落になりませんからやめませんか?」
元直はたしなめると、あはははと楽しげに笑う。
家族が集まったかのような時間が漂う……。
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