異世界転移~俺は人生を異世界、この世界でやり直す~
カルロスの欠片②
――――気付けば十七になっていた。あれ以来卒業に興味は無い。最強であることに卒業なんざ必要ねぇからな。
これまで何十人も俺に決闘を挑んできやがったが全て退けている。どいつもこいつも口だけの雑魚ばかりだ。
群れを成す小魚は少し衝撃を与えればすぐに散っていく。大きな魚に一度干渉されれば去っていく。気付けば挑む奴は一人もいなくなった。本当に雑魚だ。
だがそんな小魚の中には大物の魚に取り入って自分を守ろうとする輩もいる。強者の腹に貼りつき自らの盾と成すわけだ。
気付けば俺の周りにはそんな小魚が取り巻いていた。無論、目障りだ。だがその代わり、そいつらは俺が最強だと暗に示す道具となる。だから傍には置いておく。
ここ一年では学院内でマルテル一派だどうだとかいう声がよく聞こえる。が、最強であれば俺は何でもいい。さしたる興味はねぇ。ただ、そんなつながりが形成してるとみなされているのなら、それは一つの組織なんだろう。生徒曰く『学院の最高機関』、その上に立つ事は自ずと最強を意味する。だったらそんな組織もあっていいんじゃねぇのかなとは思う。
「あ? なんだガキがこんなところに。な、何年だよ?」
「六年です」
ふと前方に、曰く『マルテル一派』のパシリ、カーターが誰かと話しているのを見かけた。ったく、遅いから来てみりゃ何やらかしてんだ。
「生憎僕は七年なんだ……誰に向かって口をきいてるんだ?」
「だから先輩、って言ってるじゃないですか」
相手は……誰だあのチビ。見ねぇツラだな。いかにも生意気そうだ。だが今時珍しい奴もいるもんだ。マルテル一派に喧嘩を売る奴なんざ最近一切見ねぇからな。でも確か六年って言ったか、見たとこと十二……いや十三か? まぁどちらにせよまぁまぁできるみてぇだな。ちょっと人より優れてるからっていきってる野郎か。
「先輩にそんな口を利いてもいいと思ってるのか!」
声を張り上げたカーターは無様にも拳を振り上げだした。
ったく、あいつは馬鹿か。学院内は加護によって痛覚の遮断、外的損傷の無効化があるってぇのに。あれじゃあただの間抜けだ。それに一応一派の頭になってる以上、部下の間抜けな行為は俺の最強の名にも傷がつく。
「やめねぇか!」
「ボ、ボス!?」
ちょっと怒鳴っただけで無様に声を裏返しやがって。
「遅いから様子を見に来れば……一つ学年が下のしかもこんなチビの相手に殴りかかるとは俺の顔に泥を塗るつもりか?」
「ひぃ、すみません……そんなつもりじゃ……た、ただあまりにもこいつらが生意気だったもんでして」
一応こんなもんでいいだろう。これで俺は最強のままこの学院に君臨できる。つーかこいつビビりすぎだろ。鬱陶しい。
ふとカーターと争っていたガキの方を見る。
やっぱほんとにガキだな……。そういや誰かが言ってたな。紺色の炎を操る編入生が入ってきたって。まさかこいつか? 編入生は六年になっただどうかとも言ってたし、たぶんそうなんだろう。……紺色か。俺自身雷属性だからどんなもんかは知らねぇが、紺色ってのはかなり凄いらしいな。確かに俺も今まで紺色なんざ見た事ねぇ。ちょいと試してみるか?
「まぁいい、このガキ共が無礼をしたっていうなら、この学院らしく決闘で決着つければいいだろ?」
丁度良い機会だ。紺色のお手並み、拝見させてもらおうか。それとも逃げるか? それならそまでで構わないんだぜ?
ガキはしばらく考えるそぶりを見せると、やがて頷いた。
「いいでしょう、でも決闘って具体的にどうすればいいんですかね? 名前とか大まかな事は知ってるんですけど」
そう言うので説明してやった後、武道場に向かう。見た感じ本当に何も知らなさそうだった。編入生で間違いないだろう。
ただ、決闘を受け入れる辺り腕にも自信があるらしい。カーターで手に負えるか相手か若干疑問だが、まぁいい。負ければ代わりに俺が責任もって叩き潰してやる。最強は俺だってことも分からせねぇといけないしな。
「ボス、僕が勝って奴を下僕にしてやりますよ」
武道場に向かう途中、カーターの野郎がそんな事をほざいたが、何の興味も無かった。
……にしても俺は結局何がしたいんだかな。
♢ ♢ ♢
「さてと、そこのチビの要求は? こっちはお前を下僕にしたいようだぜ?」
自分で言ってて白々しい気分になる。同時に妙な苛立ちを覚える。
しばらく向こうの方で何か話し合いが始まると、三つ編みの眼鏡をかけたガキがこちらに歩み寄ってきた。
「悪いですがこの決闘は受けません。お引き取り下さってけっこうなので」
「に、逃げるのか!?」
カーターが安い煽りを振る。
「逃げる? 何を言ってるんですか先輩は。こっちは低能なあなた方に付き合っている暇は無いと言ってるんです」
低能? チッ、気に食わねぇ。俺は最強だって言ってんだろ。
今すぐ八つ裂きにしてやろうか、猛烈な憤怒に駆られる。
「ど、どこまでも生意気なガキめ!」
三つ編みのガキの言葉にまたしてもカーターは拳を振り上げる。クソが、学習しねぇ野郎だ。
「よせと言っただろ? 女の言うとおりだ。こっちとしてもガキ相手にマジになったなんて言われたらたまったもんじゃねぇからな。おい行くぜ、てめぇもガキにいちいち突っかかってんじゃねぇよ」
荒れ狂い混沌とする内心とは裏腹に、自然と静かに言葉が出てきた。武道場を後にすることにする。
しばらくガキ共を睨み付けていたカーターだったが、やがて諦めたのか俺の隣へと並んできた。
「ボ、ボス……なんでまた」
「うっせぇな雑魚が……それ以上喋ったらぶち殺すぞ?」
「ボ、ボス?」
ああ気に食わねぇ……あの女子供も紺色のガキも。俺が低能だ? どの口が言いやがるッ! ふざけやがって……どいつもこいつも雑魚ばっかだ。俺以外全員雑魚なんだよッ!
「俺こそが最強だッ!!」
「ひ、ひぃ……」
気付けばカーターの頭上を俺の拳が横切り、壁を殴っていた。加護があるにも関わらず己の握った手は痛みを帯びていた気がした。
これまで何十人も俺に決闘を挑んできやがったが全て退けている。どいつもこいつも口だけの雑魚ばかりだ。
群れを成す小魚は少し衝撃を与えればすぐに散っていく。大きな魚に一度干渉されれば去っていく。気付けば挑む奴は一人もいなくなった。本当に雑魚だ。
だがそんな小魚の中には大物の魚に取り入って自分を守ろうとする輩もいる。強者の腹に貼りつき自らの盾と成すわけだ。
気付けば俺の周りにはそんな小魚が取り巻いていた。無論、目障りだ。だがその代わり、そいつらは俺が最強だと暗に示す道具となる。だから傍には置いておく。
ここ一年では学院内でマルテル一派だどうだとかいう声がよく聞こえる。が、最強であれば俺は何でもいい。さしたる興味はねぇ。ただ、そんなつながりが形成してるとみなされているのなら、それは一つの組織なんだろう。生徒曰く『学院の最高機関』、その上に立つ事は自ずと最強を意味する。だったらそんな組織もあっていいんじゃねぇのかなとは思う。
「あ? なんだガキがこんなところに。な、何年だよ?」
「六年です」
ふと前方に、曰く『マルテル一派』のパシリ、カーターが誰かと話しているのを見かけた。ったく、遅いから来てみりゃ何やらかしてんだ。
「生憎僕は七年なんだ……誰に向かって口をきいてるんだ?」
「だから先輩、って言ってるじゃないですか」
相手は……誰だあのチビ。見ねぇツラだな。いかにも生意気そうだ。だが今時珍しい奴もいるもんだ。マルテル一派に喧嘩を売る奴なんざ最近一切見ねぇからな。でも確か六年って言ったか、見たとこと十二……いや十三か? まぁどちらにせよまぁまぁできるみてぇだな。ちょっと人より優れてるからっていきってる野郎か。
「先輩にそんな口を利いてもいいと思ってるのか!」
声を張り上げたカーターは無様にも拳を振り上げだした。
ったく、あいつは馬鹿か。学院内は加護によって痛覚の遮断、外的損傷の無効化があるってぇのに。あれじゃあただの間抜けだ。それに一応一派の頭になってる以上、部下の間抜けな行為は俺の最強の名にも傷がつく。
「やめねぇか!」
「ボ、ボス!?」
ちょっと怒鳴っただけで無様に声を裏返しやがって。
「遅いから様子を見に来れば……一つ学年が下のしかもこんなチビの相手に殴りかかるとは俺の顔に泥を塗るつもりか?」
「ひぃ、すみません……そんなつもりじゃ……た、ただあまりにもこいつらが生意気だったもんでして」
一応こんなもんでいいだろう。これで俺は最強のままこの学院に君臨できる。つーかこいつビビりすぎだろ。鬱陶しい。
ふとカーターと争っていたガキの方を見る。
やっぱほんとにガキだな……。そういや誰かが言ってたな。紺色の炎を操る編入生が入ってきたって。まさかこいつか? 編入生は六年になっただどうかとも言ってたし、たぶんそうなんだろう。……紺色か。俺自身雷属性だからどんなもんかは知らねぇが、紺色ってのはかなり凄いらしいな。確かに俺も今まで紺色なんざ見た事ねぇ。ちょいと試してみるか?
「まぁいい、このガキ共が無礼をしたっていうなら、この学院らしく決闘で決着つければいいだろ?」
丁度良い機会だ。紺色のお手並み、拝見させてもらおうか。それとも逃げるか? それならそまでで構わないんだぜ?
ガキはしばらく考えるそぶりを見せると、やがて頷いた。
「いいでしょう、でも決闘って具体的にどうすればいいんですかね? 名前とか大まかな事は知ってるんですけど」
そう言うので説明してやった後、武道場に向かう。見た感じ本当に何も知らなさそうだった。編入生で間違いないだろう。
ただ、決闘を受け入れる辺り腕にも自信があるらしい。カーターで手に負えるか相手か若干疑問だが、まぁいい。負ければ代わりに俺が責任もって叩き潰してやる。最強は俺だってことも分からせねぇといけないしな。
「ボス、僕が勝って奴を下僕にしてやりますよ」
武道場に向かう途中、カーターの野郎がそんな事をほざいたが、何の興味も無かった。
……にしても俺は結局何がしたいんだかな。
♢ ♢ ♢
「さてと、そこのチビの要求は? こっちはお前を下僕にしたいようだぜ?」
自分で言ってて白々しい気分になる。同時に妙な苛立ちを覚える。
しばらく向こうの方で何か話し合いが始まると、三つ編みの眼鏡をかけたガキがこちらに歩み寄ってきた。
「悪いですがこの決闘は受けません。お引き取り下さってけっこうなので」
「に、逃げるのか!?」
カーターが安い煽りを振る。
「逃げる? 何を言ってるんですか先輩は。こっちは低能なあなた方に付き合っている暇は無いと言ってるんです」
低能? チッ、気に食わねぇ。俺は最強だって言ってんだろ。
今すぐ八つ裂きにしてやろうか、猛烈な憤怒に駆られる。
「ど、どこまでも生意気なガキめ!」
三つ編みのガキの言葉にまたしてもカーターは拳を振り上げる。クソが、学習しねぇ野郎だ。
「よせと言っただろ? 女の言うとおりだ。こっちとしてもガキ相手にマジになったなんて言われたらたまったもんじゃねぇからな。おい行くぜ、てめぇもガキにいちいち突っかかってんじゃねぇよ」
荒れ狂い混沌とする内心とは裏腹に、自然と静かに言葉が出てきた。武道場を後にすることにする。
しばらくガキ共を睨み付けていたカーターだったが、やがて諦めたのか俺の隣へと並んできた。
「ボ、ボス……なんでまた」
「うっせぇな雑魚が……それ以上喋ったらぶち殺すぞ?」
「ボ、ボス?」
ああ気に食わねぇ……あの女子供も紺色のガキも。俺が低能だ? どの口が言いやがるッ! ふざけやがって……どいつもこいつも雑魚ばっかだ。俺以外全員雑魚なんだよッ!
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コメント
ノベルバユーザー601714
ランキングから拝見しました。個人的に好きなストーリーの流れで、楽しく読めました。
ヘンゼルとグレテル
ランキングで紹介されてたので拝見しました。
内容が作りこまれて面白かったです。
ストーリー構成は、どことなく似たような作品を読んだことがあるので、
差別化が難しいのかもしれないと思いました。
ノベルバユーザー265762
もしかして終わってしまったんですか?