些稚絃羽

心にできた傷は、背中にできた傷と似てる
いつの間にか負っていて
手を伸ばしても届かなくて
不意に当たるとぴりりと痛みが走る
見たくても見えなくて
1人で触れるのは怖くて
誰かに触れられるのも怖くて忘れようとする
そしてまた新しい傷を負う
塞いだかさぶたが剥げて血が滲む
絆創膏を貼ることすら叶わなくて
痛みを堪えて唇を噛む
他の痛みを作ってもその痛みは消えなくて
体を抱き締めてみても剥き出しのまま
無防備に茨の中に肌を晒している
肌では、服では、隠せないんだ
どうしたらいい
何もない部屋の中に閉じ篭ってみても
どこからか出てきた棘がまた傷を作るんだ
どうしたらいい
逃げたくはないんだ
痛みのない世界に逃げ込みたくはないんだ
どうしたらいい

コメント

  • ノベルバユーザー233866

    凄く共感し、感動しました!

    0
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