終わりなき旅路

些稚絃羽

終わりなき旅路

厚い厚い靄の先。
そこに答えがある気がして。
走って走って、ひたすら走って。
それでもまだ、どこにも辿り着けずにいる。
答えなんてあるの?
何を目指せばいいの?
分からないよ。ねぇ。
誰か教えてよ。ねぇ。


知らない誰かが笑った気がした。
お前には見えないのか、って。
違うよ。
まだ見つけ出せてないだけだよ。
靄がどんどん濃くなって。
視界が悪いからだよ。
見つからないよ。ねぇ。
誰か答えてよ。ねぇ。


「足を止めてみなよ。
 大事なものはすぐ傍に。」


永い間、走り続けた足を止める。
荒い呼吸に震える足。
開いた拳には溢れる程の。
靄が晴れる。
落とさない様にもう一度握って。
今度はゆっくり、歩き出す。


答えはずっと、すぐ傍に。

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品