ゲームの世界で天下統一を目指す俺

ハタケシロ

第一九戦

「はぁあ、はぁあ」

私に刀を向け肩で息をする`千人切り、
最初に刃を交えた時は心底がっかりした腕前だった。
そしてつい先程やった再戦も。
確かに先程の再戦は最初よりは剣が鋭かったが、まだ若人という感じが強かった。
だが
意識を失ったかと思うと、まるで別人のように強くそして鋭く私を殺しにかかってきた。私がやられるにはほんの一瞬の時間しか必要なかった。
そしてこれが本当の`千本切り、なのだというのを実感した瞬間だった。

今、私に刀を向けている`千人切り、の姿は逞しく若人という感じすらさせないものだ。そしてそれと同時に恐怖すら感じるものが`千人切り、から放たれている。そうか私はこの者に臆したのか



「はぁあ、はぁあ」

荒く早い息遣いが聞こえた
これは誰の息遣いだ?俺の思考はぐるぐる回っていた
そしてまるで漫画のように急に意識が戻った

まず見えたのはボロボロになり、俺に屈している長宗我部元親の姿だった。
ゆっくりと周りを見渡すが他には横たわっているサクラしか眼下に映らない。このや荒く早い息遣いは自分の物だと分かる

「どうしました?」

まだ状況を理解仕切ってない俺に長宗我部元親が声を掛ける
このどうしました?は止めを刺さないのですか?という意味だろう。
確かにここで止めを刺してもいいが俺にはその権限がない。親泰同様捕縛という手もある
もう近くまで来てる慶次さんの意見を聞くべきだ。

「一つ確認しても?」
「なんなりと」

俺はまだ確信してない部分を聞くことにした

「あなたをこうしたのは俺ですか?」
「おかしな事を聞くんですね。ええ貴方ですよ」

そうか俺はまた意識を失って暴走じみたことをしたのか。今回は被害が無くて良かったけど危険だ

「迅!大丈夫か!こいつをやったのは迅だな?」
「はい俺です。」

慶次さん達が到着し、一応俺が倒したのかを形だけ聞いてきた

「俺がこいつとやりたかったが、そんなことはもうどうでもいい。よくやった迅!ん?どうした?浮かない顔して?」

俺は無意識にまた暴走したことを話した。慶次さんを含めみんな真剣に聞いていた

「今回は我々の損害もないからどうとも言えんが少しそれは危ないな」
「それは俺も同意見だ。だがそれは後でいいとりあえずこいつをどうするか決めるぞ」

俺のことは後でといい長宗我部元親にみんなの視線が向かう。慶次さんは少しも考えることなく言った

「捕縛しろ!兼続!」
「あいわかった。」

親泰同様兼続さんが縄で自由を効かなくし近くにいる兵に長宗我部元親の身柄を渡した。
そして…

「この戦…俺達の勝ちだあ!!!」

慶次さんが高々に勝利の雄叫びをあげそれに応ずるように各地から兵の声が上がった。

「医療班はすぐ怪我人の手当てを!」

すぐさま兼続さんの声が飛び、サクラをはじめとした怪我人を治療させる

長宗我部対前田
前田の勝利でこの戦は幕をおろした

俺は勝った喜びと暴走してしまったという後悔を胸に本拠地福島へと帰還した。



舞剣城

「姫。どうやら噂の´千本切り,の活躍で長宗我部が落ちたそうですよ」
「長宗我部が?あそこはたしか私達と同盟を結ぶはずでしたよね?」
「ええ。ですが同盟の話し合いは難航していたので私達に取っても朗報ですね」

「その大心さん伺っても?」
「何ですか?姫」
「´千本切り,は若い武将との事でしたよね?」
「はいそうですよ」
「´千本切り,は急に前田に現れたって事でしたよね?」
「そうですね。時期的にいえば姫が我が軍に入ったのと同じくらい……いや出会ったのと同時期てすかね」
「分かりました。すみませんありがとうございます」
「いえいえ。近々戦を仕掛けようと思いますので準備しといて下さいね」
「ちなみにどこと?」
「『伊達』を攻めようと」
「分かりました」
「では姫これで」

大心さんが見えなくなったのを確認し窓を眺めながら私は思考を巡らせる。

「……迅」

まだ確証はないが私の口からはこの言葉が漏れた


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