覇王サタンの聖誕祭〜鉄道王への道〜
第32話「VS.ガブリエル」
「では、やりましょうか......」
ガブリエルは、自分の背丈ほどもある斧を持ち上げると、ぶんぶんと振り回した。
あれそんなに軽いのかな......すごい重そうだけどな......
それに対しアスモデウスは、両手に銃のようなものを構えている。
「飛び道具ですか......ま、いいでしょう」
そういうと、ガブリエルは勢い良くアスモデウスへ迫った。
ガブリエルの斧がアスモデウスの首に触れそうになるが、アスモデウスは身を屈ませ、それをかわす。
暗くて視界がはっきりとしないが、斧は建物の壁に大きな傷跡を残し、なおもアスモデウスを狙い続ける。
(あんなの......あたったら死んじゃうじゃん!!)
アスモデウスは、ガブリエルとの距離をとって真っ暗な路地裏の奥に入っていった。
「面倒ですね......ですが、こちらには人質がいますよ?離れて大丈夫なんですか?]
人質......っていうのは私たちのことだよね。
ガブリエルの呼びかけにも、アスモデウスは姿を表そうとしない。
「見せしめが必要ですか?」
ガブリエルがいらいらした様子で言うと、サトル君が怯えた様子で私に問いかける。
「先生は......戦ってくれますよね......?勝ってくれますよね?」
私は、サトル君の不安を拭うようにそして、自分に言い聞かせるように答える。
「当たり前だよ。アスモデウスは嘘を言うような人じゃないからね」
そのとき、私たちの正面にいるはずのアスモデウスの声が背後から聞こえた。
「もちろん、逃げるなんてしないよ」
「!!」
「えっ!?」
「アスモデウス......?お前、いつの間に背後へ......?」
戸惑うガブリエルの背後にアスモデウスが姿を表す。
(え......?どう......なってるの?何でアスモデウスが二人いるの......?)
いま私たちの後ろにいるのも、目の前にいるのも、紛れもなくアスモデウスだった。
混乱していると、ガブリエルの背後にいたアスモデウス(仮にアスモデウスAとしておこうか)が、手に持っていた銃を撃った。
「ぐぁああっ!」
不意を突かれ、発射された弾に当たったガブリエルは、跪き、小刻みに震えている。
「あぁ、そちらが本物のアスモデウスですか......ということはあちらのアスモデウスは幻覚ですね......?お前の能力は、『幻覚』だったわけですか......」
幻覚......まぼろしってことか。
しかし、ガブリエルの言葉を無視して、アスモデウスBは、手に持っていた銃をガブリエルに向けて撃った。放たれた弾は、ガブリエルの胸に当たり、ガブリエルはまたも体に電流が流れたように身体を震わす。
「幻覚ではないですって......?となると、お前の能力は......!!」
ガブリエルがそういい終わるか終わらないかのタイミングで街灯に明かりが着き、二人のアスモデウスの姿が見えるようになった。
「そう、僕の能力は『幻覚』じゃあない。僕の能力は、『増殖』......ま、隠す必要もないしね」
(『増殖』......アスモデウスの二つ目の能力、『治癒』のことを言わないってことは私も口にしない方が良いんだよね......)
「なるほど......『増殖』、ですが、お前の武器『スタンガン』とその能力に、人間ならまだしも、天使である私に対して、殺傷能力は期待できないと思いますが......」
確かに、それはそうかもしれない。スタンガンで人が死ぬほどの電流が流れたなんて聞いたことないし、増殖して殺すって言うのも難しそう......
あの銃だって見ると鉄砲っていうか、飛び出すスタンガンって感じだし......
「ですが、それにしては余裕がありますね……アスモデウス?もしかしてお前の能力は、『増殖』の他にも何か隠しているのではありませんか……?」
図星を突かれるも、アスモデウスは余裕のある表情を崩さない。
「さぁ……どうだろうね……」
「ま、どんな能力があろうと関係は無いですがね」
そういうと、ガブリエルは斧を振り回した。
そういえば……ガブリエルの能力もまだ分かっていないんだよね……アスモデウスは知ってるのかな……?
「おや……もうそろそろアザゼルが到着するようですね……」
ガブリエルは、画面の割れたタッチパネル式の携帯を見て言った。
「まだ戦うのも悪く無いですが、少し本気を見せてみましょうか?」
そういって、その場で小さくジャンプした後、ガブリエルの姿は消えた……そう思っていると、気づくとガブリエルは、アスモデウスの目の前に来ていた。
「……ッ!!ア……」
「!!」
アスモデウスが反応する間もなく、アスモデウスAの顎に斧の柄が勢いよくぶつけられ、次の行動に移る前に蹴り飛ばされる。
それと同時にアスモデウスBがガブリエルに向かって走り出すが、投げられた斧を躱せずに、お腹に大きな傷を開けてその場に崩れ落ちた。
「あれ……こんなにすぐ終わるものですか……?私には依り代もついていないというのに……まあ、悪魔との差が大きいに越したことはないですがね」
そう言って、ガブリエルはアスモデウスBの頭部を斧で割った。
奥からアスモデウスが歩いてくる。
「これは……アザゼルを呼ぶまでもありませんでしたね……」
どうしよう……この人、強い……!!アスモデウスやられちゃうかも……!
でも私も、さっきからビビって立つこともできない……
「ノエル、大丈夫だから」
アスモデウスは、余裕のある声で私に言った。
「僕の『増殖』に、限界なんて無いからね」
アスモデウスがそういうと、ガブリエルの足元に転がっていたアスモデウスBの死体が、ボコボコと動き出し、潰れた頭から、アスモデウスが生まれた。
怖っ!
「ふん……お前が何人いようと、私には敵いませんよ。私はまだ能力も使っていませんからね」
「あぁ、それでも勝てるさ」
「まあ……ならやってみましょうか……?」
ガブリエルがそう言ったのとほぼ同時に、空から何か重いものが落ちて来た。
「!?え……何!?」
「今来るのですかお前は……間が悪すぎますよ……アザゼル」
アザゼル……?もう1人の天使が……来たってこと……!?
「ま、いいでしょう。これで2対1。完全に勝ち目はないですね?アスモデウス」
絶望的な状況に陥ってしまったのでした……
ガブリエルは、自分の背丈ほどもある斧を持ち上げると、ぶんぶんと振り回した。
あれそんなに軽いのかな......すごい重そうだけどな......
それに対しアスモデウスは、両手に銃のようなものを構えている。
「飛び道具ですか......ま、いいでしょう」
そういうと、ガブリエルは勢い良くアスモデウスへ迫った。
ガブリエルの斧がアスモデウスの首に触れそうになるが、アスモデウスは身を屈ませ、それをかわす。
暗くて視界がはっきりとしないが、斧は建物の壁に大きな傷跡を残し、なおもアスモデウスを狙い続ける。
(あんなの......あたったら死んじゃうじゃん!!)
アスモデウスは、ガブリエルとの距離をとって真っ暗な路地裏の奥に入っていった。
「面倒ですね......ですが、こちらには人質がいますよ?離れて大丈夫なんですか?]
人質......っていうのは私たちのことだよね。
ガブリエルの呼びかけにも、アスモデウスは姿を表そうとしない。
「見せしめが必要ですか?」
ガブリエルがいらいらした様子で言うと、サトル君が怯えた様子で私に問いかける。
「先生は......戦ってくれますよね......?勝ってくれますよね?」
私は、サトル君の不安を拭うようにそして、自分に言い聞かせるように答える。
「当たり前だよ。アスモデウスは嘘を言うような人じゃないからね」
そのとき、私たちの正面にいるはずのアスモデウスの声が背後から聞こえた。
「もちろん、逃げるなんてしないよ」
「!!」
「えっ!?」
「アスモデウス......?お前、いつの間に背後へ......?」
戸惑うガブリエルの背後にアスモデウスが姿を表す。
(え......?どう......なってるの?何でアスモデウスが二人いるの......?)
いま私たちの後ろにいるのも、目の前にいるのも、紛れもなくアスモデウスだった。
混乱していると、ガブリエルの背後にいたアスモデウス(仮にアスモデウスAとしておこうか)が、手に持っていた銃を撃った。
「ぐぁああっ!」
不意を突かれ、発射された弾に当たったガブリエルは、跪き、小刻みに震えている。
「あぁ、そちらが本物のアスモデウスですか......ということはあちらのアスモデウスは幻覚ですね......?お前の能力は、『幻覚』だったわけですか......」
幻覚......まぼろしってことか。
しかし、ガブリエルの言葉を無視して、アスモデウスBは、手に持っていた銃をガブリエルに向けて撃った。放たれた弾は、ガブリエルの胸に当たり、ガブリエルはまたも体に電流が流れたように身体を震わす。
「幻覚ではないですって......?となると、お前の能力は......!!」
ガブリエルがそういい終わるか終わらないかのタイミングで街灯に明かりが着き、二人のアスモデウスの姿が見えるようになった。
「そう、僕の能力は『幻覚』じゃあない。僕の能力は、『増殖』......ま、隠す必要もないしね」
(『増殖』......アスモデウスの二つ目の能力、『治癒』のことを言わないってことは私も口にしない方が良いんだよね......)
「なるほど......『増殖』、ですが、お前の武器『スタンガン』とその能力に、人間ならまだしも、天使である私に対して、殺傷能力は期待できないと思いますが......」
確かに、それはそうかもしれない。スタンガンで人が死ぬほどの電流が流れたなんて聞いたことないし、増殖して殺すって言うのも難しそう......
あの銃だって見ると鉄砲っていうか、飛び出すスタンガンって感じだし......
「ですが、それにしては余裕がありますね……アスモデウス?もしかしてお前の能力は、『増殖』の他にも何か隠しているのではありませんか……?」
図星を突かれるも、アスモデウスは余裕のある表情を崩さない。
「さぁ……どうだろうね……」
「ま、どんな能力があろうと関係は無いですがね」
そういうと、ガブリエルは斧を振り回した。
そういえば……ガブリエルの能力もまだ分かっていないんだよね……アスモデウスは知ってるのかな……?
「おや……もうそろそろアザゼルが到着するようですね……」
ガブリエルは、画面の割れたタッチパネル式の携帯を見て言った。
「まだ戦うのも悪く無いですが、少し本気を見せてみましょうか?」
そういって、その場で小さくジャンプした後、ガブリエルの姿は消えた……そう思っていると、気づくとガブリエルは、アスモデウスの目の前に来ていた。
「……ッ!!ア……」
「!!」
アスモデウスが反応する間もなく、アスモデウスAの顎に斧の柄が勢いよくぶつけられ、次の行動に移る前に蹴り飛ばされる。
それと同時にアスモデウスBがガブリエルに向かって走り出すが、投げられた斧を躱せずに、お腹に大きな傷を開けてその場に崩れ落ちた。
「あれ……こんなにすぐ終わるものですか……?私には依り代もついていないというのに……まあ、悪魔との差が大きいに越したことはないですがね」
そう言って、ガブリエルはアスモデウスBの頭部を斧で割った。
奥からアスモデウスが歩いてくる。
「これは……アザゼルを呼ぶまでもありませんでしたね……」
どうしよう……この人、強い……!!アスモデウスやられちゃうかも……!
でも私も、さっきからビビって立つこともできない……
「ノエル、大丈夫だから」
アスモデウスは、余裕のある声で私に言った。
「僕の『増殖』に、限界なんて無いからね」
アスモデウスがそういうと、ガブリエルの足元に転がっていたアスモデウスBの死体が、ボコボコと動き出し、潰れた頭から、アスモデウスが生まれた。
怖っ!
「ふん……お前が何人いようと、私には敵いませんよ。私はまだ能力も使っていませんからね」
「あぁ、それでも勝てるさ」
「まあ……ならやってみましょうか……?」
ガブリエルがそう言ったのとほぼ同時に、空から何か重いものが落ちて来た。
「!?え……何!?」
「今来るのですかお前は……間が悪すぎますよ……アザゼル」
アザゼル……?もう1人の天使が……来たってこと……!?
「ま、いいでしょう。これで2対1。完全に勝ち目はないですね?アスモデウス」
絶望的な状況に陥ってしまったのでした……
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