覇王サタンの聖誕祭〜鉄道王への道〜
第14話「山崎大地に立つ」
俺がこの私立エブリデイ病院に来て、1週間が経った。
「山崎は生き返りたくないの?」
「生き返るのとは違うんだろ。なんつーか生まれ変わるっていうかな」
「そうだけど」
「俺は、俺のことに関して未練はないからな。ただ残して来た妹だけが気がかりだよ」
そう…希空がいなければ俺が生きていたって仕方がないのだ。
だから俺は残されたチャンスをものにしようとは思わなかった。
(希空、大丈夫かな…まだいじめられてるだろうな…)
「やることがないなら私、手伝って欲しいことがあるんだけど」
「えー…」
「えーって…私、妹さんに似てるんでしょ?妹だと思って手伝ってよ」
確かにベルゼブブは非常に希空に似ている。けど希空じゃないなら俺が助けてやる必要もない。俺が助けてやるのは希空の友達くらいまでだ。
「俺は今なんにもやる気はねーんだよ」
「でもさ、内容だけきいてくれない?すごい簡単なことだし、気が変わるかもしれないでしょ」
「はー…ま、いいけど」
(気が変わることなんてないと思うけど)
「これ、本当のことだからね」
「あ、そうなの」
「うん。実は私、悪魔なの。暴食を司る悪魔ベルゼブブ」
「へー」
「それで、私の命はあと1年もないの」
「ふーん」
「それで、どうしたら生きられるかっていうと、依り代になる人間がいなければならないの」
「うん」
「さらに、私は天使にも狙われているの」
「あーそう」
「それで、今の私じゃ天使には勝てないけど、依り代がいれば勝てるようになるの」
「ん」
「だから、私の依り代になってほしいの」
「なって俺にいいことあんの?」
「強くなれるよ!私の力で」
「…別にいいや」
「えー…でも気が変わったら言ってね!」
そんな感じで、さらに3日が経った日
「ベルゼブブ?」
(いないな…いつもなら厨房でなんか食ってるけど…ベルゼブブがいないと飯食えないんだよな。俺料理できないし)
「おーいベルゼブブーどこ?」
(食パンかカップ麺があればそれでいいんだけど病院にはないだろうし…)
「………!」
「………!」
「ん?」
(外で声がしたかな。誰かとベルゼブブが話してるのかな)
それは、話し声というにはあまりに荒々しく、怒鳴り声のようにも聞こえた。
不吉な予感がした俺は急いで外に出た。
「ベルゼブブ!」
「山崎…!」
「ははははは!死ね!死ね!」
「暴食の七魔ってこんな弱いのなぁ!」
「山崎!病院の中に入っていて…!」
「…あ…?」
目に入ったのはベルゼブブが白い服の男たちに踏まれ蹴られとされている様子。
ベルゼブブは抵抗する、抵抗できる様子もなくただやられていた。
俺の頭の中に、もしかしてという考えが浮かんだ。
(こいつらは…ベルゼブブの言っていた、天使?)
ベルゼブブは天使に狙われていると言っていた。なら今ベルゼブブを痛めつけているこの男たちは天使だろう。
ただ、天使だの悪魔だのという話は到底信じられない。だが、今必要なのは信じることではなく目の前の少女を助けること。
それは、わかっていた。
わかってはいたが
(怖ぇえ…!!)
ベルゼブブの言う天使と思われる男たちの目は明らかに正気ではなかった。ベルゼブブを殺すためにだけ生きているかのようにベルゼブブを睨みつけていた。
それがこちらに向けられると思うと動かなかった。
(ごめんベルゼブブ、俺はお前のためにその男たちに立ち向かうことはできない…)
俺は逃げ出そうとしたが、殴られ続けるベルゼブブの姿が希空と重なって、気づくと俺はベルゼブブの方へ走っていた。
「ベルゼブブ!!」
「山崎…!?」
「ベルゼブブ!俺が、お前を助ける!俺を、依り代にしろ!!」
やはり俺は普段からどこかベルゼブブと希空を重ねていたようだ。ベルゼブブを見捨てることはできなかった。
「山崎!」
ベルゼブブが気体とも液体とも知れないような形となり、俺の中に入ってきた。
その瞬間、
「うおおおおおお!!?」
「あああああああ!?」
すさまじい音を立てて天使を吹き飛ばした。
(今のはもしかして、あれか…気合いでぶっとばしたみたいな…)
「山崎!ありがとう…!」
「あぁ、やっぱりお前を2度も見捨てるってことはできないよ」
「2度も?」
「妹だと思って手伝うんだろ?」
正直俺は少年漫画がかなり好きなので今すごくわくわくしている。
ここぞとばかりにすげぇカッコつけたセリフを言ってしまった…
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「希空は俺のことお兄ちゃんなんて呼ばねーよ…」
「あっそう」
「山崎でいいよ、普通に」
「そう、じゃあ山崎!かかっとやろうか!」
天使達はご立腹の様子でこちらを睨んでいる。
「うるぁああああるぁ!!」
天使の1人が馬鹿みたいに突っ込んでくるがなんだかとても遅く見える。相手の様子を見る限り一生懸命走っているのだろうが、俺はそれをはるかに上回るスピードで背後に回る。
(これがベルゼブブの依り代になって得た力…!!)
「ぎぃあっ……」
やはり少年漫画らしく首の後ろを叩いてみた。
天使は、力なく崩れ落ちた。
「おおおおお…!素晴らしいパワーだ…!」
「山崎、かっこつけすぎ…」
「仕方ねーだろ、少年漫画ばっか読んでたんだから」
いちいち突っ込まれると恥ずかしい
さて、残るはもう1人…
「俺の妹、傷つけるやつは許さねえええ!!」
俺はまた恥ずかしすぎるセリフを叫びながらもう1人の天使を思いっきりぶん殴った……
「それで、これからもまた天使は来たりすんのか?」
「いやぁ、もうここは出て行くかな」
「出て行く?」
「うん。私は悪魔って言ったでしょ?私の他に悪魔はあと6人いるの。その6人を探しにいくの」
「なるほどね…じゃ、俺も行かないとな。俺はお前の依り代だし、俺のやらなければならない事ってのもあるしな」
「え?」
そう…俺は生きることに決めたのだ。
ベルゼブブを…希空をこの世界でも守るため。
「山崎は生き返りたくないの?」
「生き返るのとは違うんだろ。なんつーか生まれ変わるっていうかな」
「そうだけど」
「俺は、俺のことに関して未練はないからな。ただ残して来た妹だけが気がかりだよ」
そう…希空がいなければ俺が生きていたって仕方がないのだ。
だから俺は残されたチャンスをものにしようとは思わなかった。
(希空、大丈夫かな…まだいじめられてるだろうな…)
「やることがないなら私、手伝って欲しいことがあるんだけど」
「えー…」
「えーって…私、妹さんに似てるんでしょ?妹だと思って手伝ってよ」
確かにベルゼブブは非常に希空に似ている。けど希空じゃないなら俺が助けてやる必要もない。俺が助けてやるのは希空の友達くらいまでだ。
「俺は今なんにもやる気はねーんだよ」
「でもさ、内容だけきいてくれない?すごい簡単なことだし、気が変わるかもしれないでしょ」
「はー…ま、いいけど」
(気が変わることなんてないと思うけど)
「これ、本当のことだからね」
「あ、そうなの」
「うん。実は私、悪魔なの。暴食を司る悪魔ベルゼブブ」
「へー」
「それで、私の命はあと1年もないの」
「ふーん」
「それで、どうしたら生きられるかっていうと、依り代になる人間がいなければならないの」
「うん」
「さらに、私は天使にも狙われているの」
「あーそう」
「それで、今の私じゃ天使には勝てないけど、依り代がいれば勝てるようになるの」
「ん」
「だから、私の依り代になってほしいの」
「なって俺にいいことあんの?」
「強くなれるよ!私の力で」
「…別にいいや」
「えー…でも気が変わったら言ってね!」
そんな感じで、さらに3日が経った日
「ベルゼブブ?」
(いないな…いつもなら厨房でなんか食ってるけど…ベルゼブブがいないと飯食えないんだよな。俺料理できないし)
「おーいベルゼブブーどこ?」
(食パンかカップ麺があればそれでいいんだけど病院にはないだろうし…)
「………!」
「………!」
「ん?」
(外で声がしたかな。誰かとベルゼブブが話してるのかな)
それは、話し声というにはあまりに荒々しく、怒鳴り声のようにも聞こえた。
不吉な予感がした俺は急いで外に出た。
「ベルゼブブ!」
「山崎…!」
「ははははは!死ね!死ね!」
「暴食の七魔ってこんな弱いのなぁ!」
「山崎!病院の中に入っていて…!」
「…あ…?」
目に入ったのはベルゼブブが白い服の男たちに踏まれ蹴られとされている様子。
ベルゼブブは抵抗する、抵抗できる様子もなくただやられていた。
俺の頭の中に、もしかしてという考えが浮かんだ。
(こいつらは…ベルゼブブの言っていた、天使?)
ベルゼブブは天使に狙われていると言っていた。なら今ベルゼブブを痛めつけているこの男たちは天使だろう。
ただ、天使だの悪魔だのという話は到底信じられない。だが、今必要なのは信じることではなく目の前の少女を助けること。
それは、わかっていた。
わかってはいたが
(怖ぇえ…!!)
ベルゼブブの言う天使と思われる男たちの目は明らかに正気ではなかった。ベルゼブブを殺すためにだけ生きているかのようにベルゼブブを睨みつけていた。
それがこちらに向けられると思うと動かなかった。
(ごめんベルゼブブ、俺はお前のためにその男たちに立ち向かうことはできない…)
俺は逃げ出そうとしたが、殴られ続けるベルゼブブの姿が希空と重なって、気づくと俺はベルゼブブの方へ走っていた。
「ベルゼブブ!!」
「山崎…!?」
「ベルゼブブ!俺が、お前を助ける!俺を、依り代にしろ!!」
やはり俺は普段からどこかベルゼブブと希空を重ねていたようだ。ベルゼブブを見捨てることはできなかった。
「山崎!」
ベルゼブブが気体とも液体とも知れないような形となり、俺の中に入ってきた。
その瞬間、
「うおおおおおお!!?」
「あああああああ!?」
すさまじい音を立てて天使を吹き飛ばした。
(今のはもしかして、あれか…気合いでぶっとばしたみたいな…)
「山崎!ありがとう…!」
「あぁ、やっぱりお前を2度も見捨てるってことはできないよ」
「2度も?」
「妹だと思って手伝うんだろ?」
正直俺は少年漫画がかなり好きなので今すごくわくわくしている。
ここぞとばかりにすげぇカッコつけたセリフを言ってしまった…
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「希空は俺のことお兄ちゃんなんて呼ばねーよ…」
「あっそう」
「山崎でいいよ、普通に」
「そう、じゃあ山崎!かかっとやろうか!」
天使達はご立腹の様子でこちらを睨んでいる。
「うるぁああああるぁ!!」
天使の1人が馬鹿みたいに突っ込んでくるがなんだかとても遅く見える。相手の様子を見る限り一生懸命走っているのだろうが、俺はそれをはるかに上回るスピードで背後に回る。
(これがベルゼブブの依り代になって得た力…!!)
「ぎぃあっ……」
やはり少年漫画らしく首の後ろを叩いてみた。
天使は、力なく崩れ落ちた。
「おおおおお…!素晴らしいパワーだ…!」
「山崎、かっこつけすぎ…」
「仕方ねーだろ、少年漫画ばっか読んでたんだから」
いちいち突っ込まれると恥ずかしい
さて、残るはもう1人…
「俺の妹、傷つけるやつは許さねえええ!!」
俺はまた恥ずかしすぎるセリフを叫びながらもう1人の天使を思いっきりぶん殴った……
「それで、これからもまた天使は来たりすんのか?」
「いやぁ、もうここは出て行くかな」
「出て行く?」
「うん。私は悪魔って言ったでしょ?私の他に悪魔はあと6人いるの。その6人を探しにいくの」
「なるほどね…じゃ、俺も行かないとな。俺はお前の依り代だし、俺のやらなければならない事ってのもあるしな」
「え?」
そう…俺は生きることに決めたのだ。
ベルゼブブを…希空をこの世界でも守るため。
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