FANTASY WAR ONLINE
第四三話
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今日はいつもとは違う場所で起き上がる。当然だ。宿屋でログアウトをしたのだから。
しかし、他のプレイヤーは毎日宿屋で就寝しているのだろう。お金がもったいないと思ってしまうな。俺なんか自分の所持金が今日まで一銭も動いていないんだぞ。これはいいのかね? ダメな気もする。
「おはよう、スバル」
「ああ。おはようかおる」
かおるも起きて、朝の挨拶。これは重要だろう。挨拶がないと、だんだんと関係が冷めてきてしまうからな。大事。
「そういえば、達樹に誘われているんだけど、かおるも来るか?」
「達樹くんに?」
「そうだ……」
かおるは悩んだそぶりを見せる。
「じゃあ、私も行こうかな」
「わかった。じゃあ、今日も一緒に行動しよう」
「うん!」
かおるの返事は元気がいい。しかし、戦場に立つとピシッとした周りの空気が固まるような雰囲気を出すのだから油断ならないものである。それがとても愛おしくもあるが。
で、俺たちは忘れ物がないかの確認をする。何かの間違いでアイテムをそこらに放っていないかを確認しておかないとな。
で、俺は何も問題はなかった。そりゃそうだ。そんな覚えはないからな。しかし、こういう癖は付けておかないといづれ取り返しのつかない事態になる。やっておいて損はないだろう。
「かおるは準備できてるか?」
「大丈夫、ばっちりだよ」
どうやら、かおるも問題はないらしい。
「じゃあ、出るか」
俺たち二人は部屋から出る。ちゃんと鍵も持ってな。
そうして、一階に降りると、受付には昨日とは違う恰幅のいいおばさんが立っていた。
「あれ? 昨日の人は?」
なので、俺は昨日の女性はどうしたのか聞いてみることにした。
「ああ、あの娘ね。あの娘、夜型の種族でね。夜にアタシの代わりに入ってもらっているのさ」
「ああ、なるほど」
魔族はいろんな種族がいるんだから、そりゃ夜行性の種族がいてもおかしくはないか。たぶん、アンデット系の種族なんだろうな。ヴァンパイアとかかな?
「じゃあ、あなたが……」
「そうだよ。アタシがここの宿屋の女将だね」
「ああ、やっぱりそうなんですね。では、これを」
そういいながら俺は鍵を渡す。
「はい、しっかり受け取ったよ」
と、女将さんは鍵を元の場所へと戻す。
ああ、そういえばもう一ついうことがあったな。
「女将さん。エルフの男性と猫又の女性のペアが宿泊していると思うんですけど、彼らに言っておいてもらえますか。『自分たちはもう少しうろうろしているので自由にしていていいです』って」
「ああ、わかったよ。任せときな」
よし、これでやり残したことはないな。
俺は女将さんに一礼してその場を離れる。
「さて、朝食はどうする?」
「うーん。露店でも見て回ってよさそうなの食べよ?」
「じゃあそうするか」
と、俺たち二人は宿を出て、神殿の方へと歩く。あっちに露店がいっぱいあるからな。それに、待ち合わせ場所もそっちの方だし、無駄がない。
「けっこういろいろあるねえ」
「そうだな。昨日は何も見てなかったからな。ゆっくり見て回ろうか」
「そうだね」
俺たちは露店を冷かしながら見て回る。基本的には住人が開いている露店が多いが、中にはプレイヤーが出している露店もある。いくつか食べてみたが、住人の作った料理が美味いな。プレイヤーはもっと頑張ってほしいものである。
「美味しいね、スバル」
「そうだな。なんか買い食いは買い食いならではの美味しさというものがあるよな。普段とは何か違うさ」
「そうだよね。焼き鳥も外で食べるほうがおいしいよね」
かおる。お前が今手に取っているのは焼き鳥じゃないだろ。じゃがバターだろ。それをおいしそうにほおばりながらなに焼き鳥がおいしいと語っているんだお前は。
そろそろ待ち合わせの時間が来ているので俺はかおるを連れて神殿へと歩いていく。どうやら達樹はまだ来ていないようだ。まあ、もう少しぐらいなら待つとしよう。
「まだ来てないみたいだね」
「まあ、少し余裕があるからな」
俺たちは神殿の脇に腰を下ろしてゆっくりと待つことにした。さて、何分前に来るかね。
「あ、来たな」
案外待たずして俺たちの視界の先によく見知った顔が歩いてきていた。
「おー、待たせたな」
別に待ってはいないけどな。
これで、全員そろったのだろう。では、さっそくフィールドに出るとするのかね。
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