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シスコンと姉妹と異世界と。

花牧優駿

【第69話】文化祭⑥




 「タコ焼きが……」

 ローズは固まってしまった。冷え冷えのフリーズである。

 「……ど、どうぞ……」

 「お兄ちゃんのショーくんに妹ちゃんのローズちゃん、で合ってるよね?」

 「そうですけど……」

 「よかった〜。人違いだったらどうしようかと思ったわ! 今後とも末永くよろしくね2人とも!!」

 その勢いのままに肩を組んでくる謎の女性。

 「え、わっ、その……当たってるんで、離れた方が……」

 「いいじゃない女の子同士でしょ〜ローズちゃん」

 「俺が良くないような……」

 「素直に喜べ男の子! ホントは嬉しいんだろぉ? うりうり〜」

 「お兄ちゃん嫌がってるじゃないですか! やめてください離れて下さい!!」

 嫌じゃ……ない。けとここは仕方ない場面だ。

 「仕方ないなぁ〜。特別だよー?」

 「で、あなたは誰なんですか……」

 「あれ、エリーゼから聞いてない? わたしはここの学園の長であり、学生でもあるヴィオラ・ブラックローズという者なんだけど……」

 「知ってた?」

 「ううん。お兄ちゃんは?」

 「お前と同じだ」

 「「……本物ですか?」」

 「正真正銘本物よ!」

 「妹よ、どう思う?」

 「うーん……」

 「入学式の時に目の前で喋ったはずよ!?」

 「憶えてないですよ、そんなの……」

 「そんなの!? 結構簡潔に纏めてかつイイ事言ったはずよ? ムキーッ!!」

 「ローズ、この人危なそうだから校舎の方に戻ろうぜ」

 「しょうがないね。アリスさんたちのとこもお呼ばれしてるし時間の無駄は出来ないもんね」

 「それじゃあ、そういう事なので失礼します」

 「失礼致します」

 「…………」



______。



 「にしても、何だったんだろうなあの人」

 「ホントに学園長さんなのかな?」

 「でも学園長ともあろうお方がタコ焼きなんかひったくるかね?」

 「そーだよ! 折角のお楽しみだったのに」

 「なー。ほら、あーん」

 「あーん。……冷めても割と美味しいね」

 「あーん、の効果じゃないか?」

 「そうかも……」

 「……」

 「……黙らないでよ」

 「ローザが照れくさくなるような事言うから」

 「お兄ちゃんこそ……」

 「……とりあえずゴミ捨てよっか」

 「うん」

 とりあえず校舎内最寄りのゴミ箱にポイ。

 「したらアリスさんのとこ行くか」

 「はーい」

 「あ、でもその前にトイレ行くわ」

 「じゃああたしも」


______。



 「はい」

 「あ、すまん。ありがとう」

 「お兄ちゃんハンカチ忘れてたなと思って、用意してきた」

 「お前神かよ……」

 「出来る女ですから、えっへん」

 俺の妹ってマジぐうかわ。

 「お、アレじゃないか?」

 「な、なにあれ……」

 廊下にも暗幕が張られていて完全に日光が遮られている。血のようなものも撒き散らされている。臭いとかはないから本物ではないと信じたい。んで、そこに人が列になって順番待ち。とりあえず俺たちもそれに逆らわずに並んだ。

 「……」

 「……おかしいな」

 「な、なにが?」

 「いやな、全く中から音がしないってのはどうよ?」

 「なんか魔法で遮音壁みたいなの張ってるんじゃない? 本気出せば魔法の種類も分かるけど、中の出し物まで分かったら面白くないからやんなーい」

 「ま、それもそだな」

 俺はある程度想像がついてるからなぁ……。

 「……」

 「どしたローズ、実は怖いのか?」

 「な、こ、怖くなんかないよ? うん。……ちょっとだけ」

 「俺がついてっから平気だよ」

 「……本当?」

 「おうよ。俺がお前に嘘ついたことあったか?」

 「……」

 「そこは頷いといてくれよ!」

 「次のお客様どうぞ〜」

 「「「はーい」」」

 「3名様でいらっしゃいますね」

 「あ、シャロンさん。え、いや、2人っすけど……」

 「いらっしゃーい」

 「「◎※△!?☆#*」」

 何者かに肩を掴まれ囁かれる低い声。

 「あら、そんな驚かなくても……」

 「ヴィオラでしたー」

 「アリスさん!?」

 「いらっしゃいショーくん。ヴィオラはわたしたちの同期であり学園長であり財布である頼もしい友達なんだ〜」

 「財布じゃない!」

 財布=友達ではないだろうな、そりゃ。

 「ほらほら、後ろつっかえちゃうから早くね。ヴィオラも!」

 「はいはい……」

 「えっと、改めて。お2人様でよろしいですね?」

 「はい」

 思わずローズは後ろを振り返っていた。

 「それではこちらかこちらの御札を、どちらか1枚を持っていってください。中で使うことがありますので」

 「赤と黒、どっちにする?」

 「お兄ちゃんに任せる!」

 「じゃあローズの赤で」

 「はい。それでは、逝ってらっしゃいませ……」



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