話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~

シフォン

「カステラ美味しい(現実逃避)」

婦警さんを尋問して、言ってはいけない類の情報(主に身内の恥的な意味で)を引き出し情報アドバンテージを得た俺は、ここからどう動くかを悩んでいた。
まず家から出て起こす系のアクションは基本封印。出ると薄い本的なことになって死ぬ。社会的または精神的に。
そして家の中に閉じこもっていても、事態は進展しない。
何もしないのは時として動きすぎることよりはマシと言うが、この状況においては何もしないでいると色々まずいことになると思う。
例えば、外の変態&警察ゴミたちが結託して俺を兵糧攻めしてきたらこっちは為す術がないし、この前みたいにドアを強引に破られる可能性だって無い訳じゃない。
つまり動くのは相当に危険で、動かなくても危険。二者択一だ。
正直言って、現状をぶち壊すには………その、なんというかズバッとやってドカン!みたいな感じの破壊力が必要な気がするんだよなぁ。
無論破壊力と言えば武という兵器が存在するからそれに任せるというのも1つの手だが、しかしそれも違う………気がする。
今必要な破壊力と言うのは武のように場を荒らしてぐちゃぐちゃに出来るタイプのそれじゃなく、ただ単純にこの数の差を埋めたり、あるいは戦意を奪って帰らせることが出来るようなタイプの破壊力なんだ。

「由さん、差し入れです。どうぞ」

俺があーでもないこーでもないと一人で似合わない頭脳労働に勤しんでいると、不意にステラがやってきて、後ろから何かが乗った皿を差し出された。
………カステラだ。
いや、差し入れも何もこれは確か随分と前に親父が買ってきた『焼き菓子の型枠セット』に入っていたやつを使ってTSの一日前くらいに作ったやつだろうが。
冷蔵庫に入れてから忘れていたが、大丈夫なのかこれ。確実に消費期限とか切れてるだろ。
手作りだから消費期限なんて感覚的なものだけどさ。
とりあえず食べさせるなら弟の亮太に任せた方が良いと思うんだが。

「あ、古いモノっぽいですけど持ってくる最中に世界時計ワールドタイム・クロックの裏技的な使い方で復元しましたから、作ったばかりの時と状態は変わってないはずです。なので安心してどうぞ」

………あぁ、なるほど。
そういや今朝使ったね。課題を終わらせてなかったから時間を止めて終わらせたんだよなー。
時間を止めるだけに飽き足らず時間の巻き戻しも出来るとか、チートか!
でもそれって使い過ぎると特異点的な人に時間停止能力をあげちゃうって言ってなかったか?
忘れてた、なんてのはないよな。

「大丈夫ですよ由さん、世界時計ワールドタイム・クロックで時間停止さえしなければそんなことは起こりませんし、そもそもそんな都合よく特異点の人がいて、自分が能力を手に入れたことに気付くとでも?」
「そういうもんなのか?」
「だってこれ、本来は歪み歪んで訳の分からないことになった平行世界を分岐前まで戻してから正しいルートに修正するための管理者用アイテムですよ?これの存在を知らなければ時間停止しようなんて思いませんって」

いや、でも時間を止めたり戻したりすると思わぬ悪影響が必ずどこかで出るって某七つ集めると願いが叶う漫画の神様が言ってたぜ?
まぁとりあえず、一旦慣れない頭脳労働は終わりにして休むかね。
俺はあくまでもおバカ(愛すべきバカでもある)で身体能力も低くて、ちょっとコスいだけの一般ピーポーですからね。どこぞのルルから始まる人を操れる男とは違って。
だからここでティータイム(本日二度目)にして脳を休ませ、英気を養うのも良いことだと思うんだよ。
俺はそう判断してステラから皿を受け取ると、とりあえず椅子に座ってそれを食べようと………

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!

………したところで、ドアの方から凄まじい音が響いてきた。
金属同士が激しく摩擦した音というか、とにかくアレの再来を思わせる音だぞこれは。
またか、またなのか。
もう一度我が家のドアは破られてしまうんですか!
あぁチクショウ!なんでこんなにも家の扉を破られるんですかねぇ!しかも今爆音のせいでカステラを落としちゃっただろうが!

「由!逃げるか!?」

俺があまりに理不尽な現実に対してキレていると、武が慌てたような顔で部屋に飛び込んできた。
逃げようと提案しているから一応現在の状況を正しく認識しているようだが………
しかし今の俺はイライラしていて、逃げようなんて考えが頭に浮かばない。
いや、むしろ全く別の………まさに、理不尽な暴力で押し潰すかのようなプランが浮かんできた。

俺がTSする前の、完全非リアだったころの『記憶』。

これまでのトラブルに巻き込まれてきた『経験』。

そして、両親が教えてくれたいくつかの『知識』。

記憶、経験、知識。その3つを最低かつ最悪に組み合わせることで、この状況をぶち壊す。そのためのプランが俺の頭の中に浮かんできた。
多少どころかかなり穴だらけのプランだが………幸いにして、それは今の状況が俺の安全を保障してくれるからこの程度の賭けを行っても痛くも痒くかゆくもないし、このプランならば最悪でもこの状況をひっくり返せる。
………やってやろうじゃないか。俺だってやられてばっかりじゃないってところを見せてや………れたらいいと思っている。

「TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く