TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~

シフォン

「必殺料理人の天敵、田中由」父親編

フハハハハハハ、父です。
結婚15年、35の父です。
これでも人生勝ち組(人生の墓場、ではない)な、由と亮太の父です。
それと実は26の方言と12の外国語を話せて5つの小数民族言語を喋れる超人なんです。
ついでに言うなら顔は良いからモテるし、家系的にもルックスに恵まれてるみたいです。

………まぁそれは置いておいて、俺の息子である由の話をしよう。
コイツは昔からどうにも、俺に似てないと思ってたんだ。ついでに言うと親の特徴を何一つ受け継いでいないというか………俺と妻の特徴の見事なまでに真逆を行く造形だった。
かと言ってブサイクってわけじゃなかったんだけどな。
顔の配置が無駄に巧みで、無難極まりない顔のパーツでもそこそこのライン………つまりは中の中程度のルックスだった。
そんな由は俺の浮気騒動(ただし元を正すとこれの責任は俺にハニートラップを仕掛けてきた相手の方に非があるわけで………)やら何やらでバタバタと帰国した時何故か………女になっていた。しかも絶世の美少女をさらに選別しまくって一千万年に一人くらいの確率で見つかるレベルまで妥協せずに選んだ結果のソレ、みたいな感じの。
我が子ながら………驚愕だぜ………
最初の感想はそれだった。しかしそこで得た驚きはそれだけじゃない。
由に彼女が出来ていたのだ。
顔に関しては由のレベルが高すぎてちょい霞みそうになるけど結構良さげで、個人的直観によれば能力が全体的に高くて尽くすタイプ。
ついでに何かコメントを付けるとすれば………昔こんな感じの子を見た気がするんだよなぁ………

いや、今はこんなことを考える必要は無いな。
とりあえず今はどうにかしてこの騒動を有耶無耶にするかなんとかして解決する必要がある。
その方法はDO☆GE☆ZAや平謝りやその他多岐にわたるが、しかし俺はその手段をすでに使ってダメだった。
じゃあどうするのかって?
………あまり表には出せない方法だよ。具体的には微弱な催眠状態にして怒りを鎮めてからめちゃくちゃ弁明して(略)ってことだ。
当然本人にバレたら意味がない。だからあえて回りくどい方法を使うのだ。
それこそかねてからこんな時に備えて買っておいた貴重な謎の食材(少なくとも人体に有害でなく、しかし訳の分からない力で食べてすぐに軽い催眠状態を引き起こす効能のあるナニカ)を料理に仕込んだり、その料理をやたら美味くしてそれなりの量を食うように仕向けたり………ね。
だけど、そこには1つだけ障害があった。
由の彼女………名前は聞いていないから仮称として彼女ちゃん………である。
何を隠そう、この彼女ちゃんは俺の用意したこの食材の正体を見抜いたのだ。
まじかよって思った。この食材は日本には存在しないし、知っているはずがないのに………
しかしそこで挫けてしまっては俺の人生が大ピンチになる。だからその彼女ちゃんを先に味方に引き込むことにしたのさ。
由の根っこに存在するヘタレ気質を盾に襲っちゃえよ的なことを言ってね。

まぁ、そこに何の苦労もなかったわけじゃない。
俺も一応その食材についての詳しい説明と、使い方だけでなく対策法そして………効能の打ち消し方まで教えさせられた。
別にこの食材はなんでもいいからこれを食わせりゃ効くし、対策はこの食材をいい感じに利用するレシピでも使わないと食わせにくいくらいに変な味をしているのと、効果が出るのが大体二口目くらいからだから一口でその味を察知出来ればなんとか回避可能なことってくらいだからなぁ………
ただ、効能の後出し的な打ち消し方を言わされたのは痛い。
効能が本当にあるのかと聞かれて煽られたからって食うんじゃなかった………この食材について詳しい奴でも中々知らない打ち消し方まで吐かされちゃったんだよなぁ。
実は食わせた後本来は捨てる根っこの方を磨り潰して飲ませると数分で効能が消えるんだよ………あぁ、本当に言いたくなかった。

で、俺はそんな由の彼女ちゃんを味方に引き入れ、料理怪しいものの政策に取り掛かった訳だが………
なんと、味方に引き入れた彼女ちゃんが結構な料理上手で、俺の作る筈だった料理をさらに消化させてくれたんだよな。
効能はまぁ大して変わっちゃいないが味を良くして一口食ったらその勢いで何口も食べてしまう料理………自分で言っていても何が何だか分からないが、とにかくそんな料理になった。
そんであとはその料理を食わせてちょっと怒りを鎮めるだけだったんだよね。だから最後の仕上げに気合を入れまくりつつ、由に妻を起こさせに行ったのさ。

―――――

………んでもって、食事時。またの名を作戦決行の時。
俺が用意した料理に最初に手を付けたのは、由だった。
いやー、あれだよな。まさか俺が頑張って整備した位置取りを以てしても由の方が先に手を付けるとは。
ハッキリ言おう、微妙に失敗だ。
最悪の場合はぐらかしてから強引に食わせてしまうのが一番だが………面倒くさいことになったな。
俺はこの状況をいかにして突破するかを考え始めることにした。

そしてすぐに意味がないことと悟った。
俺の料理(即効性)は由に対して効果を発揮しなかったのだ。今度こそ失敗だ。
なんてこったい。
………妻の方もこの料理が失敗してるのを理解したのか食べ始めるし。
あーあ、あの食材高かったのに。もったいないや。
まぁ幸いにして効果が出なければバレないから、別の方法で宥めれば良いや。
なぁに、これまで幾度となくマジなケンカと修羅場を経験してきた俺にはまだまだ手札はたくさん………
あれ?ちょっと待てなんか由の彼女ちゃんの隣で微妙に消しきれてない無表情もどきになっている人がいるような………

………あれ?効いてる?なんで?
このあとメチャクチャ混乱した。

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