TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~

シフォン

「なんだか複雑な気持ちでいっぱいです」

なんだろう、この複雑な気持ち。
俺は食事を取りながら、3つの微妙な問題に苛まれていた。
その3つとは………まず、さっきの媚薬の効果がどういうわけか俺にだけ働かなかったということ。
ちょっと俺に効かなかったから、匂いだけ偽装した偽物を掴まされて男たちが使ってたんじゃないかと思っていたところに、ステラがドジって顔面にそれが直撃したんだ。
で、どうなったと思うよ?まぁ答えは簡単だから安心しな。

なんと………ステラには何故かちゃんと作用したのですよ!
もちろん口に入ってしまったとかの可能性もあるが、しかしそれでもステラはマスクをしてたんだしなぁ………口に入った可能性は相当に低いだろう。
それはそれとして、触れるだけでヤバい媚薬なんて用意するなよ男ども………俺は効かないっぽいから良いけど。相手が俺じゃなかったら色々事件になってたかもしれないだろう。
ちなみにステラは現在どこへとは言いませんが隔離中です。場所を言わないのは、亮太の精神衛生のためだ。いつもならここで教えて精神ダメージを与えてやるところだが、今日だけは優しくしてやるとしようじゃないか。
まぁ、この媚薬の件については俺自身に大した被害はなかったし、男たちを許してやってもいいだろう。
ただそれによって発覚した俺の謎能力的なアレについて俺は許さない、神を。
倒置法を使って表現してみたが、とにかくこの件のせいで判明したんだ。俺の体はどうやら………『オートカウンター』みたいな能力があるってことを!

………あ、厨二病か。って思ったやつ居るだろ。まぁ構わないけど。
これにはちゃんと説明できる理由があるからな。
まず、昨日のテニスで俺が打った謎のやたら強いショット。最初はなんらかの偶然として適当に納得してたが、それだけじゃなく今日の彫刻刀ダーツ避けも明らかに俺のスペックを大幅に超越してた。
しかも極めつけに………あ、この説明で俺を苛む問題は2つ目まで解決だな。
1つ目である媚薬が効かない問題は俺のオートカウンター的なものが働いたか、俺の体質がそういうのを受け付けなかったと考えるのが妥当だろうよ。まぁそこは俺が元男であるってのも候補に挙がるけどさ。
そしてもう1つの、2つ目の問題は簡単だ。
それは今日のスカウトストーカーさんたちとの攻防なんだが………俺が逃げ切れたんだけどさ、その時に『あれ?俺こんなに足速かったっけ』って思ってそれが微妙に頭に残ってたんだが、それも恐らくこのオートカウンター的な………いや、流石に無理があるなこれ。

流石に応用範囲広すぎるよな。そうだアレは本当に俺の火事場の馬鹿力だ。
物理的あるいは深刻な被害を受けるわけじゃない………いや、受けるか。あの時さっきまで家の前にいた男たちも居たしね。
じゃあこれで2つまでは解決だな。えがったえがった。
じゃあ最後の問題だ。
「亮太よ、俺今ものすごく卵料理を作ったことを後悔しているんだが」
「言うなよ兄貴………俺も辛くなってくるから」
それは本日の飯が卵料理だということ。あんな事件のあとだから微妙に食欲が湧かないんだ。卵限定で。
しかし今日亮太が買ってきた卵のいくつかにヒビが入ってたから今日中に使わなきゃならないって問題もあるから………ぬう。なんて最悪の問題だ。

感情は食うなというが本能は食っとけと言う。
どちらも理性で抑えるられるようなパーフェクトアンサーを出せるほど俺の理性は矛盾した問題に対する回答を出す能力は高くない。
だからこうしようと思うんだ。無の境地を目指して、そこに至ってから………
腹減った!無理だ食おう!
しかし、俺の地味に成長期ではあると思われるボディは、無の境地へ至るまで我慢が出来なかった。
よくよく考えれば今日は運動(ただし転ぶと色々と大変なことになる)したからな。
そりゃ腹が減るってもんだ。
………なら、迷うことは無い。とりあえず腹が減ったこと以外の余計な記憶は頭から消し去って、急いで食おう。少なくとも腹だけは満たせるだろうからな。

………ところで亮太、お前は最大の被害者のはずなのに地味にモリモリと(いつもよりは少ないが、それでも俺からすれば驚異的な量である)食ってんだよ俺の心配とかその辺を倍で返せ。

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