TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~

シフォン

「兄弟姉妹の仲が悪いことが多いのは神人共通」

「………今更聞くのも難だけどさ、そういやなんで兄貴はそこの神様の双子の姉?と仲良くなってるんだ?」
今更だな本当に。お兄ちゃんお前がそれを聞くのを今か今かと待ちわびていたぜ。
まぁ、ここは俺から話すとしよう………主に話すときのバランスのために。
ここで神の双子の姉に話させたら俺の兄としてのただでさえ少なくてゼロ寸前の威厳が完全に消えてしまうよ。
彼女もそれを察したのか黙っていることだし遠慮なくやらせてもらうとしよう。
「話してもそう長くはならん………ただちょっと複雑になるが、構わないな?」
「おう」
それじゃ話していくとしよう。
ついさっき、亮太が気絶している間に知ったその話を。
………まぁ、さっき話した時の回想になるが、そこは気にしないでくれよ。流石に俺じゃ知らない光景を回想することはできないんだわ。

―――――

俺と神の双子の姉は、最初はものすごくギスギスしたふいんき(何故か変換できない)だった。
だけどある話題で盛り上がり始めて、そこからすぐに打ち解けたんだ。
その話題は何だと思う?

そう、お互いの家族の話題だよ。
「いやー、あの子が強引にやるせいで何度私が尻拭いに奔走したか………特にあの子に惚れて世界を壊しかけちゃった科学者は大変でしたよ」
「すげぇなその科学者、とも言いたいところだがむしろそれをたくさん止めてきたお前に驚くぜ」
まぁ最初は、俺の神様への恨み節というか愚痴を聞いてもらってて………気付けば二人ともアイツへの愚痴を垂れ流していた。
うん、今考えればこれが距離を縮めた第一歩だったのかもしれんな。ここで神様の親類とはいえ俺と同じくアイツの被害者だったってことを知ったからこそこの後仲良くなったんだと思う。
実のところこの会話に至るまでは多少の時間を要したのだが、そこはちょっとだけ割愛するとしよう。全部言ってたらキリがない。特に俺の台詞が長くて話すのがめんどうくさいしな。
別に、俺がほとんど覚えてないとかじゃないぞ。記憶力はそこまで高くないがさっきの会話くらいなら思い出せるさ。

それでな、この会話のあと、俺と神の双子の姉は、こんな話を始めたのさ。
「ハハハ………神も人も結局はあんま変わらないんだな………特に下の奴がやたらモテるのに上の方はなぜかモテないってところは」
「そうですね………というかなんでいつもたくさん救ってるのは私なのにあの子ばっかりモテるんでしょうねぇ………」
「「マジで呪いたい………」」
花の高校生がするには少し後ろ向きすぎるというか、やってるのが神な時点でちょっとだけ物騒な会話だと思うだろ?
でもこれだけ物騒な会話が、なぜかこの時は恐ろしく弾みまくったんだ。
普通の会話の弾み方じゃなくて、異常極まりない弾み方。
よく考えればやってることはいわゆるママ友会における会話みたいなそれに近かったのだが、別にそこは気にしないでくれ。どうせ誰も損はしないのだしね。

―――――

「これだけだな」
「短い!?回想に入ったと思ったら物凄く短い!?某生徒会の会話の量よりも短いだと!?」
諦めろよ亮太。現実はその某生徒会のようにたくさん会話があったりはしないんだ。俺が例外的にあまり話さない方だというのなら話は別だけどさ。
でもよ、回想なんて、要点を掻い摘んでやっちまえば数分も掛からないのが回想だぜ?だから今でも多くの場所で愛用されてるだろう、回想ってのは。
特に謎解き系において回想は必須だし、そこで長々とやるよりも要点だけにした方が都合がいい。そういうことだ。
あとは察しろ、良いな?だよ。
「まぁ諦めてください、亮太さん。そもそも私でもさっきの会話をあそこまでは覚えていませんよ?かなり凄い部類に入るんですから、アレは」
そしてナイスフォローだ神の双子の姉。これで亮太が追求しにくくなった。
あとで何か聞かれても、流石に忘れたで通せばどうにかできてしまうだろうからな。助かった。
もうさっき話したことを忘れかけているし、ギリギリで話してた感じになるよな………ふう、焦った。
俺は、こっそり胸を撫で下ろす。
「そうか?でもこの兄貴の事だからもうちょっと記憶の端々に間違いが、いやむしろ全体的に忘れてるものだと思ったんだけどな」
「おいテメェ表出ろや」
………が、胸の方を撫で下ろしたら今度は溜飲が上がってきた。
言葉を変えるとこうだな………イラッとした。
亮太の首根っこを掴み、玄関まで連れて行こうとする。怒りでちょっと体が軽いが、まぁ恩恵みたいなものとしてとらえるとしよう。
「えっ、ちょ………助けて神様の双子の姉の人!」
亮太が神の双子の姉に助けを求めるが、しかし俺は止まらない。
ハハハ、兄の怖さを思い知るがいい!
「あ、忘れてましたが私の名前はステラですから、神様の双子の姉と呼ばれてもなんのことかわかりませんねぇ」
………ちょっと待ってそれ俺も初耳なんだけど。
唐突に明かされた神の双子の姉の名前に、仲良くなったのにそういや名前を知らなかったなー。とか思いつつ、俺は亮太を家の前に連れ出すのであった。

コメント

  • えんぱ

    ふいんきじゃなくてふんいきではないですか?

    0
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