話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~

シフォン

「俺の異常は大抵の場合神様が悪い」

――――わけがわからないよ。どこかの淫獣はそういった。
しかし俺は今、その言葉の通り訳が分からない状況にある。それは運動音痴のはずの俺が………よりによって郁馬の狙いすました一撃を打ち返してしまったことだ。
おかしいよな。運動音痴がラケットを使う競技に限るとはいえ、武とやりあえる奴の一撃を防ぐなんて。
しかもいつもの俺ではなく、TSしてより運動能力が低くなった俺がだ。
さらにもっとおかしいのは、それがものすごく強烈な一撃だったこと。なにせ、どうあがいたところで俺なんかにそんな強烈なショットを放てるわけがないのだから。
だってそうだろう?弱くなったはずなのになぜかテニスのショットだけ強くなるとか現実的に考えておかしいよ。
「「「………」」」
そして、この状況がおかしくて訳が分からないということは俺を除いた三人が完全に沈黙モードに入っていることからも分かるだろう。
異常だなこりゃ。てーへんだてーへんだ。てーへんだったらてーへんだ。
そんなくだらないことをつい考えてしまうのも、俺自身ちょっとパニクっていることの証明になるだろう。
誰か良い感じに空気をぶっ壊してくれる人はいないかなぁ?
例えば井上とか、井上とか、井上とかね。
「おいお前らぁ!ボケっとすんなぁ!」
よし来たぞ井上。ちょうど良いところだ………しかし空気を読める井上とか信じられないね。現実に起きていることなのに一切現実感が湧かないとか流石井上だぜ。
だが俺の中の個人的信頼度ランキングは急上昇して第三………………十位くらいにはなったぞ。ちなみにこの順位は元々の順位がぶっちぎりで最下位だったことを考えればものすごく良くなったと思うぞ。改善どころか別人クラスだぞこれは。
まぁ、前に聞いた話じゃ井上には双子の兄あるいは弟はいないらしいし、よく似てる親戚もいないとか言ってたもんな。

一方この時、どうやら考え事をしていた俺のすぐ隣ではこんなことが起きていたそうな。
「なぁ、お前ら」
武が郁馬たち二人に話を振った。
「なんだ?さっきの突然覚醒したかのようなアレについてか?」
「イエス。つーかそれ以外に話題があるとでも?」
そしてその話題は、先ほど俺が打った訳の分からない一撃についてである。
まぁ仕方ないよな。異常そのものだったしさ。
「ちょっと気になってるんだけどな、さっきのやつ打った時の由の背後に変なのが………」
「心霊現象も物理でねじ伏せられるからと無視してそうなお前が珍しいな」
「酷いなお前………いくら俺でもあんだけヤバそうなのは無理だっての」
さて、この会話をのちに聞いた俺がツッコミを入れるのも何かと変かもしれないが、あえて言わせてもらいたい。
武、お前はそれほどでもなければ物理で幽霊を祓えてしまえるというのか!?

------

………俺が謎の魔球を打ってから数分。
俺の前では先ほどより数段激化したラリーが続いていた。
武が打った次の瞬間には郁馬が返し、郁馬の手前で沈む一撃すら武は難なく対応する。
しかし考えて欲しい。このやりとりは、郁馬が前衛で武が後衛という状況で行われているのだ。
武は、打たれるたびに前方に出て打ち返し、すぐに戻っていく。しかしまた打ち返されて、結局そのまま状況は膠着する。
ここは何かやった方が良かったりするのか?
………あぁそうだ。今俺は隙を少しでも減らそうと後ろに下がっているけれど、あえて前に出れば郁馬は後ろの方に打ってくるだろう。そうすればちょっとはマシになるに違いない。
俺は、郁馬が確実に後ろへ打ってくるのを承知で前に出た。
すると郁馬は予想を裏切り手前に………へなちょこすぎてネットに掠っているようなショットを打ってきた。
もしかして武が打ち返したときにネットに引っかかるのを狙ってたり?
あ、こら打つな武!

テニスは、また最初の状態に戻ってしまった。
どーすんだよこれ!

「TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く