ブラックリストハンター ~異世界ルールで警察はじめました~

チョーカー

神の領域

 『 転生者は二度目の死を恐れるだろうか?』

 問われたスタンは「えっ、それは一体……」と狼狽した。

 「いや、なんでもない。忘れてくれ」

 リョウマは、そう言ったが、自分の言葉が脳裏を駆け巡っていた。

 『転生者は二度目の死を恐れるだろうか?』

 なぜ、俺はそんな言葉を思いついた?
 一度目だろうが二度目だろうが、死に対する価値観は変わらない……はず。
 いや、生まれ変わり……
 戦争という自身では抗い切れない巨大な渦に巻き込まれた人間は、その価値観すら塗り替えられてしまうのか?
 いや、違う。俺の考えはそこではない。
 もっと事件にクリティカルな部分へ切り込む様な……

 ………………できるのか?
 まさか……覚えたのか?
 自分の意志で転生をする方法。
 二度目の再転生を……

 リョウマはスマホを手に取り、電話をかける。
 出た相手を確認する事もなく、怒鳴るような大声を出した。

 「すまない。被害者ユウトの転生前の戸籍を確認してくれ。大至急にだ」


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・

 不思議な空間。
 地面は白く、立ち上るモヤのようなもので足元は見えない。
 いや、足元だけではなく、視界も酷く悪い。
 そこを歩き、進むのはユウトだった。
 死んだはずの英雄。
 『不死身』の二つ名を持ち、『無敵』のチートアイテムを持つ彼ではあったが、医学的にも、生物学的にも、間違いなく死の判定を受けていた彼だ。
 ならば、彼は間違いなく死んでいるのだろう。
 すると、この道は天国……あるいは地獄への一本道だろうか?
 しかし、奇妙な事に彼は物怖じせず、むしろ懐かしがっている節すらある。

 やがて、空間が開けた。
 そこに1人の人間が立っていた。……いや、彼は人間ではない。

 白く、伸びた髭と髪。
 白い布を体に巻き付けるような衣服。
 手には杖を持つ老人。

 彼は神だった。

 髪は言った。

 「まさか、この場所へ再び足を踏み入れる者がいるとはのう」

 英雄は笑った。

 「私にとっては計画通りでした」

 「ほう」と神は眉を上げた。

 「ここに来るする方法は簡単です。貴方は私を含めた転生者達に、よくこう話していたそうですね。

 『お前の死は神であるワシにとっても予想外である』

 つまり、あなたの思考にエラーを生み出すのような死を―――
 予想外の死を向かえれば、おのずとこの場に辿りつけるという事じゃないですか?」

 「それを実際に試したと?自ら意志で?だとすれば、なんとも愚かしい事よ。ワシが3度目の生を与えると思うたか?」

 神の怒りを表すように突風がユウトに襲い掛かる。
 しかしユウトは一歩もその場から引かず―――

 「いえ、目的は転生ではありませんよ」
 「――――何ッッッ!?」

 ユウトは飛び上がった。 

 ―――神へ向けて

 

 

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