AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と大湖戦線 その09
あれから多くの魔物を倒しました。
位階の高い、『王』や『帝』を冠する支配者系の魔物も現れましたが、どうにか討伐に成功します。
シガン、そしてわたしの固有スキルでごり押し……といった感じでしたが。
時間を超えた斬撃、そして何度でも蘇えるゾンビアタックです。
「……クラーレ、大丈夫?」
「ええ、不思議と。メルとの特訓のお陰で、発動の際に起きる痛みはある程度気にならなくなりました」
痛みが無いわけではありませんが、それでも無視できるようになりました。
心配してくれるシガンにそう答えて、気配探知の作業に集中します。
「どう、動きは?」
「湖の中から動いていませんね。まさかとは思いましたが、やはり何かしています」
「……護衛もやらないでここに居るってことは、間違いなく何かあるわね」
空から魔物が墜落してきた際、なぜか共にメルの反応を感じました。
それからしばらく、メルの反応は湖の底から動いていません。
召喚をすれば来るでしょうが……その選択はなんだか、負けた気がします。
なのでわたしたちは魔物を倒しながら、メルの監視を行っていました。
「シガン、主戦場の状況は?」
「順調ね。だいぶ魔物を倒した結果、ついに魔族が姿を現したみたいよ」
「何か言っているとか、そういう話は?」
「…………あるみたいね。自分を殺したら後悔するとか、本当にここに居ていいのかとか言っているそうよ」
これはもう、確定ですね。
メルが湖に居る理由は、間違いなくその魔人が言う仕掛けがここに眠っているから。
そして、メルがそれに何かをしようとしている……取り除くなどのプラスな行いならばともかく、メルのことですからそうでない可能性もまだ残っています。
メルのことですので、それ自体で自由民の方々に被害が及ぶことは無いと思いますが。
しかし、死んでも蘇る祈念者ならば……と容赦なく何かしてくるかもしれませんね。
「何が起こると思いますか?」
「そうね……考えられることは大きく分けて二つ──魔物が出てくるか、物凄い魔法が発動するか、かしら? 前者は大量の魔物か強大な魔物が一体、後者ならメルの使う魔導みたいな魔法が一発ね」
「たしかに、ありそうなテンプレですね」
創作物でも、魔族が企むこととしてそれらが挙げられます。
間違いなく、成功すれば都に住まう方々に被害が出ます……防がないといけません。
「問題はそれが成功するか失敗するか、その鍵をメルが握っていることね。もしくは魔族の計画を、メルが何かに利用しようと企んでいる可能性があること。クラーレ、絶対に無いと言い切れる?」
「……できませんね。さっき考えましたが、メルのことですから悪用しないとは言い切れません。ただ、あくまで祈念者に限定してのものだと思いますが」
「それもそうね。その気になれば何でもできそうだけど、絶対にやっちゃいけない一線は分かっているもの」
メルにとって、それは生殺与奪。
触れるだけで何でも壊せる力があるからこそ、しっかりと考えて力を使っています。
わたしやシガンはそれができず、一時力に溺れてしまいました。
そう考えると、メルの力はメルが持っているからこその意味がありますね。
◆ □ ◆ □ ◆
しばらくして、メルの監視とは別に行っていた魔力探知に反応がありました。
それを伝えようとして、シガンがリーダー間のやり取りをしていることに気づきます。
「…………連絡が入ったわ。たった今、魔族が討伐されたようね。それも、最期にとっておきの捨て台詞を吐いて」
「はい、こっちでも水底に反応があります」
「もう遅い、間もなく厄災が目覚めると……どうかしら?」
「メルの反応は未だに中です。もしかしたら何か、別のことをしているかもしれません」
ナニカが湖の中から出てくる、間違いなくメルが関わっています。
……いえ、あえて関わらなかったから、魔物が出てくるという可能性もありますね。
中に居たのは阻止するためではなく、他に目的があったから。
それを聞き出すことはできませんが……何かとんでもないことな気がしますね。
「みんな、戦闘準備よ! ノエル、クラーレと替わって情報収集。相手がどういう魔物なのかを調べて」
『了解!』
「5、4、3、2、1──来るわよ!」
ノエルのカウントダウン通り、湖から激しい飛沫が吹き上がると、その中から巨大な魔物が現れました。
そこから現れたのは──巨大な恐竜。
その中でも首長竜と呼ばれる、水中や水上で活動していたという種類です。
「名前は『狂邪真首長竜』! 推定レベルは240、弱点は雷属性!」
名前がいかにもと言うほど強そうで、水上に出た際の咆哮も強烈。
なるほど、たしかにこのレイドイベントの最後を飾るに相応しい魔物です。
シガンはすぐに、他のパーティーにこの場所と魔物の情報を伝えました。
彼らも駆けつけるようですが、その間はわたしたちでなんとかしませんと。
「メルはいったい、何を企んでいるのでしょうか……」
「さぁ。きっと、誰かのためとか言ってやっているんでしょう」
「たしかに……そんな気がします」
とはいえ、今は戦闘に集中しなければいけません。
メルとの戦闘経験が、少しでも役に立てばいいのですが。
「AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
201
-
2,400
-
-
1,391
-
1,159
-
-
1,798
-
1.8万
-
-
270
-
1,477
-
-
408
-
439
-
-
59
-
430
-
-
2.1万
-
7万
-
-
115
-
580
-
-
176
-
61
-
-
83
-
2,915
-
-
432
-
947
-
-
4,126
-
4,981
-
-
86
-
893
-
-
572
-
729
-
-
2,534
-
6,825
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
450
-
727
-
-
756
-
1,734
-
-
66
-
22
-
-
1,658
-
2,771
-
-
5,039
-
1万
-
-
2,178
-
7,299
-
-
147
-
215
-
-
428
-
2,018
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
2,799
-
1万
-
-
1,059
-
2,525
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
3,152
-
3,387
-
-
164
-
253
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
614
-
221
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
614
-
1,144
-
-
1,295
-
1,425
-
-
6,675
-
6,971
-
-
1,000
-
1,512
-
-
265
-
1,847
-
-
29
-
52
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
116
-
17
-
-
86
-
288
-
-
14
-
8
-
-
65
-
390
-
-
398
-
3,087
-
-
76
-
153
-
-
47
-
515
-
-
10
-
46
-
-
218
-
165
-
-
1,863
-
1,560
-
-
187
-
610
-
-
6
-
45
-
-
62
-
89
-
-
104
-
158
-
-
108
-
364
-
-
23
-
3
-
-
2,951
-
4,405
-
-
4
-
1
-
-
89
-
139
-
-
71
-
63
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
42
-
14
-
-
215
-
969
-
-
213
-
937
-
-
62
-
89
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
33
-
48
-
-
27
-
2
-
-
4
-
4
-
-
3,548
-
5,228
「SF」の人気作品
-
-
1,798
-
1.8万
-
-
1,274
-
1.2万
-
-
477
-
3,004
-
-
452
-
98
-
-
432
-
947
-
-
432
-
816
-
-
415
-
688
-
-
369
-
994
-
-
362
-
192
コメント