AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と夢現祭り三日目 その02
連続更新となります(02/12)
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選出された十六人の選手たち。
彼らが同時に戦いを始め、最後に勝ち残った者が優勝となる今回の催し。
今は選手入場や一人ひとりの紹介、予選での動きなどを説明している。
だが……俺は俯瞰してそれらを把握しているので、観なくてもいいだろう。
「チャル、シュリュ、ソウ、アルカ……ここら辺は勝ち残って当然って感じだな。というか、眷属は出たら確実に枠を取るんだから、特別枠とかで誤魔化せばよかった」
「そんなことしたら、いろいろと揉めるに決まってるじゃん。女だから体を売ったんじゃないか? げっへっへ、それなら俺にもヤらせてくれよ……みたいな感じで」
「……フィレル、どうなってる?」
「申し訳ありません、旦那様。今度、この娘の部屋を調べてみますね」
なんでさ!? と驚いているようだが、さすがにこれはな……と俺も分かっている。
いやまあ、俺としては別にアイリスにそういう癖があっても構わないのだが。
見届け役で教育係でもあるフィレルとしては、彼女には健全に育ってもらいたい。
なので息子に接する母親のように、そういう資料は没収していくのだ。
……俺はほら、何でも記憶できるからさ。
それに、そもそも{感情}の影響で欲情とかはしないし、仮にしたとしたら、それはそれでチャンスと狙ってくる奴がいるからな。
「まあまあ、とりあえずそれは後回しってことで……預かっといてやるからさ」
「メルスぅ……って、ワタシを売ったのはメルスだよね? そんなマッチポンプで好感度上げをしようとしたって、そうは問屋が卸さないからね」
「よく知ってるな……悪い、それは俺が預かるってことで手を打ってくれ。ほら、それよりフィレルが買ってきてくれた物を食べようじゃないか」
「旦那様、それは……いえ、それで解決していたら苦労しておりませんね。はい、そちらの方は旦那様にお任せしましょう」
男としてまったく信じてもらえない、そんな残念野郎ことメルスです。
……下世話な話、ヤろうと思えばいつでも準備はできるけどな。
話は戻して、アイリスの資料は俺が預かることに……うん、たった今である。
「はい、これ。大切にしてね」
「……祈念者め。ちゃんとバザーの方を取り締まればよかった」
「ああ、無理だと思うよ。表向きは別の物を売って、合言葉を[掲示板]を使って用意していたみたいだから。メルスの俯瞰視点も、被せておけば観れないもんね」
「反省点をありがとな!」
ちなみに内容の方だが、これといって特別な物ではない。
合法なのか分からないコピペ作品、同人の雑誌などである。
もともと媚薬などは販売しないよう、禁制品の設定はしてあった。
子供たちが来る店に、そんな如何わしい物など入れてはいけない。
だが、まさか本で来るとはな……ラノベレベルならと、俺が無意識で承諾していたのが原因なんだろうな。
「……はぁ、自己責任だな。次という意味でも、国民たちに開く祭りという意味でも、無いとは思うけど気にしておくよ」
「ちぇー、せっかく売ろうと思ってたのに」
「……アイリス?」
「は、はい! マム、同人販売会は止めることにします、マム!」
ちなみに、サーは男用だ。
どちらも省略形なので、本来の意味を考えて間違えないようにしよう。
◆ □ ◆ □ ◆
しばらくお説教をする時間があったが、試合開始には間に合った。
バトルロイヤルが始まったところ、いきなり舞台の至る所が爆発する。
≪おーっと! ここで、アルカ選手の魔法が炸裂しました! 資料によると、【賢者】の職業能力による合成魔法ですね。それらを同時に起動し、参加者全員を襲いました……どうですか、アン様≫
≪彼女の使用している武具もまた、かなり優れているようですね。さすがは祈念者たちのトップクランでも、もっとも優れた魔法使いですね≫
実況と解説が、その状況を分かりやすく説明していた。
実況の方は眷属に上手くできる者が居ないので、鬼人族の国民に頼んでいる。
彼女とアンの言う通り、初手からぶっ放してきたアルカ。
握り締めた杖型の武具は、俺が渡した無限に成長する卵が孵化した物。
……うん、いつの間にやら神器まで昇華しているじゃないか。
どこまで強い想いを籠めて、どれだけ膨大な経験を注いできたのやら。
「うわー、魔法少女でもあそこまで凄いのはいないと思うけど。むしろ……魔女寄り?」
「あの作品が終わってからだが、魔法少女の状態で魔女の力が使えるってシステムも導入されたんだぞ。だから、どっちでもOK」
「……ちょっと気になるんだけど。メルス、ここに何か観れるもの無いの?」
「あとで用意しておくよ。それよりも今は、試合観戦に集中しよう」
魔法によって生じた煙幕も、やがて次第に収まっていく。
その間も戦いがあったかと思えば、全員がその場に残っていた。
≪これは……どういうことでしょうか? 誰も定位置から動いておりません!≫
≪ここまで勝ち残った彼らには、必ず勝敗を決するための切り札があります。隙を突いてそれで勝てる、というほど甘くない以上、無駄な行動は避けたいのです≫
≪なるほど……つまり、戦いはこれからだということですね!≫
≪そうなります。そして、真っ先に狙われるのは──≫
魔力を大量に消費したアルカである。
ここからがバトルロイヤル本番、果たして勝つのは誰になるのやら。
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選出された十六人の選手たち。
彼らが同時に戦いを始め、最後に勝ち残った者が優勝となる今回の催し。
今は選手入場や一人ひとりの紹介、予選での動きなどを説明している。
だが……俺は俯瞰してそれらを把握しているので、観なくてもいいだろう。
「チャル、シュリュ、ソウ、アルカ……ここら辺は勝ち残って当然って感じだな。というか、眷属は出たら確実に枠を取るんだから、特別枠とかで誤魔化せばよかった」
「そんなことしたら、いろいろと揉めるに決まってるじゃん。女だから体を売ったんじゃないか? げっへっへ、それなら俺にもヤらせてくれよ……みたいな感じで」
「……フィレル、どうなってる?」
「申し訳ありません、旦那様。今度、この娘の部屋を調べてみますね」
なんでさ!? と驚いているようだが、さすがにこれはな……と俺も分かっている。
いやまあ、俺としては別にアイリスにそういう癖があっても構わないのだが。
見届け役で教育係でもあるフィレルとしては、彼女には健全に育ってもらいたい。
なので息子に接する母親のように、そういう資料は没収していくのだ。
……俺はほら、何でも記憶できるからさ。
それに、そもそも{感情}の影響で欲情とかはしないし、仮にしたとしたら、それはそれでチャンスと狙ってくる奴がいるからな。
「まあまあ、とりあえずそれは後回しってことで……預かっといてやるからさ」
「メルスぅ……って、ワタシを売ったのはメルスだよね? そんなマッチポンプで好感度上げをしようとしたって、そうは問屋が卸さないからね」
「よく知ってるな……悪い、それは俺が預かるってことで手を打ってくれ。ほら、それよりフィレルが買ってきてくれた物を食べようじゃないか」
「旦那様、それは……いえ、それで解決していたら苦労しておりませんね。はい、そちらの方は旦那様にお任せしましょう」
男としてまったく信じてもらえない、そんな残念野郎ことメルスです。
……下世話な話、ヤろうと思えばいつでも準備はできるけどな。
話は戻して、アイリスの資料は俺が預かることに……うん、たった今である。
「はい、これ。大切にしてね」
「……祈念者め。ちゃんとバザーの方を取り締まればよかった」
「ああ、無理だと思うよ。表向きは別の物を売って、合言葉を[掲示板]を使って用意していたみたいだから。メルスの俯瞰視点も、被せておけば観れないもんね」
「反省点をありがとな!」
ちなみに内容の方だが、これといって特別な物ではない。
合法なのか分からないコピペ作品、同人の雑誌などである。
もともと媚薬などは販売しないよう、禁制品の設定はしてあった。
子供たちが来る店に、そんな如何わしい物など入れてはいけない。
だが、まさか本で来るとはな……ラノベレベルならと、俺が無意識で承諾していたのが原因なんだろうな。
「……はぁ、自己責任だな。次という意味でも、国民たちに開く祭りという意味でも、無いとは思うけど気にしておくよ」
「ちぇー、せっかく売ろうと思ってたのに」
「……アイリス?」
「は、はい! マム、同人販売会は止めることにします、マム!」
ちなみに、サーは男用だ。
どちらも省略形なので、本来の意味を考えて間違えないようにしよう。
◆ □ ◆ □ ◆
しばらくお説教をする時間があったが、試合開始には間に合った。
バトルロイヤルが始まったところ、いきなり舞台の至る所が爆発する。
≪おーっと! ここで、アルカ選手の魔法が炸裂しました! 資料によると、【賢者】の職業能力による合成魔法ですね。それらを同時に起動し、参加者全員を襲いました……どうですか、アン様≫
≪彼女の使用している武具もまた、かなり優れているようですね。さすがは祈念者たちのトップクランでも、もっとも優れた魔法使いですね≫
実況と解説が、その状況を分かりやすく説明していた。
実況の方は眷属に上手くできる者が居ないので、鬼人族の国民に頼んでいる。
彼女とアンの言う通り、初手からぶっ放してきたアルカ。
握り締めた杖型の武具は、俺が渡した無限に成長する卵が孵化した物。
……うん、いつの間にやら神器まで昇華しているじゃないか。
どこまで強い想いを籠めて、どれだけ膨大な経験を注いできたのやら。
「うわー、魔法少女でもあそこまで凄いのはいないと思うけど。むしろ……魔女寄り?」
「あの作品が終わってからだが、魔法少女の状態で魔女の力が使えるってシステムも導入されたんだぞ。だから、どっちでもOK」
「……ちょっと気になるんだけど。メルス、ここに何か観れるもの無いの?」
「あとで用意しておくよ。それよりも今は、試合観戦に集中しよう」
魔法によって生じた煙幕も、やがて次第に収まっていく。
その間も戦いがあったかと思えば、全員がその場に残っていた。
≪これは……どういうことでしょうか? 誰も定位置から動いておりません!≫
≪ここまで勝ち残った彼らには、必ず勝敗を決するための切り札があります。隙を突いてそれで勝てる、というほど甘くない以上、無駄な行動は避けたいのです≫
≪なるほど……つまり、戦いはこれからだということですね!≫
≪そうなります。そして、真っ先に狙われるのは──≫
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