AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と攻城戦終篇 その04
≪れいじとなりましたので──じゅうにかいめのこうじょうせんかいしです≫
GM06ことリウ曰く、この攻城戦が通常のものとしては最後となるんだとか。
なので悔いが残らないよう、人々は行動する──最後だからこその大胆な行動などで。
「まったく、迷惑極まりないとはこのことだな……突っ込んでくれる相手がいないから、無性に寂しくなるな」
アンも帰ってしまい、現在俺は独りで占領した場所を守護している。
そういう事情は祈念者の眷属にも説明してあるので、報復しないでとお願いはしたぞ。
「なのに、アルカだけは止められないとか言いやがったぞ……来たら俺、間違いなく殺されることになるな」
烈火の如き【憤怒】の少女は、俺への殺意が尋常ではない。
何かしらの策は講じなければならないのだろうが……俺が使えるのは魔本のみ。
「[魔術の書]──“魔放威圧”」
少しでも速度を遅らせるため、魔力を飛ばして牽制を行う。
どうせアルカは俺の居場所を分かっているので、割り切ったやり方だ。
たとえ位階が13、たとえるなら魔王の配下レベルの存在だろうと、俺の魔力量の異常さならば時間を稼ぐことができる。
「[英霊の書]──全員、お願いします」
黒い魔本から移した過去の英傑、そして死者の都に居た亡霊たち。
彼らのうち、魂魄複製を快諾してくれた者たちをこの場に再現して顕現させる。
言葉を発することのない彼らだが、生前というか消失前の思考パターンを宿しているため、かつての行動そのものを実行可能だ。
そんな英霊たちを大量に呼び込み、魔物たちと戦ってもらう。
黒と白の魔本同様に、支援魔法を施せば全員に強化が行えるんだよな。
「[魔法の書]──“霊呪属性激強”」
英霊とはすなわち死者、だいぶ前に死霊術師プレイをしたときに使った魔法によって強化することが可能だ。
ついでに唱えられるだけ支援魔法を施しておけば、あとは任せておくことができる。
消費する魔力だけが問題だが……最上級のスキルの一つ、[永劫回路]を使うことに。
それがあれば、消費する身力値に関する悩みはすべて解決する。
有り余る魔力を供給しつつ、[夢現の書]から必要な断章を展開していく。
「[屍魂の書]──『呪動器』」
呪いに浸食された武具を無数に取り出し、魔物たちに向けて射出する。
最初に呼んでおいた精霊、そして英霊たちと共に魔物を屠っていく。
時間を掛ければ、いずれは防衛に成功していただろう。
しかし、そんな未来が訪れないことは俺もなんとなく察していた。
それを証明するように、遠くの空から一筋の光が凄まじい勢いで飛んでくる。
展開される魔法の反応を感知し、すぐさま処理に動く。
「スライム、来い──“失消”!」
無属性の上級精霊である無粘喰体を手元に呼び、魔法を協力して行使した。
すべての魔法の座標を把握し、発動した魔法をぶつける──強制的に魔法を消し去る。
「ッ! まだダメか……あくまで散らしただけだから、理論上は再構成することもできるが……やっぱり異常だな──“消魔”」
先ほどの魔法が魔法を失敗させるための魔法なら、今度の魔法は魔力を魔法にさせない魔法だ。
緊急だったので前者を使ったうえで、後者で完全に止める。
ただし、それは一部の魔法のみ……残した魔法は発動し──魔物たちを殲滅していく。
「助かったよ、アルカ」
「……別に、あんたを殺すついでよついで」
「それでも、俺は救われた……ありがとう」
「ば、バカ言ってんじゃないわよ! くっ、さっさと死になさい!」
俺の感謝は挑発と取られたようで、激高した彼女は大量の魔法を発動する。
すぐに“消魔”で対処しようとしたが、対策済みのようで発動しない。
どうしたものかと悩む暇もないので、飛来する魔法に“魔力線”を行使。
そこから魔法をハッキング、座標を改竄したのちにアルカに返す。
ほんの一瞬、俺に向けられた意識は自身の放った魔法へ向く。
その間に、俺は時間を有意義に使って更なる時間稼ぎを実行する。
「“栞”──[探求の書]。次は……そうだな、[傀児の書]──『煉獄傀児』」
「何よそれ……『凍える白雷』!」
「うんうん、凄まじい勢いで書き込まれていくな──『凍える白雷』っと」
「チッ、解析用の魔本まであるのね」
探求するのだから、当然だろうに。
相手の技を学習し、己が者として取り入れるための魔本である。
この魔法に関しては、アルカが前に訪れた時から解析しているので使用できた。
しかし、解析スキルを使えない今の俺の場合、そのすべてを魔本に委ねればならない。
……そう、負荷が今は掛かっているため、あまりすぐには模倣できないのではったりで誤魔化しております。
いちおう、支援魔法を掛けている最中に自分にも“並速思考”、[魔術の書]から“構造解析”や“過程演算”を施してはいるんだけどな。
「魔物の処理をしながらでいいなら、俺もお前との戦いに応えてやるぞ。もちろん、縛り付きの状態で」
「まずはその状態のあんたを倒す。次に全力のあんたを潰して、最後に眷属の力も使っているあんたを殺す。それで私の勝利よ」
「まあ、何度だってその挑戦を受けてやろうじゃないか。かかって来いよ、眷属」
「望むところよ、ごしゅ……な、なんてこと言わせようとしたのよ!」
あらら、残念バレちゃった。
せっかく録音してたのに……仕方ない、勝利後に聞かせてもらおうかな。
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