AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と攻城戦後篇 その10
連続更新となります(04/12)
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対人戦(一方的殲滅)が終わり、再び時間が空いてしまった。
先ほどの火力には驚いたが、まあ開戦の狼煙にはよかったのかと自分を納得させる。
眷属たちも、隠密行動から戦闘を始めたと念話で連絡が入った。
それと同じくらい、クレームも来ているのだが……そっちは無視している。
「ついでに言うと、念話で座標を特定しようとしているな」
「じゃが、無視はしても妨害はしていないのじゃろう?」
「眷属を活躍させたいから、俺の居場所は分かるようにしておきたかったんだよ。居もしない存在に警戒してもらうよりは、堂々と待機していた方がいいだろう?」
「なるほどのう、主様なりに考えての行動であったか。てっきり儂は、主様が儂との逢瀬に邪魔が入らぬよう配慮してくれているじゃと思っておったわ」
そもそもが監視目的なので、あまり眷属の祈念者たちと戦わせるつもりはなかった。
たとえるならソウは、徘徊するラスボスのようなものだし……投入する気はない。
「縛り中の俺はともかく、お前は完全にアウトだ。どれだけ力を抑制しても、まったく抑え切れないからな……魔物は魔法陣ごと木っ端微塵だし、外部の侵入者もしばらくは来ない。本当にやることが無くなったな」
「では、どうするのかのう?」
「なあソウ、自衛以外で暴れないって誓えるか? それなら考えがあるんだが」
「ひどいのう、主様。何度も言っておるではないか、儂の目的は主様との逢瀬。闘争など最初から望んでおらぬ……むしろ、この指輪のように、愛の鞭さえあれば……」
ソウの指輪には強制的な人化、それに加えて人並みの感覚をもたらすスキルが刻まれている……要するに、縛りプレイだな。
力そのものは束縛できなかったものの、身体能力などは人の範疇に抑え込めている。
素の状態では、ということであって、少しでも身力を使えば上限突破するけど。
「じゃあ、とりあえずOKってことでいいんだな? はいはい、じゃあそういうことで」
「うぅっ、やはり主様はどのような態度であろうとも、儂に甘美な感覚を……」
「眷属の場所、あと向こう側の戦力がぶつかる場所はっと……ここか──“空間移動”」
長距離の転移は禁止されているが、この魔法はあくまで視界内に移動先を限定した単距離転移用の魔法。
ただし、工夫すれば距離を伸ばせる。
ちょうど身体系スキルが使えるので、今回の場合は視覚を強化しただけだな。
ソウの力も礼装を使って借りられている以上、映し出される光景もより鮮明となる。
竜族の瞳がすべてを把握し、短距離転移は疑似的に長距離転移を可能とした。
──ギリギリ、ズルじゃないんですよ?
◆ □ ◆ □ ◆
「見て思ったが、ここにはちゃんと傭兵が居るんだよな。やっぱり、美少女だらけってだけでも価値を見出せるんだよな」
「主様も儂らの存在を公表すれば、その程度容易いと思うぞ」
「……まあ、さらっと自分を含んだことに異論はないけど。別に祈念者の助力が必要というわけじゃないし、何よりお前らを見世物にしたくはない。それに……手を出したとき、間違いなく相手が死ぬから」
一番の理由は【強欲】ではあるが、俺にもいちおう<美徳>の精神が宿っているのだ。
ちゃんと相手のことを考えて、思いやることぐらいできる。
「さて、眼下では戦いが始まっている。やっぱりというかなんというか、一方的な感じになっているな」
「眷属となっている者であればともかく、ただの人に主様の寵愛を受けた者を止めることなど不可能じゃろうに」
「寵愛って……まあ、礼装がそうだし諦めるか。けど、相手が相手だしな。これぐらいの差は当然なわけで」
龍の翼をはためかせ、上空から戦況を把握する俺とソウ。
その下で機人の二人組が大量の祈念者を相手に、一歩も引かず逆に押し通っている。
「チャルとアン、結構相性もよくやってくれているみたいだな」
「一通り、眷属同士で何ができるかは確かめておるからのう。あの二人の場合、機人としての機構が上手く働いておる」
「燃費もよく、いろんな情報を共有できる。それだけでも有利になるのか。たった二人、それど上位種だからなー」
魔導の機人と神性を持った機人。
前者は拳で目の前に現れたすべてを打ち砕き、後者は魔術を振るい周囲を翻弄する。
おまけに、隙は機構が作動して補ってくれるので最低限のフォローだけで充分。
ひたすらクリスタルを目指し、まっすぐ進むだけでイイときた。
「まあ、コンビネーションとかそういうものより……単純に、戦闘狂を抑えられる人材が送り込まれたみたいだ」
「儂も昔は、何度も挑まれたのう。拳術をモノにした以上、今は主様から悦楽を頂くことに注力しておるが」
「……そんなことに力を注ぐなよ。でも、超近接戦闘なら、チャルが一番だよな」
俺はフーこと『反理の籠手』の補正で、相手を殺さないという条件を呑めば拳だけでかなり無双することができる。
それでも、スキルをなぞって再現しているだけの俺だとなかなか勝てない。
チャルは機人、性格が戦闘狂であろうと冷静沈着に戦うことができる。
「ここには……あっちの眷属は来ないみたいだな。視界に納めないといけない以上、特定が難しいな」
「慌てずとも、一つひとつ巡っていけばよいではないか」
「それもそうだけどな……よし、また一つ捕捉した。行くぞ、ソウ」
再び“空間移動”を起動して、俺たちは居場所を変更するのだった。
……アルカに見つかる前に、全部巡り終えなければ。
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対人戦(一方的殲滅)が終わり、再び時間が空いてしまった。
先ほどの火力には驚いたが、まあ開戦の狼煙にはよかったのかと自分を納得させる。
眷属たちも、隠密行動から戦闘を始めたと念話で連絡が入った。
それと同じくらい、クレームも来ているのだが……そっちは無視している。
「ついでに言うと、念話で座標を特定しようとしているな」
「じゃが、無視はしても妨害はしていないのじゃろう?」
「眷属を活躍させたいから、俺の居場所は分かるようにしておきたかったんだよ。居もしない存在に警戒してもらうよりは、堂々と待機していた方がいいだろう?」
「なるほどのう、主様なりに考えての行動であったか。てっきり儂は、主様が儂との逢瀬に邪魔が入らぬよう配慮してくれているじゃと思っておったわ」
そもそもが監視目的なので、あまり眷属の祈念者たちと戦わせるつもりはなかった。
たとえるならソウは、徘徊するラスボスのようなものだし……投入する気はない。
「縛り中の俺はともかく、お前は完全にアウトだ。どれだけ力を抑制しても、まったく抑え切れないからな……魔物は魔法陣ごと木っ端微塵だし、外部の侵入者もしばらくは来ない。本当にやることが無くなったな」
「では、どうするのかのう?」
「なあソウ、自衛以外で暴れないって誓えるか? それなら考えがあるんだが」
「ひどいのう、主様。何度も言っておるではないか、儂の目的は主様との逢瀬。闘争など最初から望んでおらぬ……むしろ、この指輪のように、愛の鞭さえあれば……」
ソウの指輪には強制的な人化、それに加えて人並みの感覚をもたらすスキルが刻まれている……要するに、縛りプレイだな。
力そのものは束縛できなかったものの、身体能力などは人の範疇に抑え込めている。
素の状態では、ということであって、少しでも身力を使えば上限突破するけど。
「じゃあ、とりあえずOKってことでいいんだな? はいはい、じゃあそういうことで」
「うぅっ、やはり主様はどのような態度であろうとも、儂に甘美な感覚を……」
「眷属の場所、あと向こう側の戦力がぶつかる場所はっと……ここか──“空間移動”」
長距離の転移は禁止されているが、この魔法はあくまで視界内に移動先を限定した単距離転移用の魔法。
ただし、工夫すれば距離を伸ばせる。
ちょうど身体系スキルが使えるので、今回の場合は視覚を強化しただけだな。
ソウの力も礼装を使って借りられている以上、映し出される光景もより鮮明となる。
竜族の瞳がすべてを把握し、短距離転移は疑似的に長距離転移を可能とした。
──ギリギリ、ズルじゃないんですよ?
◆ □ ◆ □ ◆
「見て思ったが、ここにはちゃんと傭兵が居るんだよな。やっぱり、美少女だらけってだけでも価値を見出せるんだよな」
「主様も儂らの存在を公表すれば、その程度容易いと思うぞ」
「……まあ、さらっと自分を含んだことに異論はないけど。別に祈念者の助力が必要というわけじゃないし、何よりお前らを見世物にしたくはない。それに……手を出したとき、間違いなく相手が死ぬから」
一番の理由は【強欲】ではあるが、俺にもいちおう<美徳>の精神が宿っているのだ。
ちゃんと相手のことを考えて、思いやることぐらいできる。
「さて、眼下では戦いが始まっている。やっぱりというかなんというか、一方的な感じになっているな」
「眷属となっている者であればともかく、ただの人に主様の寵愛を受けた者を止めることなど不可能じゃろうに」
「寵愛って……まあ、礼装がそうだし諦めるか。けど、相手が相手だしな。これぐらいの差は当然なわけで」
龍の翼をはためかせ、上空から戦況を把握する俺とソウ。
その下で機人の二人組が大量の祈念者を相手に、一歩も引かず逆に押し通っている。
「チャルとアン、結構相性もよくやってくれているみたいだな」
「一通り、眷属同士で何ができるかは確かめておるからのう。あの二人の場合、機人としての機構が上手く働いておる」
「燃費もよく、いろんな情報を共有できる。それだけでも有利になるのか。たった二人、それど上位種だからなー」
魔導の機人と神性を持った機人。
前者は拳で目の前に現れたすべてを打ち砕き、後者は魔術を振るい周囲を翻弄する。
おまけに、隙は機構が作動して補ってくれるので最低限のフォローだけで充分。
ひたすらクリスタルを目指し、まっすぐ進むだけでイイときた。
「まあ、コンビネーションとかそういうものより……単純に、戦闘狂を抑えられる人材が送り込まれたみたいだ」
「儂も昔は、何度も挑まれたのう。拳術をモノにした以上、今は主様から悦楽を頂くことに注力しておるが」
「……そんなことに力を注ぐなよ。でも、超近接戦闘なら、チャルが一番だよな」
俺はフーこと『反理の籠手』の補正で、相手を殺さないという条件を呑めば拳だけでかなり無双することができる。
それでも、スキルをなぞって再現しているだけの俺だとなかなか勝てない。
チャルは機人、性格が戦闘狂であろうと冷静沈着に戦うことができる。
「ここには……あっちの眷属は来ないみたいだな。視界に納めないといけない以上、特定が難しいな」
「慌てずとも、一つひとつ巡っていけばよいではないか」
「それもそうだけどな……よし、また一つ捕捉した。行くぞ、ソウ」
再び“空間移動”を起動して、俺たちは居場所を変更するのだった。
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