AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と攻城戦後篇 その08
連続更新となります(02/12)
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≪しょうごとなりましたので──じゅういっかいめのこうじょうせんかいしです≫
攻城戦の時間となって、俺たちは祈念者の眷属たちが占領した領域を攻め始めた。
とっくにオブリが侵入しているので、向こう側は強化された能力値を慣らしている。
……そりゃあな、一人ひとりが異常な眷属の相手をしてもらうのだから、相応の力を一時的にではあるが身に着けてもらったのだ。
「──いいか、ソウ。俺とお前はいっしょに行動する。理由は分かるよな?」
「うむ、主様と儂は逢瀬を……」
「違う。お前がノリで世界を滅ぼさないように、監視するためだ。防衛側に回すこともできないから、いっそのことってことだな」
「なるほどのう。要は逢瀬を楽しめと……そういうことじゃな?」
まあ、戦闘に意識を向けられるよりはマシなんだろう。
シガンと生命最強決定戦で戦った時も、それなりに力を解放していたし。
今はそれをだいぶ抑制しているが、もしもの可能性が否めない……それがソウだ。
本人がその気で居てくれた方が、周りへの被害は少ないのかもしれない。
「お前がその方が我慢をできるなら、別に構わないぞ? ソウを一人で止められるなら、俺も覚悟の上だ」
「……さすがの儂も、そこまで犠牲染みた言われ方をすれば傷つくのじゃよ」
「分かってくれて何よりだ。確認するが、ソウは対人戦を進んでやりたいってわけじゃないんだよな?」
「うむ。もともと儂は、俗世での闘争が嫌で彼の地に居たのじゃから。今さらこの身が圧倒的差を失った、対等な闘いをできるというのであっても……刺激はされんのう」
ソウは俺が頼んだ時を除いて、比較的本来の姿に戻ることは少ない。
それこそが、彼女に与えた指輪の──束縛であり恩恵である。
というか、神がたまに加護をくれるような指輪でも無ければダメだった。
単純に能力値を抑えるだけだと、1あれば無双できる……それがコイツである。
「じゃあ、どうするか? 俺としては出会った相手にだけ対応すればいいと思うが」
「主様の望むままに。儂としては、想定しているのは逢瀬じゃからな」
「普通の経験が無いから、俺から何か言えることはないな。けど、それ以外ならとりあえず言えるぞ──魔物と人、どっちがいい?」
「ふむ……まずは魔物かのう?」
ソウの回答した方がいる場所に向けて、俺たちはさっそく移動を始める。
そこには無数の魔法陣が設置されており、大量の魔物たちが蔓延っていた。
「じゃあ、潰すぞ」
「うむ」
面倒臭いので、戦い方はシンプル──ひたすら体を動かすだけ。
俺の場合はスキルを駆使して、ソウの場合は……うん、ただの身体能力である。
「──“飛翔”、“剛筋”、“自重操作”、“軟体”、“衝撃吸収”、“身体強化”」
同じような使い方をしたスキルの大量起動による、超強化。
ただし、一つ目のスキルで分かるように、今回は空を飛んでの一撃を叩き付ける。
「魔物の質はうちと変わらないみたいだな。だいぶ頑張ったってことか」
「主様、切りがないのではないか? たしかに儂らが行うのであれば、いずれ駆逐できるのであろうが……」
「ああ、そろそろいいか。ついでだ、礼装を借りてもいいか?」
「うむ、構わぬよ」
本人の了承も取れたし、魂魄の力を借り受けることに。
礼装に意識を集中させると、魔力を巡らせて綴っていく──
「理より外れし古の龍。神をも超えし力を振るい、超越せし白銀の王者。明けない白夜の輝きを以って、並ぶ者なき暴虐の力を知らしめろ──“銀夜魂魄”」
礼装は白銀に輝く。
薄明の光を纏うそれは、ただひたすらに周囲から闇を取り払う。
──世界に夜の出番はない、白銀の輝きこそが中心であると知らしめるように。
「派手すぎるな、これ」
「失礼な。儂の鱗同様、実に見栄えする輝きだったではないか」
「……そこは否定しないけど。しかしまあ、俺の方も能力値を調整しないと体が大変なことになるぞ、これは」
すぐさま『神呪の指輪』の能力を用いて、自身の能力値を弱体化させる。
ちなみにそのまま動いていたら、辺りの地面には深刻な罅割れが生まれていただろう。
「して、この後はどうするのかのう?」
「魔法陣をぶっ壊してしまえ」
「了解じゃ」
追加で空間把握スキル、そして思考加速スキルを起動して走り出す。
縮地、俊足、健脚、脱兎、天駆スキルも同時に使えば、移動速度はさらに上がる。
「速度はそのままエネルギーに。龍の力で一気にぶっ壊す」
武技は使わない代わりとして、竜族である古龍のソウが使えるエネルギー『竜丹』を頼りに、魔法陣の破壊を試みた。
生命力、魔力、精気力を同時に練り上げたうえで心臓へ流し込む……のだが、今回は礼装へ注ぐことで代用する。
擬似的な心臓の役割も果たしてくれる礼装によって、纏う白銀の光が増大していく。
あとはそれを拳に纏い、超絶駆動で魔物たちを突破している俺が振るえば……。
「ふむ、さすがは主様。その程度のことは容易くやってのける」
「褒めても何も出ないぞ。ほら、次は対人戦用の相手を探しに行こうか」
「本気で言っておるぞ。普通の人族が使えば間違いなく、身体に支障を及ぼしていたじゃろうから」
「……使った後のケアは、ちゃんとやっているからな」
といった会話をしながら、俺たちはこの場から去っていく。
そこに残されたのは──地の底までポッカリと開いた、巨大な穴だけだ。
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≪しょうごとなりましたので──じゅういっかいめのこうじょうせんかいしです≫
攻城戦の時間となって、俺たちは祈念者の眷属たちが占領した領域を攻め始めた。
とっくにオブリが侵入しているので、向こう側は強化された能力値を慣らしている。
……そりゃあな、一人ひとりが異常な眷属の相手をしてもらうのだから、相応の力を一時的にではあるが身に着けてもらったのだ。
「──いいか、ソウ。俺とお前はいっしょに行動する。理由は分かるよな?」
「うむ、主様と儂は逢瀬を……」
「違う。お前がノリで世界を滅ぼさないように、監視するためだ。防衛側に回すこともできないから、いっそのことってことだな」
「なるほどのう。要は逢瀬を楽しめと……そういうことじゃな?」
まあ、戦闘に意識を向けられるよりはマシなんだろう。
シガンと生命最強決定戦で戦った時も、それなりに力を解放していたし。
今はそれをだいぶ抑制しているが、もしもの可能性が否めない……それがソウだ。
本人がその気で居てくれた方が、周りへの被害は少ないのかもしれない。
「お前がその方が我慢をできるなら、別に構わないぞ? ソウを一人で止められるなら、俺も覚悟の上だ」
「……さすがの儂も、そこまで犠牲染みた言われ方をすれば傷つくのじゃよ」
「分かってくれて何よりだ。確認するが、ソウは対人戦を進んでやりたいってわけじゃないんだよな?」
「うむ。もともと儂は、俗世での闘争が嫌で彼の地に居たのじゃから。今さらこの身が圧倒的差を失った、対等な闘いをできるというのであっても……刺激はされんのう」
ソウは俺が頼んだ時を除いて、比較的本来の姿に戻ることは少ない。
それこそが、彼女に与えた指輪の──束縛であり恩恵である。
というか、神がたまに加護をくれるような指輪でも無ければダメだった。
単純に能力値を抑えるだけだと、1あれば無双できる……それがコイツである。
「じゃあ、どうするか? 俺としては出会った相手にだけ対応すればいいと思うが」
「主様の望むままに。儂としては、想定しているのは逢瀬じゃからな」
「普通の経験が無いから、俺から何か言えることはないな。けど、それ以外ならとりあえず言えるぞ──魔物と人、どっちがいい?」
「ふむ……まずは魔物かのう?」
ソウの回答した方がいる場所に向けて、俺たちはさっそく移動を始める。
そこには無数の魔法陣が設置されており、大量の魔物たちが蔓延っていた。
「じゃあ、潰すぞ」
「うむ」
面倒臭いので、戦い方はシンプル──ひたすら体を動かすだけ。
俺の場合はスキルを駆使して、ソウの場合は……うん、ただの身体能力である。
「──“飛翔”、“剛筋”、“自重操作”、“軟体”、“衝撃吸収”、“身体強化”」
同じような使い方をしたスキルの大量起動による、超強化。
ただし、一つ目のスキルで分かるように、今回は空を飛んでの一撃を叩き付ける。
「魔物の質はうちと変わらないみたいだな。だいぶ頑張ったってことか」
「主様、切りがないのではないか? たしかに儂らが行うのであれば、いずれ駆逐できるのであろうが……」
「ああ、そろそろいいか。ついでだ、礼装を借りてもいいか?」
「うむ、構わぬよ」
本人の了承も取れたし、魂魄の力を借り受けることに。
礼装に意識を集中させると、魔力を巡らせて綴っていく──
「理より外れし古の龍。神をも超えし力を振るい、超越せし白銀の王者。明けない白夜の輝きを以って、並ぶ者なき暴虐の力を知らしめろ──“銀夜魂魄”」
礼装は白銀に輝く。
薄明の光を纏うそれは、ただひたすらに周囲から闇を取り払う。
──世界に夜の出番はない、白銀の輝きこそが中心であると知らしめるように。
「派手すぎるな、これ」
「失礼な。儂の鱗同様、実に見栄えする輝きだったではないか」
「……そこは否定しないけど。しかしまあ、俺の方も能力値を調整しないと体が大変なことになるぞ、これは」
すぐさま『神呪の指輪』の能力を用いて、自身の能力値を弱体化させる。
ちなみにそのまま動いていたら、辺りの地面には深刻な罅割れが生まれていただろう。
「して、この後はどうするのかのう?」
「魔法陣をぶっ壊してしまえ」
「了解じゃ」
追加で空間把握スキル、そして思考加速スキルを起動して走り出す。
縮地、俊足、健脚、脱兎、天駆スキルも同時に使えば、移動速度はさらに上がる。
「速度はそのままエネルギーに。龍の力で一気にぶっ壊す」
武技は使わない代わりとして、竜族である古龍のソウが使えるエネルギー『竜丹』を頼りに、魔法陣の破壊を試みた。
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あとはそれを拳に纏い、超絶駆動で魔物たちを突破している俺が振るえば……。
「ふむ、さすがは主様。その程度のことは容易くやってのける」
「褒めても何も出ないぞ。ほら、次は対人戦用の相手を探しに行こうか」
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