AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します

山田 武

偽善者と自己紹介 その37



 夢現空間 居間


 最近の眷属たちは、それぞれが花を育てるために頑張っている。
 あれだ、ナンバーワンじゃなくてオンリーワン的なモノを目指しているわけだ。


「……といっても、同じようなものができるよりも、個性豊かな方が『模宝玉』に入れておきやすいからって理由だけど」

「そうだったの?」

「まあ、あっちの世界でもみんな個性があるみたいだから……そこまで気にしなくてもいいと思うけどな。だから、何も難しいことは考えないで自由に育ててやってくれ」

「うん、分かった!」


 研究材料として育てているヤツもいるが、複製した『種思』は大量にあるのでそれも調べてもらっている。

 神二柱にも確認したところ、複製品でも機能はすると言われた。
 ただ、俺の魔力が残っているため、その分の影響があるんだとか。

 具体的には俺……というより、俺の持つスキルの内、意思を持つスキルに似た能力が発現しやすいらしい。


「ところで……最近の学校はどうだ?」

「うん! あのねあのね、魔導が一個使えるようになったんだよ!」

「マジで!? ……もう、よく頑張ったんだなー。うん、偉い!」

「えへへー」


 天才、の一言で纏めてはいけない。
 たとえそれが才覚を必要としていても、実際にそれを成せたのは──彼女自身がやろうと思い、実行したからこそだ。

 しかし……もう魔導が使えるのか。
 いずれアルカも使えるようになると思っていたが、それよりも先なんだよな。

 本当に、うちの眷属は優秀すぎる!
 まさかちょっと勉強しただけで、魔技の極みに至ろうとは!


「……ゴホンッ、だいぶ話が逸れてしまったな。よし、そろそろ始めるぞ」

「うん!」

「──第三十七回質問タイムのお時間がやってまいりました。本日のゲストはこの方──我らが巫女にして神子のカグちゃんです!」

「よろしくおねがいしまーす!」


 うん、いつもながらの良い反応。
 嗚呼、やっぱり5歳児は最高だぜ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「問01:あなたの名前は?」

「カグだよ!」


「問02:性別、出身地、生年月日は?」

「えっと、女の子。うーん……おにーちゃんと会ったのは『シュウエンのカイコウ』? で、生まれたのは……いつだろう?」

「とりあえず、誕生日は俺と会った日にしておこうか」

「なら……一月の二十七日だよ!」


「問03:自分の身体特徴を描写してください」

「うーん……赤色の髪に、ちょっとだけ黒い髪の毛が混じってるんだよ」


「問04:あなたの職業は?」

「【神子姫】っていうヤツに、カカのお蔭で就けているんだよ」

「……カカ曰く、転生体だったからこそらしい。普通は【巫女姫】だったからな」


「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」

「あんまり分かんないなー。いつもみんなに頼っちゃう……って、ダメかな?」

「全然ダメじゃないからな。あと、うちの眷属はみんなカグが自分のやっていることを教わることを楽しみにしているから。今さら止めようったって、そうはいかないからなー」

「うーん……本当にいいのかな?」


「問06:あなたの趣味、特技は?」

「おにーちゃんやおねーちゃん、あと学校の先生たちからいろんなことを教わること。おねーちゃんが言ってたんだよ、若い内にできることをやっておけって!」

「……誰だ、こんなピッチピチの可愛いカグに老いの話を言ったのは」

「えっと……──おねーちゃん!」

[※あとでお仕置きが行われました]


「問07:座右の銘は?」

「シンサイエイバツ! おねーちゃんたちみたいに、綺麗になりたい!」

「……うん、カグは充分可愛いからな」

「それでもだよ。おにーちゃんがヨロこんでくれるように、いつも上を目指さないとダメだっておねーちゃんが言っていたもん!」

[※あとで(ry]


「問08:自分の長所・短所は?」

「長所は……ないけど、頑張ってお勉強はしているよ! 他のおねーちゃんたちほど、いろんなことができないのが悪いところ……」

「いいか、カグ。アイツらは一部に特化しているから、それぞれの分野に届く方が凄いからな。今のカグはそんなヤツらの分野を一定水準で修めている……要するに、俺と同じ器用貧乏型ってことだな」

「おにーちゃんといっしょ……えへへ」


「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」

「好きなものはおにーちゃんとおねーちゃんたち! 嫌いなものは……な、無いよ」

「カグ、別に怒らないからな」

「うー……知らない人がたくさん集まっている場所ー」


「問10:ストレスの解消法は?」

「おにーちゃんと会ってから、ストレスは感じたことがないよ」

「か、カグ!(号泣)」


「問11:尊敬している人は?」

「おにーちゃんとおねーちゃんたち!」

「か、カ(ry」


「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」

「メーソーをすること、かな? これをやると、カカとお話しできる時間が増えるんだ」


「問13:この世で一番大切なものは?」

「一番……みんなじゃ、ダメ、かな?」


「問14:あなたの信念は?」

「おにーちゃんとおねーちゃんたちのためにも、役に立てる立派なレディーになる!」


「問15:癖があったら教えてください」

「癖、癖……無い、かな?」

「いや、あるぞ。カグ、いつも笑うのはいいことだが……本当に辛い時は、笑わなくてもいいからな。今は分からないかもしれないけど、いつか思いだしてくれ」

「ッ!? そうだったんだ……ちゃんと憶えておく、おにーちゃん」


「問16:ボケですか? ツッコミですか?」

「ツッコミだよ」


「問17:一番嬉しかったことは?」

「おにーちゃんが、わたしを外に連れ出してくれたことだよ」


「問18:一番困ったことは?」

「おにーちゃんがいつまでも、わたしのことレディーって思ってくれないことかな?」

「……もう少し大きくなったらな」

「むぅ……」


「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ……ですが、カグはまだ飲んじゃいけません」

「わたし、もう大人だもん!」

「大人は自分のことを、いちいち大人とは言わないからな」


「問20:自分を動物に例えると?」

「動物さんかー……ワンちゃんかな?」

「そうだな、カグは可愛いもんなー。ほーれよしよしー」

「ふわー、くすぐったいよー」


「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」

「聞いた覚えがないよ」


「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」

「うーん……わたしは覚えていないけど、カカを守れなかったことかな? わたしがカカの力を抑えられたら、あそこに居ることも無かったのかなーって」

「そのお蔭で、俺とカグは逢えたんだ。一概に悪いとも言えないぞ。また今度、もし次があるなら成功すれば良いんだ」

「うん!」


「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」

「さっきも言ったけど、みんなの役に立てる凄いレディーになる!」


「問24:自分の人生、どう思いますか?」

「カカを守るための人生かな? あと、みんなといっしょに居られる幸せな人生!」


「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」

「カカのことがそれだったけど、やっぱりやり直さない方がいいよね」


「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」

「おにーちゃんたちといっしょに、なんとかする!」

「なんとかって……まあ、俺もカグたちと居たいからな。なんとかするよ。そのときは、カグも手伝ってくれ」


「問27:何か悩み事はありますか?」

「おにーちゃんがまだ頼ってくれないこと」

「……はい、いずれ……じゃなくて、一ヶ月以内に頼ります」

「よろしい!」


「問28:死にたいと思ったことはありますか?」

「ううん、無いよ」


「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」

「おねーちゃんたちみたいな人!」


「問30:理想の死に方があればどうぞ」

「みんなといっしょに……かな?」


「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」

「カカ、いつもありがとう!」


「問32:最後に何か一言」

「おにーちゃんも──だーいすき!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「カッ──ごほっ、ごほっ!!」

「お、おにーちゃん!?」


 子供の言う好きだと分かっていても、俺の心にはクリティカルヒットであった。
 なんでだろうか……やっぱり、純粋な心で言われたからこそのナニカがあるのかもな。


「か、カグ。他の人……ああいや、眷属以外にむやみやたらに好きだって言っちゃダメだぞ。その、男の子は勘違いをしやすいから」

「大丈夫だよ。おにーちゃん以外に、こんなこと言ったことないもん」

「────」

「あ、あれ……これでいいんだよね? どうしたの、おにーちゃん? お、おにーちゃん目が真っ白だよ!?」


 我が生涯に、一片の悔いなし。
 何度でも言おう──嗚呼、やっぱり5歳児は最高だぜ!!



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