AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と赤色の解放戦 その06
連続更新中です(11/12)
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「──立て、ここからが正念場だ!」
ウィ-の職業『大将軍』が持つ能力。
統率下にある者を鼓舞し、活力を与えるというもの──そしてそれは、己の言葉を他者へ伝えることで発揮する。
「敵は偽りの邪神、その残滓の残滓。つまりは燃えカス、恐るるに足らず! 選ばれし我らならば、超えることのできる試練の一つでしかない!」
なればこそ、『大将軍』の言葉は強く遠く響き、浸透し奮え立たせるのだ。
一人、また一人と体の震えが止まり、立ち上がっていく。
「外の戦いはすでに終結した。私たちはその後始末をするわけだ……だがもし、この状況で私たちが立てずにいたら? 断言しよう、飄々と現れた偽善者にすべてを掻っ攫われるだろうと」
感情に火が燈っていく。
それは正だけでなく負の方向でもある、だがたしかに力強く己を鼓舞する想いだ。
……一人、歯軋りするほど猛烈な怒りを抱く妹狂いなどもいたものの、とにもかくにも全員が前を向く。
「オウシュ、君の出番だ。どんな手を使っても構わない──アレを倒すのだ。それを私たちが全力でサポートする……いいな?」
『はい!』
「オウシュ、君が否と言うのであればまた別の作戦を考えよう。神を殺すことができる君の力が、もっとも有効ではあるが……方法はそれ以外にもあるからな」
「ボ、ボクは……」
オウシュは過去の経験から、【神殺剣士】という職業に就いている。
能力を剣の技巧と神殺しのみに特化させた職業で、それ以外はいっさいの補正が無い。
それでもその職業に就いた理由……ただの凡人が、選ばれし者たちのみが集った試練に参加したわけ。
それを──守りたいと思った少女の姿を一瞥し、ゴクリと唾を嚥下して覚悟を決める。
「や、やります……やらせてください!」
「分かった。ナーラ、オウシュへ継続的に回復と補助魔法を。他の者は全員、オウシュをアレの下へ送り届けることを考えろ!」
『はい!』
「では行くぞ──“王断”!」
握り締めた王剣を振るうと、巨大な斬撃痕が残滓が纏わりついたRRに放たれた。
黒い球体に包まれていたソレに命中し、その中身を強引に排出させる。
『…………■■■』
この場に居る誰も理解できないナニカを呟くRR。
口のような場所を動かしているRRには、もともと言葉を話す機能があったのだろう。
だが言葉を交わす必要のない邪神の使徒、その残滓に言語能力など不要。
神の標準言語たる神代語、それが彼の者が語る言葉であった。
『…………■■■■、■■■■■■!』
「メルスなら分かったのだろうな……だが言葉を交わす必要などない、ただオウシュを送り届けることだけ考えろ!」
『はい!』
RRの見た目は赤色中心のカラーリングから、黒色のものへ変わっていた。
そして全身からはどす黒い瘴気が撒き散らかされており、意味もなく口角に該当する部分がつり上がっている。
突然RRは大きく両手を振りかぶり、地面に叩き付けた。
空間の下部は罅割れ、そこから禍々しい炎が吹き荒れる。
「──“紅焔閃光”!」
「“焼夷”ー、“連鎖爆発”ー」
「“波浄”──“破浄”!」
「“火焔纏い”──“真炎解閃”!」
同じく炎の力を解き放ち、噴きだす炎を相殺していく。
相殺、互いに打ち消し合ってゼロとすること……数で補っても力量は互角だ。
だが、道は開かれた。
少年──オウシュは剣を引き抜き、ひたすらに前を向いて走りだす。
そこに躊躇いなどはなく、一直線にRRの下へ向かっていく。
炎が失われた今、それを遮るものは──
『■■■■■■、■■■■』
内側に灯っていたどす黒い炎が輝き、新たな炎の壁を生みだす。
だがオウシュは足を止めるどころか、なお加速していく。
「頼んだよ、ライア!」
「……ったく、しょうがねぇな。迷わず進めよ──“真炎解放”!」
そう答えると、ライアは炎の中にオウシュよりも先へ突き進む。
そしてその瞬間、内部から破裂するように炎が拡散されぽっかりと穴が空く。
「ありがとう……ライア」
「…………がほっ、ごほっ。いいからさっさと行けよ」
中から出てきた火に包まれたライアに礼を告げ、さらに奥へ進むオウシュ。
再び何かをしようとするRRだが、そうするだけの時間は与えらえていなかった。
「──“重力檻”ー」
重力の檻、それは一定領域の重力量を高め拘束する魔法。
炎は重力に干渉できない、いかに火の理が強い世界であろうと認識できなければ燃やすことができない。
認識できれば燃やすことができる。
故に重力の軛はすぐに燃やされ、自由を取り戻されてしまう。
──だが、ほんの一瞬の隙が生まれた。
それだけで充分。
オウシュの体には、『聖女』であるナーラが施した支援魔法が掛かっている。
聖なる力を帯び、身体能力が極まっている今のオウシュであれば……その一瞬を突き接近することができた。
「──『神殺剣』起動!」
オウシュが握る剣に課せられたリミッターの一部が解除され、その力──あらゆる概念に干渉可能となる権限が解放される。
それそのものに直接神を殺すことはできない──あくまでそれを行うのは人であり、剣は可能とするための道具でしかない。
「──“渾身斬”!」
そして、炎の斬撃がRRを切り裂いた。
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「──立て、ここからが正念場だ!」
ウィ-の職業『大将軍』が持つ能力。
統率下にある者を鼓舞し、活力を与えるというもの──そしてそれは、己の言葉を他者へ伝えることで発揮する。
「敵は偽りの邪神、その残滓の残滓。つまりは燃えカス、恐るるに足らず! 選ばれし我らならば、超えることのできる試練の一つでしかない!」
なればこそ、『大将軍』の言葉は強く遠く響き、浸透し奮え立たせるのだ。
一人、また一人と体の震えが止まり、立ち上がっていく。
「外の戦いはすでに終結した。私たちはその後始末をするわけだ……だがもし、この状況で私たちが立てずにいたら? 断言しよう、飄々と現れた偽善者にすべてを掻っ攫われるだろうと」
感情に火が燈っていく。
それは正だけでなく負の方向でもある、だがたしかに力強く己を鼓舞する想いだ。
……一人、歯軋りするほど猛烈な怒りを抱く妹狂いなどもいたものの、とにもかくにも全員が前を向く。
「オウシュ、君の出番だ。どんな手を使っても構わない──アレを倒すのだ。それを私たちが全力でサポートする……いいな?」
『はい!』
「オウシュ、君が否と言うのであればまた別の作戦を考えよう。神を殺すことができる君の力が、もっとも有効ではあるが……方法はそれ以外にもあるからな」
「ボ、ボクは……」
オウシュは過去の経験から、【神殺剣士】という職業に就いている。
能力を剣の技巧と神殺しのみに特化させた職業で、それ以外はいっさいの補正が無い。
それでもその職業に就いた理由……ただの凡人が、選ばれし者たちのみが集った試練に参加したわけ。
それを──守りたいと思った少女の姿を一瞥し、ゴクリと唾を嚥下して覚悟を決める。
「や、やります……やらせてください!」
「分かった。ナーラ、オウシュへ継続的に回復と補助魔法を。他の者は全員、オウシュをアレの下へ送り届けることを考えろ!」
『はい!』
「では行くぞ──“王断”!」
握り締めた王剣を振るうと、巨大な斬撃痕が残滓が纏わりついたRRに放たれた。
黒い球体に包まれていたソレに命中し、その中身を強引に排出させる。
『…………■■■』
この場に居る誰も理解できないナニカを呟くRR。
口のような場所を動かしているRRには、もともと言葉を話す機能があったのだろう。
だが言葉を交わす必要のない邪神の使徒、その残滓に言語能力など不要。
神の標準言語たる神代語、それが彼の者が語る言葉であった。
『…………■■■■、■■■■■■!』
「メルスなら分かったのだろうな……だが言葉を交わす必要などない、ただオウシュを送り届けることだけ考えろ!」
『はい!』
RRの見た目は赤色中心のカラーリングから、黒色のものへ変わっていた。
そして全身からはどす黒い瘴気が撒き散らかされており、意味もなく口角に該当する部分がつり上がっている。
突然RRは大きく両手を振りかぶり、地面に叩き付けた。
空間の下部は罅割れ、そこから禍々しい炎が吹き荒れる。
「──“紅焔閃光”!」
「“焼夷”ー、“連鎖爆発”ー」
「“波浄”──“破浄”!」
「“火焔纏い”──“真炎解閃”!」
同じく炎の力を解き放ち、噴きだす炎を相殺していく。
相殺、互いに打ち消し合ってゼロとすること……数で補っても力量は互角だ。
だが、道は開かれた。
少年──オウシュは剣を引き抜き、ひたすらに前を向いて走りだす。
そこに躊躇いなどはなく、一直線にRRの下へ向かっていく。
炎が失われた今、それを遮るものは──
『■■■■■■、■■■■』
内側に灯っていたどす黒い炎が輝き、新たな炎の壁を生みだす。
だがオウシュは足を止めるどころか、なお加速していく。
「頼んだよ、ライア!」
「……ったく、しょうがねぇな。迷わず進めよ──“真炎解放”!」
そう答えると、ライアは炎の中にオウシュよりも先へ突き進む。
そしてその瞬間、内部から破裂するように炎が拡散されぽっかりと穴が空く。
「ありがとう……ライア」
「…………がほっ、ごほっ。いいからさっさと行けよ」
中から出てきた火に包まれたライアに礼を告げ、さらに奥へ進むオウシュ。
再び何かをしようとするRRだが、そうするだけの時間は与えらえていなかった。
「──“重力檻”ー」
重力の檻、それは一定領域の重力量を高め拘束する魔法。
炎は重力に干渉できない、いかに火の理が強い世界であろうと認識できなければ燃やすことができない。
認識できれば燃やすことができる。
故に重力の軛はすぐに燃やされ、自由を取り戻されてしまう。
──だが、ほんの一瞬の隙が生まれた。
それだけで充分。
オウシュの体には、『聖女』であるナーラが施した支援魔法が掛かっている。
聖なる力を帯び、身体能力が極まっている今のオウシュであれば……その一瞬を突き接近することができた。
「──『神殺剣』起動!」
オウシュが握る剣に課せられたリミッターの一部が解除され、その力──あらゆる概念に干渉可能となる権限が解放される。
それそのものに直接神を殺すことはできない──あくまでそれを行うのは人であり、剣は可能とするための道具でしかない。
「──“渾身斬”!」
そして、炎の斬撃がRRを切り裂いた。
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