AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者と東の島国 その05
連続更新中です(07/12)
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「助けていただきありがとうございます!」
「いえ、たまたまですので……あなたがご無事で良かったです」
「本当に、なんと申せば……まさかお独りで月環熊を倒す者がいるのですね」
「苦戦はしましたが、倒せない相手ではありませんでしたよ。あっ、素材は解体したのち肉だけは頂きます。他はどうされますか?」
救った相手は商人だった。
……このパターン、なんだかよく経験している気がするな。
商人は腹に月の模様がある熊に狙われ、殺されそうになっていた。
残念ながらギリギリのタイミングで主人公が来るというパターンも無かったので、俺がサクッと殺して彼を救ったわけだ。
「では、買い取りということで。お高くさせていただきますよ」
「それは嬉しいですね。あまり持ち合わせが無かったもので……可能な限り最高の品質で提供しますので、どうかそれに似合うだけの評価をお願いします」
いつものように『狂愛包丁』を取りだし、それを用いて解体作業を始める。
素晴らしきかな、(完全解体)──スキルすらも結晶として抽出し、アイテムとして手に入れることができた。
そうして商人にバレないように特殊なアイテムを手に入れ、そのうえで見えるように鮮やかな手捌きで解体を行っていく。
「──ふぅ。とりあえず、こんな感じです」
「こ、これは……なんと美しい」
「お約束通り、肉以外の部位はすべてあなたに提供しましょう。その分、いくつか私の質問にお答えいただきませんか?」
「か、構いません! ですので、どうかそれらをお売りください!」
今にも土下座をしそうな勢いで交渉してくる商人……そりゃあS品質のアイテムとして解体できたので、たとえ価値が分からずともそれなりに物欲をそそるようになっている。
「ありがとうございます。では先に、値段の交渉をしましょうか。あまり本職の方に比べれば上手に解体できなかった物ですので……それなりに勉強させてください」
「そんなことありません! この品質であれば、30万……いえ、40万Yは下らないでしょう!」
「そこまでですか……いえ、私には伝手がございません。それをあなたに押し付けてしまうことを考えれば、少しお安く買い取っていただけた方が心苦しくありません」
「いいえ! 上手く交渉ができればそれ以上の額を出すこともできます! そう考えればもっと出すことも……しかし、今出せる額が40万Yなのです。いっしょに来ていただけるのであれば、お支払することも──」
なんだか真面目な商人だったようだ。
前回がいろいろとアレな商人だったため、何かしら裏があると思ったんだが……謙遜を鵜呑みにしたうえで逆手に取り、騙し取ってくるぐらいは予想していたんだけどな。
「町まではご同行しましょう。しかし、金銭はそれ以上受け取りません。その分情報を頂ければ充分ですので」
「……分かりました。ですが、もし何かあれば『鳳雛商会』を頼ってください。必ず、お力になりますので」
「鳳雛、鳳凰の雛ですか。そうなるとあなたがどのような立場であれ、きっと本当に助けていただけるのでしょうね……しかし、どうしてそのような方が、護衛も付けずにこのような場所を通っていたのでしょうか?」
「うっ。それは、その……久しぶりに気分転換の一環として、ただの行商人としての旅を考えていまして……」
ずいぶんと地位は高いようだ。
おそらく、本来は専属の護衛とかが居るんだろうけど……バレないように抜け出した結果、こんな状態になったと。
「情報は道すがら確認しましょう。少し田舎から出てきたものですので、常識が欠けているかもしれません。あなたはこれからどこへ向かおうとしていたのですか?」
「ここから東にある『東都』へです」
「私にはそういった知識もございません。ですので、あなたにはその東都? という場所へ向かう間に知識を教えてほしいのです」
「……分かりました。命に恩人に、無碍な真似はしません」
まあ、そんなこんなで数日ほど、商人と共に東へ向けて旅を行った。
◆ □ ◆ □ ◆
東都
そんな過程はカットして、現在は都の中に入っている。
お金も金貨や銀貨で受け取り、別れて自由となったのが現在だ。
「江戸でござるなぁ……」
今はさらに変身を行い、井島の人々に合わせたモブ容姿に造形を整えてある。
普段のままでもそれなりに通用するが、この世界だと日本風の世界でも大半が美男美女のため、調整が必要だったのだ。
そんな彼らは着物を羽織り、現代から見れば古い住居で生活を営んでいる。
魔物の素材を使った木造建築って感じで、それなりに災害への耐性もありそうだ。
「刀は……女の人も下げているな。やっぱり実力に差が無いのか」
ならば男尊女卑の風潮も無いのだろうか。
杖を持っている者もいるので、『術』で男よりも優位に立っている女性はそれなりに居るはずだし。
「とりあえずは、普通に活動して一般人としてこの国を体験してみよう。座標は分かったから、眷属とのデートも……報連相はしておこうか」
せっかくの日本風の島国だし、一般人を演じている間は眷属と居てもいいだろう。
けど、誰が来るのか分からないな……さてさて、誰になるんだろうか?
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「助けていただきありがとうございます!」
「いえ、たまたまですので……あなたがご無事で良かったです」
「本当に、なんと申せば……まさかお独りで月環熊を倒す者がいるのですね」
「苦戦はしましたが、倒せない相手ではありませんでしたよ。あっ、素材は解体したのち肉だけは頂きます。他はどうされますか?」
救った相手は商人だった。
……このパターン、なんだかよく経験している気がするな。
商人は腹に月の模様がある熊に狙われ、殺されそうになっていた。
残念ながらギリギリのタイミングで主人公が来るというパターンも無かったので、俺がサクッと殺して彼を救ったわけだ。
「では、買い取りということで。お高くさせていただきますよ」
「それは嬉しいですね。あまり持ち合わせが無かったもので……可能な限り最高の品質で提供しますので、どうかそれに似合うだけの評価をお願いします」
いつものように『狂愛包丁』を取りだし、それを用いて解体作業を始める。
素晴らしきかな、(完全解体)──スキルすらも結晶として抽出し、アイテムとして手に入れることができた。
そうして商人にバレないように特殊なアイテムを手に入れ、そのうえで見えるように鮮やかな手捌きで解体を行っていく。
「──ふぅ。とりあえず、こんな感じです」
「こ、これは……なんと美しい」
「お約束通り、肉以外の部位はすべてあなたに提供しましょう。その分、いくつか私の質問にお答えいただきませんか?」
「か、構いません! ですので、どうかそれらをお売りください!」
今にも土下座をしそうな勢いで交渉してくる商人……そりゃあS品質のアイテムとして解体できたので、たとえ価値が分からずともそれなりに物欲をそそるようになっている。
「ありがとうございます。では先に、値段の交渉をしましょうか。あまり本職の方に比べれば上手に解体できなかった物ですので……それなりに勉強させてください」
「そんなことありません! この品質であれば、30万……いえ、40万Yは下らないでしょう!」
「そこまでですか……いえ、私には伝手がございません。それをあなたに押し付けてしまうことを考えれば、少しお安く買い取っていただけた方が心苦しくありません」
「いいえ! 上手く交渉ができればそれ以上の額を出すこともできます! そう考えればもっと出すことも……しかし、今出せる額が40万Yなのです。いっしょに来ていただけるのであれば、お支払することも──」
なんだか真面目な商人だったようだ。
前回がいろいろとアレな商人だったため、何かしら裏があると思ったんだが……謙遜を鵜呑みにしたうえで逆手に取り、騙し取ってくるぐらいは予想していたんだけどな。
「町まではご同行しましょう。しかし、金銭はそれ以上受け取りません。その分情報を頂ければ充分ですので」
「……分かりました。ですが、もし何かあれば『鳳雛商会』を頼ってください。必ず、お力になりますので」
「鳳雛、鳳凰の雛ですか。そうなるとあなたがどのような立場であれ、きっと本当に助けていただけるのでしょうね……しかし、どうしてそのような方が、護衛も付けずにこのような場所を通っていたのでしょうか?」
「うっ。それは、その……久しぶりに気分転換の一環として、ただの行商人としての旅を考えていまして……」
ずいぶんと地位は高いようだ。
おそらく、本来は専属の護衛とかが居るんだろうけど……バレないように抜け出した結果、こんな状態になったと。
「情報は道すがら確認しましょう。少し田舎から出てきたものですので、常識が欠けているかもしれません。あなたはこれからどこへ向かおうとしていたのですか?」
「ここから東にある『東都』へです」
「私にはそういった知識もございません。ですので、あなたにはその東都? という場所へ向かう間に知識を教えてほしいのです」
「……分かりました。命に恩人に、無碍な真似はしません」
まあ、そんなこんなで数日ほど、商人と共に東へ向けて旅を行った。
◆ □ ◆ □ ◆
東都
そんな過程はカットして、現在は都の中に入っている。
お金も金貨や銀貨で受け取り、別れて自由となったのが現在だ。
「江戸でござるなぁ……」
今はさらに変身を行い、井島の人々に合わせたモブ容姿に造形を整えてある。
普段のままでもそれなりに通用するが、この世界だと日本風の世界でも大半が美男美女のため、調整が必要だったのだ。
そんな彼らは着物を羽織り、現代から見れば古い住居で生活を営んでいる。
魔物の素材を使った木造建築って感じで、それなりに災害への耐性もありそうだ。
「刀は……女の人も下げているな。やっぱり実力に差が無いのか」
ならば男尊女卑の風潮も無いのだろうか。
杖を持っている者もいるので、『術』で男よりも優位に立っている女性はそれなりに居るはずだし。
「とりあえずは、普通に活動して一般人としてこの国を体験してみよう。座標は分かったから、眷属とのデートも……報連相はしておこうか」
せっかくの日本風の島国だし、一般人を演じている間は眷属と居てもいいだろう。
けど、誰が来るのか分からないな……さてさて、誰になるんだろうか?
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