AllFreeOnline〜才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します
偽善者とアンデッドの謎
連続更新中です(07/12)
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アニワス戦場跡
今日も今日とで、アンデッドたちが活きよく活動する戦場の跡地。
……特にこの文言に深い意味は無いが、要するに人々と命亡き者たちによる戦いは続いているというわけだ。
「帝国はここをどうしたいんだろうね」
「たしか、魔石の産地として使っているようですよ。ですので、わたしたちに完全な浄化まではしないように忠告しています」
「闇系の魔法を使えば、バカ……コホンッ、話を聞かなかった人が勝手に浄化しても、元に戻すことができるからね」
俺だって、冥魔法や死霊魔法を行使すればアンデッドを好きなだけ用意できる。
国民のレベル上げは、アンデッドへの忌避感があるので代わりに傀児を使っているが、それでもそういう使い方が可能だ。
「けど、魔核を持つ個体にするまで時間がかかると思うんだけど……それはまあ、この環境がどうにかしているみたいだね」
「この空気ですからね……」
普通、アンデッドを用意しても籠めた魔力が尽きれば元の状態に戻ってしまう。
だが、ある条件を満たせば内部に魔核を宿して、体を維持することが可能になる。
一つはレベルを捧げる──魂魄の力をナニカへ捧げることで、急速に成長したアンデッドは、即座に体に魔核を生みだす。
もう一つは瘴気を吸わせる──負の魔力を一定量集めて回収させることで、そこから魔核を生みだす。
冥魔法や死霊魔法は、大気に漂っている負の魔力を集めてアンデッドを生みだす。
そして、そのアンデッドを維持したいならばレベルを捧げてすぐに魔核を生みか、魔核の代わりとなるなるものを埋め込む。
──結局の話、負の魔力が内蔵された魔石でも埋め込めば一瞬なんだよな。
閑話休題
帝国でやることが無くなった『月の乙女』ではあるが、アニワス戦場跡を転位座標として登録していた。
レベル上げの場所として最適だし、クラーレが居るのでピンチになったらすぐに浄化して対処することができるかららしい。
「けど、アンデッドたちの容姿ってどうやって決まるんだろう?」
「……たしかに、それは考えたら終わりがありませんね」
「まったく同じわけじゃないから、何かの原型があるってことでもないし……だけど、昔の人の死体ってことでも……ないよね?」
「メル、その考えだけはやめてください」
まあ、実際謎ではある。
眷属たちにその質問をしたら、本当に驚いていたが……思考にブロックでも掛けられていたのだろうか?
それからネロを中心に調査をしているらしいが、数ヶ月調べてもまだ分かっていない。
代わりにアンデッドに関する技術云々が格段に向上しているらしいが……そこら辺は、まあ別に話だ。
「──そういえばますたー、本当に一番奥まで行くの?」
「はい。まだ誰も行ったことのない場所……ではないですけど、それでもちゃんと行き帰りできるぐらい強くなりたいです」
「ますたーが固有スキルをちゃんと使えていれば、単独でも行けると思うよ」
「……それをさせてくれないのは、メルじゃありませんか」
クラーレの固有スキルはあらゆるものを癒すことができる。
それを応用すれば、アンデッドなど一瞬で浄化することが可能だ──その際に発生する苦痛を、彼女が乗り越えられればだが。
「ますたーが苦痛耐性スキルを習得したのは分かるけど、最上級のアンデッドにそれを行使しても発動できないよ。けど、代償としてますたーが死にたくなるぐらいの激痛が起きちゃうから……まだダメなんだよ」
「むぅ……それは体験しているから分かりますけど、本当にそこまで痛いかどうか、分からないんですよ」
「そりゃそうだよ、やったら死ぬんだからやらせはしないよ。頭が割れるって比喩があるよね? ますたーがそのスキルを使うと、物理的に脳がパーン!」
「ぱ、パーン!?」
いや、実際にそうなるのだ。
俺は実験する際、何度かそうなりかけたので間違いないだろう。
膨大な量の情報処理を要求されるスキルなので、普通の人には耐えられないのだ。
素晴らしき<千思万考>が無ければ、俺も耐えらずにパーン……そう未来眼で視てしまったうえで試してたため、そう忠告しておく。
死に戻りができる祈念者なので、そこら辺は気にしなくてもいいんだが……現実の彼女にどういった影響があるか分からないしな。
「ますたーをそんな目には合わせたくないんだよ。苦痛耐性スキルのままだと、どれだけレベルを上げてもそうなっちゃう。だから、ますたーはそのスキルを固有スキルの域まで達せさせる必要がある」
「ゆ、固有スキルまで!?」
「情報処理の特化スキル、かな? とにかくそういうスキルにしないと苦痛無効スキルとかを取っても意味がないと思う。だから、頑張ってね」
「そ、そんな……ッ!?」
そんな無茶な、と言いたかったんだろうが急にその発言を中止した。
自分がそのままであり続けること、そしてそれを選んだ末路を予期したのだろう。
「分かりました……やってみます」
「うん、応援しているよ。何か困ったことがあったら答えるから、本当に分からない時は相談してね」
「はい、ありがとうございます」
なお、この会話──『月の乙女』の戦闘班が、レベル3エリアのアンデッドと戦闘している最中のものである。
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